【屋久島】環境省モニタリング1000サンゴ調査に思うこと by 原崎森
【ポイント】 一湊タンク下No.1
【水温】 22.5℃
【透明度】 15m
【海況】 やや時化気味
【天候】 晴れ
【潜水時間帯】 14:07-15:59
【潮まわり】 07:52 94cm 干潮 / 14:23 181cm 満潮 / 長潮(月齢:8.9)
【日の出・日の入】 日出06:59 日没17:16
今日はようやく晴れた!!
ここ1週間、天気は連日の雨で、海も時化気味の状態が続き、真冬の屋久島を思わせるような状況だった。
環境省のモニタリング1000(サンゴ)におけるホームグラウンド・一湊タンク下の調査をずっとやりたかったのだが、ワイド撮影が必要なこともあってなかなか実施できずにいた。
まだ多少は透明度が悪そうな感じがしたけど、今日は思い切って実施する事にした。
毎日、ウネウネの海でマクロ三昧な日々が続いていたので、ワイド自体が久しぶり!!(^^)
やはり多少は濁りがあって、ちょっとした浮遊物も浮いていたけど、調査目的の撮影ならまったく問題なし!!
被度調査などはほとんどスタッフに任せ、僕は毎年定点撮影している調査範囲内の数箇所を順番に回りながら撮影する。。。
以下は左側が昨年(2010年)、右側が今年(2011年)のサンゴの様子。
ほぼ同じ位置から撮っているのだが、何かちょっと狂ったみたい。。。
まっ、いっか。。。(^_^;)
このブログでも何回も言っていたけど、一湊タンク下の浅場中心付近に位置するウスサザナミサンゴとハナガタサンゴ類が群落するエリアは年々、荒廃しつつある。
原因はポイント全体の泥化だと僕は思っているのだが、ハナガタサンゴ類に関しては明らかに華やかさは落ちていて、死んだ箇所も毎年少しづつ増えていっている。
今年はさらに昨年死んだ箇所に大きな海藻が生えているのを良く見かける。
これは写真からもよく分かる。
上記の写真3枚からはあまり変化を感じないかもしれないけど、これは撮影ポイントが悪いせい。
もう少し上層から全体を俯瞰するような撮り方で撮らないと、推移が分かり難いな。。。と思った。
来年からはもう数カ所、上層から全体を俯瞰できる撮影ポイントを増やそうと思う。
年々、荒廃していくのが目に見えて分かるハナガタサンゴ類に対し、ウスサザナミサンゴは割と泥に強いと思っていたのだが、今年は大きく荒れた。
シーズン前の冬の時化で大きく壊された群落は、シーズン中はずっとそのまま推移。
このウスサザナミサンゴ群落は3年前にボートのアンカーを引きづって大破させてから、一度復活しつつあって安心していたのだが、やっぱりあの影響で弱くなってるのかな。。。(・_・;
もう少し観察を続けたい。
ミドリイシ類は割と元気だ。
白化サンゴもいくつか目にしたが、これは真夏の高水温のせいではなく、ここ最近、水温の低下時に白化したもの。
1年に1回、モニタリング1000の時にしかそのポイントに入らない方が調査員を務めるエリア(全国には結構あるみたい)だと、この辺の判断を誤る気がする。。。(^_^;)
僕らのようにほぼ毎日のように入り観察しているモニタリング・エリアと1年に1回調査のためにしか入らないモニタリング・エリアとでは当然、精度も大きく変わってくる。
環境省は、まさかこれを比較材料にするつもりだろうか。。。怖い。。。(・_・;
僕はほぼ毎日のように入り観察しているモニタリング・エリアと1年に1回調査のためにしか入らないモニタリング・エリアとでは、例え後者を科学的な物の見方ができる方(例えば学者さんとか。。。)が担当していたとしても、やはり前者の精度にはとうてい足元にも及ばないと思う。
全国すべての調査ポイントに誰かしら毎日入るようにするのは実質無理な話なので、こうした精度の違いは仕方がない。
でも「仕方がない」で済ませてしまうのではなくて、やり方はいくらでもあるような気がする。
全国には毎日のようにそのポイントに潜り、状況を時間軸で正確に把握している現地ダイビング・ガイドは沢山いる。
こうしたガイドを組織化して調査を行うことだって、可能な気がする。
よくモニタリング1000は続けることに意味がある、と言われているけど、地元に密着した現地ガイドのような人間なら、年に1回調査のために足を運ぶのとは訳が違って継続性はさらに高まる気がする。
しかもデータは正確。
年に1回調査のために足を運ぶ方には労力的に大変だと思われるもっともっと高度な調査内容でも低い労力でこなせると思う。
なぜなら毎日入っている訳だから、調査日前にはある程度、簡単な調査項目は終わってしまっているようなものだからだ。
毎年思うのだけど、モニタリング1000って年に1回調査のためだけに足を運ぶ方向きの調査方法だな。。。ってつくづく思う。