天国みたいな島・水納島でダイビング!輝くサンゴと白い砂、グッと寄れる“あの被写体”まで、その魅力を紹介します
こんにちは、水中写真家の上出俊作です。
沖縄の長い夏も、そろそろ終わろうとしています。
皆さん、今年の夏はどこの海で潜りましたか?
僕は和歌山に行ったり西表島に行ったりしつつも、やっぱりホームの海で潜っていた時間が一番長かったですね。
僕が暮らしている沖縄本島北部(名護市や本部町付近)は、夏と冬で潜れるエリアが異なります。
北風が強く吹く冬場は、名護市や本部町のビーチポイントが穏やかになるので、僕自身はビーチダイビングでのんびりマクロを撮っていることが多いです。
本部町の瀬底島や、名護市の東側にある大浦湾も、冬の方が穏やかなので、これらのエリアもたまに潜りますね。
一方、夏になると沖縄全域で南風が吹く日が多くなります。
名護市内には南風に強いポイントがないのですが、名護市の南隣にある恩納村は南風に強く、夏がベストシーズンです。僕も夏の間は、恩納村の万座エリアをよく潜ります。
そしてもう一つ、夏にベストシーズンを迎える、僕が大好きなホームの海があります。
それが、沖縄本島北部随一の透明度を誇る離島「水納島(みんなじま)」です。
数年前、初めて水納島の海を潜ったとき、ちょっと大げさですが「天国みたいだ」と思いました。
今年の夏は水納島の海を積極的に撮ってきましたので、本日紹介させていただきます。
水納島はこんなところ
ダイビングは100%ボート!
本部町の港から北西に向けてボートで15分ほど走ると、クロワッサン型の小さな島、水納島に到着します。
水納島には南国を絵に描いたような白砂のロングビーチがあり、本部町の渡久地港から水納島への高速船が一日何便も往復するので、夏はたくさんの観光客で賑わっていますね。
ダイビング船の上にいても、バナナボートで振り落とされる人たちの悲鳴が聞こえてきます。笑
そんな喧騒?とは裏腹に、水納島に集まるダイビング船の上には、のんびりとした空気が流れています。
実は僕自身、沖縄本島でマクロ撮影をするときには、自分のペースで潜れるビーチエントリーを選択することが多く、あまりボートには乗りません。
でも、水納島に行くダイビング船は、ダイブタイムにも割と余裕があるので、撮影で乗らせてもらうことも多いのです。
(水納島は100%ボートダイビングです。本部町の各港からダイビングボートで向かい、島には上陸せずに潜ります。のんびり度合いはお店によって変わってきます…。)
ほかの離島にも負けない
瑞々しく輝く水納島のサンゴ
沖縄本島からたった15分で、離島らしいのんびりダイビングができる水納島。
水中の印象としては、何か一つがずば抜けているというより、すべてが平均点以上で撮影の幅が広い海という感じでしょうか。
なので「水納島の魅力を一言で表せ」なんて言われたらとっても困ってしまうのですが、強いて言うなら…サンゴはすごいですね。
沖縄でサンゴと言ったら西表島や宮古島の名前を挙げる方も多いと思いますが、正直、水納島も負けていないと思います。
スクーバダイビングでじっくりサンゴの写真を撮るのはもちろんオススメですが、スノーケリングやスキンダイビングのポイントとしても最高です。
サンゴが群生しているエリアも広いので、撮影できるポイントがたくさんあるのもうれしいですね。
「ジャイアントケーブル」「ポパイ」「オリーブ」など、ポイントによってサンゴの種類や群生の仕方がちょっとずつ違って、どこも撮り甲斐があります。
ちなみに、下の写真を撮ったときも、エントリー前は「前半30分でサンゴを撮って、後半はマクロに時間を使おう」なんて思っていたのですが、結局60分間サンゴを撮っていました。
僕の撮影がのんびりすぎるのもあると思いますが…「どこを切り取るか迷うくらいサンゴがモリモリなのか!」と捉えていただけるとありがたいです。笑
サンゴの撮影は自然光の影響を大きく受けるので、お天気が悪いときれいに撮影するのは難しくなります。
そんなときは、サンゴを住処にしている小さな生き物を撮影するのも楽しいですよ。
魚の種類は珍しくなくても、もっと言うなら、魚が特別きれいでなくても、サンゴと絡めることで作品性がグッと上がったりします。
春から夏にかけて沖縄の海の中は幼魚で賑わうのですが、今年はなんとなくスズメダイの幼魚が特にかわいく見えたので、気づいたらスズメダイばかり撮っていました。
もちろん、これだけ豊かなサンゴがあるのでそこに住む生き物も無数にいるのですが、ここでは紹介しきれないので、サンゴにお別れを告げて沖に向かいましょう。
きめ細やかな白い砂地は
ヤシャハゼパラダイス!
