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獅子頭を探しに、石巻市牡鹿半島の海の中へ閲覧無制限

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現地からレポート
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また、石巻市牡鹿町表浜地区小渕浜に行ってきました。今回の目的は漁業支援物資の第二段を届けてきました。そして、水中捜索です。
先週(6/19)に小淵浜で、BBQをしましたが、仕事をしてて来れない人や足がなくて、料理を食べられない人のところに、料理を届けながら避難所の様子を見て回っていました。
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その中で、とても状況の悪い避難所にいる一人の方から、俺は何も要らないから、獅子頭(神)様さえ見つけてもらえればいいんだと言われました。その方は、僕がダイビングインストラクターだと言うことも知っていました。
その方の避難所の人は、40台中心の漁師が多く、早く漁がしたいとやる気もあり、表浜ではかなり働き者の多い避難所です。
表浜漁港が、事実上使えない中で、自分達で県にお願いしてサルベージュ船を手配してもらい、操船して港の中に沈んだ瓦礫の撤去をしたり、瓦礫の運搬の仕事を探して月〜土曜まで働いて、家族を支えている人達です。
写真は、津波でダメになってしまった養殖牡蠣を海から引き上げたものです。
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ボランティアさんの行為は嬉しいけど、いつまでも甘えていては仕事も出来なくなってしまうし、復興などありえないと、率先して仕事を見つけて働いています。
その人は、「何かほしいものありますか?」と聞くと、「なんもいらなぇ」言われてしまうのです。
そんな彼が、先日行った時に「実は、獅子頭(神)様を見つけてもらいたいんだ。見つけてもらえれば何もいらない」と言うのです。
獅子頭様、表浜地区に伝わる神様で、旧暦の正月にそれをかぶって村を回るのです。イメージとしては獅子舞のようなものですね。村としては、とても歴史のあるもので、旧暦の正月に使う以外は、団長となった人が二年間家で保管して、次の団長に渡すまで、大切に守らなければいけないものなのです。また、団長に選ばれる人は、限られていて選ばれることは名誉な事なのでした。
そんな大切な獅子頭様は、団長の家に、箱に入って大切にされていました。そんな時に津波が来て、家と共に、獅子頭も海の中に消えてしまいました。
津波で持っていかれたのだから、しょうがないという周りの人もたくさんしますが、獅子頭を守れなかった団長は、割り切ることが出来ません。
村の伝統。。。歴史。。。プライドといろんな気持ちがあったんだと思います。
そんな彼から、言われたら海に潜ることを仕事としている僕として「探してあげたい」と思いました。前にも書きましたが、東北の人は、自分から何がほしいとは言いません(言う人もいますが)
だからこそ、言ってくれた時はなるべく叶えてあげたいと思うのです。
と言っても、水中の中には、瓦礫や危険もいっぱいあります。
潜るのは、プロで、そういう経験がある人と思い何人かに当たったのですが、断わられ。。。職業潜水をしている友人にお供をお願いしました。
しかし工程もきつく、6/25の夜出発、午後から潮の流れ、海況を考えると探せるのは6/26の午前中のみでした。朝8時港に着くと準備をはじめ、9時から捜索を開始。
事前に獅子頭のありそうな場所を調査してあったので、その場所を限定して、3箇所4回の水中捜索を試みました。
何が出てくるかわからない海に入るのは、不安な気持ちはありますが、「潜って探して欲しい」という人がいる以上、プロダイバーとして潜らないわけにはいきません。
最初のポイントは、小淵浜港から船で15分ぐらいの場所で、岬と兎島という小さな島の水路となっているため、見るからに流れが速い場所でした。
打ち合わせをして、僕がまっすぐ進み、水中スクーターを持った友人が、僕の周りをジグザグ移動して、捜索を開始しました。小淵浜の水温は12度、上からの透明度は前日の大雨で、1mもありませんでした。
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水面はほぼ何も見えない状態の中、ゆっくりと潜降して行きました。
すると水深3mを越えたあたりにサーモクライン(水温が極点に違うため混ざり合わない水の層)があり、そこを抜けると、透明度5mぐらいになりました。先日の大雨で流れ出した泥水は、まだ混ざり合っていないようで、濁りは水面近くだけで、透明度が確保できたことは、捜索には有利になります。
水深6mぐらいの岩場に着底し、まずは手を合わせ「神様、迎えに来ました。どうぞあらわせてください」と心の中で祈りました。
友人とアイコンタクトを取り、捜索を開始。
水底には、無数の牡蠣が絨毯のように敷き詰められていました。
このあたりは一面牡蠣畑だった養殖場だったのでしたですが津波で、ほとんどが落ちてしまい波や流れの影響で、この当たりに集約してしまったようてす。
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水中は岩肌のに海藻が生えていて、うねりの影響で大きく揺れていました。海草の中を掻き分けながら、獅子頭様を探しを始めました。
探しているとチャガラ、メバルなどが多く見ることが出来、魚は生きていることに、ちょっと安心しました。この場所は瓦礫はほとんどなく、被災地の海という感じではありませんでした。
島の周りは、6mぐらいの棚になっていて、その先に根があり、それを超えると水深16mぐらいまで落ち込んでいるドロップオフなっていました。僕は6mの棚を中心捜索し、友人は水中スクーターを使って棚の辺りまで、広範囲に捜索を続けました。水温12度最低3ダイブはする予定だったので、一回の捜索は40分までと決めてましたが、が少しオーバーして50分をゆうに超えていました。
