ダンゴウオだけじゃない!? ワイドレンズを持って、夏の田後(たじり)へ
日本海に位置する鳥取県の田後(たじり)へやって来ました。
ダイバーのアイドル・ダンゴウオが「1人1ダンゴ」というほど多く見られる、なんとも贅沢な海。
近年は、西日本だけでなく、関東ダイバーにも人気急上昇中です。
2013年には世界中の大物海洋哺乳類の撮影をライフワークとする越智カメラマンが、“実はダンゴウオに会ったことがない”という衝撃の事実がひょんなことから発覚し、こんな企画もたてられたほど。
ダンゴウオのおかげで(?)“田後=マクロ”のイメージがついている人も多いかもしれませんが、ブルーライン田後のオーナー山崎英治さんに言わせれば、「田後の夏はワイドがすごい!!」らしい。
確かに、太平洋といえば、秋ごろがベストシーズンと言われるのに対して、日本海は透明度の最も上がる夏がベストシーズンだというダイバーも多い。
そこで、「ワイドといえば、やはり年中大物と対峙している越智カメラマンに写してもらいたい!」との依頼を受け、越智隆治、ワイドレンズを手に、再び田後へ。
行きの車内で、2013年の時に撮影した田後の海の印象はどんなだったかと聞いてみると……。
「1泊2日のダイビングで、透明度も悪くて、目の前にいるタンゴしか見てなかったし、ていうか見えなかったし、いや、あれ? 見えてたかな、ダンゴウオ……。それにうねりもかなり入っていたから、なかなか体も被写体も固定できなくて、いらいらして、つい海藻を抑えてくれていた寺山君を「ちゃんと固定しろよ!」ってふっ飛ばしちゃうか、目の前にいる天使ちゃん(天使の輪っかを頭につけたダンゴウオの幼魚・約3mm)を潰しちゃって、いないことにしたい衝動にかられた過酷な環境だった。だから、田後の海、まだよく知らないんだよね」
「マクロのイメージが多いかもしれませんが、田後の海は、夏になるにつれて透明度が上がり、フォト派や地形派ダイバーにぜひとも潜ってもらいたい洞窟や、イサキ、ハマチなどを始めとする回遊魚にも出会える、ワイドな海に変身する海なんです!」と、声高らかに山崎さん。
前回、水温10度前後だったダンゴウオの海と違って、はじめての夏の田後。
その“変身”とやらはどんなものなのか、期待に胸が膨らみます。
「今回は、老眼キラーの異名をもつダンゴウオと闘わなくてよい田後です」と取材内容を伝えると「やった!」と素直に喜ぶ越智隆治(もうすぐ)50歳。
ということで、現地から夏の田後、ワイドな田後をお届けします!
【取材裏話】
取材に立つ前日、越智カメラマンのSNSにこんな文面を発見。
(以下、原文ママ)
バハマから帰国してまだ2日ですが、明日からここにお邪魔します。自分が初めてダンゴウオを見た海、鳥取の田後。「むむむ、またあの頭に天使のあるちっちゃいのか~!?」と思っていたら、「今回はワイドで魅せる田後でお願いします!」とのこと。「ええええっ!? マクロ無くっていいの~~? 大丈夫なの?」と尋ねると、「大丈夫です。ぜひ、ワイドで田後の海の魅力を表現してください!」とのこと。内心「やった!」。しかし、台風来ているみたいだけど、影響出ないのかな〜。でも、台風のうねりであんなちっちゃいの撮影してたら、頭クラクラになっちゃうもんな〜……と思ってたんだけど、この時期、天使ちゃんはいないことに気がつきました。「やった!」 田後行ってきます。
も、もしや、マクロレンズを持ってこないのでは……と、SNSを読むなり速攻で、「越智さん、マクロレンズ持ってきてください!」と懇願メールを送ると、返信は「何マクロって?」。
あわあわ。
現地に到着するや否や、山崎さんの第一声は、「越智さん……マクロ持ってきてくれました?」。
マクロレンズのセットされたカメラを見た時にホッとしたのは、どうやら私だけではなかったようです(笑)。