生物を探せるダイバーになりたい、の巻 @安良里

安良里のスーパーピーチ「黄金崎公園ビーチ」。
夏場の台風でいい感じにかきまぜられ、さまざまな環境が整って最強状態。
ただガイドについて生物を紹介してもらいだけではつまらん。

それに、《安良里ダイビングセンター》では、生物情報をセンターで詳細に把握し、
ガイドやイントラに丁寧に伝え、水中に持ち込めるマップを配布するなど、
生物の情報交換といういち早く取り組んできた。
そこで……わしにもガイドやらせてみそ。

ということで、初めての海を初めてゲストを連れて引率する
新人イントラの気分になって生物を探し、デューク山中殿が採点!

まずは、センターのワカサ殿に水中マップを見ながら生物情報を聞く。

「第一ケイソンの北側の面から出ているロープの下の……」とひとつひとつがかなり詳細。

それを元に、わしはマップに生物メモを書き込み、全部は見られないので、
ロープを真っすぐ進んでちょっと寄り道するぐらいの現実的なコース取りを決め、
話題の生物の中から9種類をピックアップ。
 

順番に、
モンハナシャコ、オオモンカエルアンコウ赤ちゃん、イロカエルアンウ赤ちゃん、
ミナミハコフグ赤ちゃん、ミジンベニハゼ、カスリハゼ、トガリモエビ、ヒレナガネジリンボウ、ウミテング。

これをさりげなく見せたら、女子に間違いなくモテる!
ほぼ目印もあることじゃし、こりゃ絶対にモテ……見つけられるな。

ということで、いざエントリー。

後ろからデューク山中殿が目を光らしておる。

■ターゲット1
ゴロタと砂地の境目のところにある周囲より大きく目立つ岩にいるモンハナシャコ

ん〜、この岩なのかあの岩なのか……。周囲より大きい岩といわれてもよくわからん……。

目星をつけた岩の下をよ〜く探すも見つからず。
デュークにバツを出すと、さっとやってきて、岩の表面を探し出し指をさす。
指の先のくぼみにはモンハナシャコ。

あれ? モンハナシャコって砂地と岩の隙間にいるんじゃ……。
そういえばイワサ殿が岩の表面って言ってた気がするがコケギンポと混同して、
よく聞いていなかったようじゃ。

■ターゲット2
第一ケーソンの北側の面にいるオオモンイザリウオの赤ちゃん

え〜と、確かケーソンの北側の面で……。じ〜〜〜〜〜〜。

隈なく探すも見つからない。移動したのかと思って他の面を見てもいない。
デュークにバツを出すとやってきてしばらくわしが見ていた辺りを見つめて、
「ここ、ここ」のサイン。見てみると……小っさ!

小指の爪ほどしかなく、目がそんなものを探すモードになっていない。
おまけに後ろの壁と同じ色で見つけられず……。2連敗。

■ターゲット3
第三ケーソンと第四ケーソンの間の石についているイロカエルアンコウの赤ちゃん

ロープの付近に石が置いてあるって言ってた気が……。じ〜〜〜〜〜。

お決まりのバツ。デューク「いるのは、第三ケーソンと第四ケーソンの間だよ」と。
ここは第二と第三の間……。

■ターゲット4
第四ケーソンの北側の面にいるミナミハコフグの赤ちゃん

これは目立つし、動くし、余裕で見つかるじゃろ! 密かに自信たっぷり。
しかし……

壁を見ても……下をのぞいても……
 

見つからない!

デューク速攻で「ここにいるじゃん……」。うう(泣)

■ターゲット5
第4ケーソンから西へ5㍍くらいいったところにいるミジンベニハゼ

空き缶の隣のフジツボの中ってことなので、まずは空き缶を……あった!

隣のフジツボってこれか。おっ。中には……

ミジンベニハゼ発見! 初めてのおつかい気分♪

■ターゲット6
第四ケーソンで折り返し、途中の砂地の泥だまりでカスリハゼ

っていうか、砂地が同じに見えて泥だまりがわからない……。
デュークに肩を叩かれ「通り過ぎたよ……」と。引き返して泥だまりを教えてもらう。

い、言われてみれば……。

■ターゲット7
第二ケーソンから西に出ているロープ沿いにあるロープだまりの中のトガリモエビ

ロープたまり発見!

いくら探しても見つからない。デュークを見ると「それじゃない。もっと先」。これか〜。

動かしたりひっくり返したりしつつ、なめ回すように見ても見つからない。

デュークにチ
ェンジ。やや間があったものの、「ここだよ」。

■ターゲット8
トガリモエビから北へ少し移動したところにいるヒレナガネジリンボウ

っていうか、時間とエアが心配なので、引き返す時間(泣)。
ここまで探しまくり過ぎたようじゃ。

■ターゲット9
戻る途中の砂地に置いてある石の付近のウミテング

時間がないのでダッシュで探索するも石が見つからない。
お、他のグループが集まっている。ウミテングか? こうなりゃ盗み見じゃ。

見ていたのは変なカサゴ……。

ということで、自力で見つけられたのは、まさかまさかのミジンベニハゼのみ! うわお。

デュークの採点は……

50点!



あれ? 思った以上に高得点!? なぜじゃ?

  見慣れていないし、いきなり潜ったらあんなもんじゃない?

生物を探すポイントは?

  まず、見慣れていない海で、たくさんの情報を持ち込んでも覚えきれない。
  だから、水中マップやメモも持って行くのがいいと思うよ。

  あとは、探す個体の写真を見ておくことだね。
  初めてだとイメージがわかず、目がついていいかない。

  スタッフに、生物やいる場所を説明するとき「なるべく形容詞を排除しろ」って
  言っているんだけど、〝大きい〝とか〝ちょっと離れた〝とかいう言葉は
  人によって解釈が違うので、「1㎝の」とか「北へ4m」とか、
  具体的に聞いてイメージするといいよ。

どうやったら生物を探せるようになる?

  一番いいのは、まずはガイドについて潜ってチェックしておいて、
  同じコースをガイドなしで復習ダイビングをすると確実にレベルアップできるよ。

  また、人について潜るときは、”引きの絵で見ておく”ことが大事。
  周りの環境に対して、どんな場所にどんな生物がいるかわかるようになる。

  そして、何より、いつも自分で探す気分を持つことが最も大事で、
  その気持ちさえあれば、いずれ見つけられる目になると思うよ。

自分の部屋の探しものは自分が一番よくわかっているのと同様、
毎日のように潜っているガイド殿と同じ目を持つのは不可能。
「あいつならきっとここにエロ本隠すだろう」という感覚は、
まずはそいつのことを深く知らないと身につかないということかのう……。

■協力/安良里ダイビングセンター
http://www.arari.co.jp/mein.htm

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登録
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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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