後半は流れもあり捜索は難航しました。
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1本目の捜索では、獅子頭は見つかりませんでした。
2本目のポイントに移動しました。2本目は、兎島と半島の間から少し外海に出たところで、位置網を仕掛ける杭が打ってある場所でした。
漁師の話では、水底は、14mぐらいの砂地の予定。。最初は西に移動して、しばらく行ったら、北に向かい半島にぶつかるように潜水計画を立て、休憩もほとんどせず、海の中へと入っていきました。
水深12mぐらいのところに着底、透明度は3mぐらいの中、再び捜索を開始。
水底は、ほとんど岩盤で、船の上で漁師さんから聞いていた泥地で、いくつもの根があると聞いていたのですが、根らしいものは、倒れていて、泥地の下の岩盤がむき出しになっていて、手で扇ぐと岩肌が現れるくらい泥はほとんどありませんでした。津波の影響で、泥がほとんど流されて岩肌をさらしていたようです。このあたりは、穴子がたくさん取れる場所で有名だったのですが、穴子が好む泥地はなくなっていました。自然猛威を目の当たりにして、背筋が凍る想いでした。もちろん魚は何もいません。更に驚くことは、水深14mと聞いていたこの場所は、傾斜があり深場に向かうと20mをゆうに超えていました。更に水底は落ち込んでいて残りのエアを考えると深場に行くのは危険と判断し、友人に合図をして、北に進み半島がある浅場に移動することにしました。
3本目は、船が出た裏側の僕も再建のお手伝いをしている表浜漁協がある港の中に入りました。
ここは、先週重機、ガット(クリーンが付いた船、イメージとしては大きなUFOキャッチャーのようなものが水中の瓦礫を摘んで引き上げるもの)船、クレーンで水中の瓦礫を撤去作業が終了していたので、真ん中ではなく、防波堤、半島沿いを探すことにしました。
港周辺は、水深2〜3m、透明度は2〜3mという感じです。防波堤の裏から捜索を開始、潜るといきなり潰れた車が目に飛び込んできて、バッテリーやエンジンがむき出しになっていました。
これまでの場所とは違い、トタン板、建材、屋根、炊飯器、冷蔵庫、ふとん、漁具など、水中には生活の後がたくさん広がっていました。
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油断すると頭が出てしまいそうな水域を、水底に沈んだものをひっくり返しながら、獅子頭探しを始めました。水底に広がるいろいろなものを持ち上げると、真っ黒い泥が広がり視界は0.。。
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ホンダワラの林の中を、人の形にも見え、不気味ではありましたが、掻き分けながら、捜索を続けていきました。
獅子頭は、顔の部分の後ろに、白い毛があり、人が3人ほど入れるように、緑色の布がついているので、水底に沈んでいる布らしきものを、目に付く限り拾い上げていきましたが、獅子頭らしきものは見つかりません。ここでの捜索時間も1時間を過ぎていたので、一度船にあがることにしました。
あがって来た僕らに、獅子頭を探してほしいと言った彼が、「もうやめましょう。気が済みました」
「一生懸命さがしてもらったみなさんの尽力と探している姿を見て、自分の気持ちの整理が出来ました。それに、ここは、ガット船でも探した場所ですからないと思います」というのです。
でも、僕も友人も、本気で獅子頭を見つける気で来ていたので、「もう少し探させてください」とお願いをして、3本目に潜った場所の奥に、牡蠣が吊るしてあった浮きが打ち寄せられている場所を探すことにしました。
残りのエアも100を切っていたので、あと30分だけと無理を言って、4ダイブ目に向かいました。
睡眠不足、休憩もほとんどせずに、3ダイブ3時間近く海の中で探し続けているので、これで最後にしょうと、最後の捜索に海へと入っていきました。
透明度は5mぐらいありましたが、水温12度とかなり冷たい海に長い間入っているのは、きつくなっていました。
岩場には、タイヤやトタン屋根などが沈んでいました。そんな中に海草がたくさん生えていて、海は生きてるんだなと感じ、少し明るい気持ちになりました。
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海草の根元を見ると、たくさんのムラサキウニがいました。ウニ生きてるだと嬉しくなりました。
水面近くには、すすぎが泳ぎ、たくさんの魚がいました。きっとこの海なら、表浜の漁港は復活できると実感しました。
4本の潜水、潜水時間4時間、捜索箇所4箇所の結果、獅子頭は見つけることが出来ませんでした。
申し訳ない気持ちで、船にあがった僕らに、「ありがとうございました」と彼は言ってくれました。
フードをはずしながら、こっそりと涙が出ました。。。
船に戻ると海はかなり時化て来て、雨も激しくなる中、港へと戻りました。
機材を船から降ろし、機材を積み、漁師のみんなが集まっているところに戻ると、彼は「見つかればいいと思ってたけど、私達の為に努力して探しくれた事で気持ちの整理がつきました」と、そう言った彼の顔は、笑顔でした。「獅子頭さえ見つけてくれれば、なんもいらね」と先週、凄い形相で迫ってきた彼とはまったく違う表情になっていました。
結果は出せませんでしたが、海に潜ったことで、気持ちが晴れて悲しみを乗り越えて、前に進む気持ちになった気がします。
僕は、石巻市牡鹿町表浜地区に通うようになって、今回で8回目、2ヶ月以上が過ぎました。
最初は、物資を携えて、見ず知らずの被災者に、みなさんから携わった食料、生活用品などを届けてきました。
そして今は、元気と希望と思いやりの気持ちを届けています。それが今、俺が出来る事だと信じて。。。。これからも被災地に向かいたいと思います。
追伸;獅子頭は、また近いうちに潜って探そうと思っています。

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