リーフを離れて沖に向かって少し泳ぐと、そこにはきめの細かい真っ白な砂地が広がっています。
砂地の根に集まったスカシテンジクダイやハナゴイが花火のようにはじける光景は、沖縄の夏の風物詩です(写真はまたそのうち…)。
水納島の代表的なポイント「ジャイアントケーブル」にエントリーする前、この夏撮影に協力してくださった「ダイブブリーズ」オーナーの内山健一さんに「水納島らしい光景ってなんでしょうね…?」と質問したところ、「砂地にポツンとあるテーブルサンゴも水納島っぽいんじゃないですか?」とのアドバイスをいただきました。
確かに、僕が数年前に水納島を初めて潜ったときからずっとそこにあります。
特別、写真映えするとか珍しい生き物が住んでいるというわけではありませんが、水納島をホームにしているダイバーなら誰もが見たことのある光景です。
せっかくこれだけきれいな砂地があるなら、そこに住む小さな生き物も撮影したいですよね。
「水納島のマクロ」と言ったら、この魚を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
ヤシャハゼ自体はそれほど珍しい魚ではありませんが、水納島のヤシャハゼはちょっと特別です。
特に、フォト派ダイバーにとってはうれしい特徴が2つあります。
一つ目は、触れるくらい寄れること。
なぜだかよくわかりませんが、他のポイントで出会うヤシャハゼよりもだいぶ寄りやすいです。
もちろん勢いよく近寄れば引っ込みますが、もし引っ込んだとしても、周囲を見渡せばすぐに何匹か見つかるので落ち込む必要はありません。
まあ、他のダイバーさんもいると思うので、泳ぎ回って引っ込ませまくるのはあまりオススメはしませんが。笑
水納島の水中は潮の流れが出やすいので、ヤシャハゼが捕食体勢に入っていることが多いように感じます。
それも寄りやすい一因かもしれませんし、捕食中はおもしろい写真も撮りやすいですね。
二つ目のメリットは、水深が浅いこと。
ヤシャハゼがたくさんいるエリアは-13~-16mくらいなので、じっくり撮影できます。
他のポイントだと、-20~-30mにいたりもするので、これはありがたいですね。
ちなみに、ヤシャハゼだけでなく、ヒレナガネジリンボウもいますよ。
半々くらいで生息しているポイントも多いですが、水納島は「ヤシャハゼ8:ヒレネジ2」くらいの割合でしょうか。
もう一つ、砂地に生息する代表的な生き物と言えば!
そう、チンアナゴです。
ヤシャハゼとヒレナガネジリンボウは「ポートサイド」というポイントでしかほぼ見ることができないのですが、チンアナゴは水納島のいたる所で見ることができます。
そして水納島産チンアナゴも、とっても寄りやすいです。
他のポイントで出会ってもスルーしてしまいますが、水納島で出会うとついつい撮ってしまいます。
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今回の記事では、サンゴエリアと砂地エリアにざっくり分けて、水納島の海を紹介させていただきました。
まだまだ伝えきれていない水納島の魅力がたくさんありますので、オーシャナ読者の皆さんも、是非直接足を運んでみてください。
ちなみに、今回お世話になったダイブブリーズさんは、ボートでのバディダイブを受け入れている数少ないお店です。
「Cカードを持っている複数人グループであること」と「ダイビング事故に適用される保険に加入していること」の2つの条件をクリアしていれば乗船可能とのことですので、詳しくはお店に問い合わせてみてください。
それでは、今日もここまで読んでくださりありがとうございました!
■取材・撮影協力:ダイブブリーズ
上出俊作さん
プロフィール
2014年、かねてから抱いていた沖縄移住の夢が抑えきれなくなり、製薬会社を退職し沖縄本島に移住。現在は「水中の日常を切り取る」をテーマに、海で暮らす生き物たちの姿を撮り続けている。
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