「撮ってみたいサンゴの海がある」〜 むらいさち×中村卓哉 辺野古・大浦湾へ潜る〜

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辺野古 大浦湾 中村卓哉

一面に広がるテーブル珊瑚

むらいさち×中村卓哉
一緒に潜ることになった経緯

6月某日、私のもとに一通のメールが届いた。

「あまりいろいろ言わないけど、辺野古のサンゴ礁の写真とっても感動した! 見たい、撮りたいって思ったよ」

メールの送り手は、うみかめらまん・むらいさちさんからだった。

辺野古の海のイメージはどちらかというと少し暗い地味な印象をもっていたらしい。
たまたま数ヶ月前フェイスブックに私があげたテーブル珊瑚の写真を見て、今までのイメージが覆り、純粋に綺麗でぜひ撮りたいと思ってくれたとのこと。

辺野古 大浦湾 中村卓哉

大浦湾上空からドローンで撮影した美しいリーフ

私の作風は、記録性を大切にする撮り方。

辺野古の海の写真はカラフルなサンゴと同等に干潟、泥地の生き物、地味な色彩のアオサンゴ、ハマサンゴ類なども多く登場する。
しかし、基地の埋め立て工事が始まった今、もっとシンプルに、人々の心にこの海の素晴らしさを訴えるにはどうしたらよいか模索していた。
そんな折、今回のさちさんからの連絡は素直に嬉しかった。

そこですぐに会って計画を立てることとなり、2週間後には辺野古・大浦湾の海を一緒に潜っていたのであった。

一緒に潜ってみて
〜辺野古のサンゴ、海と向きあう〜

辺野古 大浦湾 中村卓哉

草木をかき分けてエントリーポイントまで歩く2人

辺野古 大浦湾 中村卓哉

対岸に見えるのがキャンプシュワブ。ここからサンゴの綺麗なポイントまで片道400m近く泳いだ。

辺野古と聞くと、普天間基地の移設先として政治的な側面ばかりがクローズアップされがちだ。
もちろん沖縄に暮らす方々にとって、基地問題は日々の生活に直結する最も優先されるべき問題である。
しかし、同じ地球市民として、埋め立て予定地の海の底に暮らすサンゴや魚たちの命にも、もっとスポットライトを与えて欲しい。

「生き物目線に立って海の中を見つめること」

それこそ我々がダイビングを通して学んできた最も大切な価値観ではないだろうか。

美しいサンゴ礁や生き物たちの触れ合いをもとめ世界の海を巡る我々ダイバーたち。
しかし、日本に残る数少ない貴重なサンゴの海が変わろうとしている現状は、あまり知られていない。

「もしかしたら今の日本でもうこの規模のサンゴはなかなか見ることができないかもね」。

それは海から上がった後のさちさんの素直な感想だった。

同じカメラマンの目を通し、同じように辺野古の海が貴重だと想ってくれたことに正直ほっとした。

辺野古 大浦湾 中村卓哉

浅瀬の美しいテーブル珊瑚の上で自然とお互い向き合って撮り合う。

2人のカメラマンとしてではなく、ひとりひとりの人間として、辺野古のサンゴをきっかけに向き合えたこと。
それだけで一緒に潜れた価値があったと思う。
冬場の透明度の良い時期に、辺野古でまた一緒に潜ろうという計画をしているので、ぜひ興味のある方は直接2人にご相談ください。

辺野古 大浦湾 中村卓哉

数千年この海で生き続けてきたアオサンゴの大群落。

「むらいさち×中村卓哉
ゆるかたスライドショ&トークショー」開催

今回はじめてタッグを組んだ、むらいさち×中村卓哉。
辺野古と宜野湾の水中写真を中心としたスライドショーと、トークショーをオーシャナサロンにて開催します。
テイストの全く異なる2人の写真やトークの化学反応をぜひお楽しみに。
もちろん今回撮影した新作なども発表いたします。
ご参加のほど、お待ちしてます!

辺野古 大浦湾 中村卓哉

一緒に辺野古の海を潜った仲間たちと(左から、オーシャナ編集部若菜ちゃん、サワディダイブのアキさん、むらいさちさん、中村卓哉)

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PROFILE
1975年東京都生まれ。

10才の時に沖縄のケラマ諸島でダイビングと出会い海中世界の虜となる。

師匠は父親である水中写真家の中村征夫。
活動の場を広げるため2001年に沖縄に移住。その頃から辺野古の海に通いながら撮影を始める(現在は拠点を東京に置く)。

一般誌を中心に連載の執筆やカメラメーカーのアドバイザーなどの活動もおこなう。
最近ではテレビやラジオ、イベントへの出演を通じて、沖縄の海をはじめとする環境問題について言及する機会も多い。

2014年10月にパプアニューギニア・ダイビングアンバサダーに就任。

■著書:『わすれたくない海のこと 辺野古・大浦湾の山 川 海』(偕成社)、『海の辞典』(雷鳥社)など。
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