世界最小最軽量のSONY カメラ用水中ハウジング 「AOI UH-A7CⅡ」レビュー
世界最小最軽量のSONY カメラ用水中ハウジング

AOI UH-A7CⅡ-WHT & AOI UH-A7CⅡ-BLKとSONYα7C II ILCE-7CM2L ズームレンズキット
AOI UH-A7CⅡの試作機に触れる機会を得ました。
SONYのフルサイズミラーレスカメラ「α7C II」を収めるために設計されたAOIの新型ハウジングです。この「α7C II」は手のひらサイズのコンパクトボディに3300万画素の裏面照射型CMOSイメージセンサー「Exmor R」と、画像処理エンジンの「BIONZ XR」を搭載。静止画・動画ともに100-51200の常用ISO感度を実現し、ノイズを抑えた高感度撮影が可能です。さらに、進化したAF性能で被写体認識性能が向上し、クリエイティブな撮影をサポートします。そして、この優れたカメラを包み込むAOI UH-A7CⅡもまた驚くべきアイテムです。
耐水圧は60m、ズーム操作ギアやバキュームリークセンサー、モイスチャーセンサーが標準装備されており、多機能かつ信頼性抜群。さらにポリカーボネート製ボディは軽量化を実現し、なんとハウジングの重量はわずか1302g。カメラと合わせても2kgを下回るという軽快さを誇ります。デザインも「ホワイト」と「ブラック」の2色展開で、洗練されたスタイルを感じさせます。
これまでの水中ハウジングとは一線を画したAOI UH-A7CⅡは、機能性だけでなく、持つだけで気分が高まる魅力的なデザインで多くのダイバーや写真愛好家に新たなインスピレーションを与えるでしょう。ワイド撮影で名高いチューク諸島での前回のUH-A7Ⅳの撮影とは異なり、今回はマクロ撮影でその性能を徹底検証。
ハウジング標準装備のズームキット用レンズポートを最大限活かし、どこまで迫れるか挑戦しました。まったく新しい撮影体験が待っている、そんな期待を胸にこの新型ハウジングを試してきました。

AOI新型トレイAOI MDS-01HT1616++がとってもおしゃれ!
ズームキットに標準装備される「FE 28-60mm F4-5.6」を駆使して魅力的な作品を撮るなら、クローズアップレンズの導入は必須。レンズ単体ではズームを望遠側いっぱいにしても、小さな生物をドラマチックに捉えることは困難です。そこで今回、最高峰のクローズアップレンズを選りすぐりました。
超高倍率クローズアップレンズ: AOI UCL-900PRO
高倍率クローズアップレンズ: AOI UCL-09PRO
これらのプロ仕様レンズは、フルサイズセンサーの優れた描写力を最大限引き出し、色滲みや歪みを抑えた精密な仕上がりを実現します。この精鋭たちを引き連れて、沖縄本島の本部緑地公園で新たなる挑戦に臨みました。

撮影にはUH-A7CⅡ-BLKを使用しました

当日、写真家の上出さんにもお会いしました
標準レンズで撮る!
フルサイズミラーレス
みんな大好きピカチュウウミウシ

フルサイズ機であるSONY A7CⅡで撮ると背景のボケがとても美しい。キットレンズでも十分楽しめる
本部ビーチにエントリーして少し行くと、まず目に入ったのが「ピカチュウ」ウミウシ。今年も大発生? していて大きな個体から微小な個体と数多くみられました。その中でも交接しそうなペアーにアプローチ。被写界深度が狭いフルサイズ機を意識しての絞り設定でピントの奥行きを確保。
背景は明るく仕上げたいので+0.3EV補正を施す。思い通りの仕上がりとなった。キットレンズでもこんなにシャープで高精細な作品になった。
撮影モード
M(マニュアルモード)
絞り
F16.0
シャッター速度
1/160
ISO感度
1600
露出補正
+0.3EV
ホワイトバランス
AUTO
フラッシュ
ON
撮影地
沖縄本島 本部
カメラ
SONY ILCE-7CM2
レンズ
SONY FE28-60mmF4.0-5.6
ハウジング
AOI UH-A7CⅡ-BLK
レンズポート
AOI FLP-103
アーム
AOI AMC1-BB-6
クランプ
AOI CP-02-WHT
ストロボ
AOI Q1
クローズアップレンズ
AOI UCL-09PRO
踊るウミウシ

ウミウシの触覚が驚くほど鮮明に描写しているのに驚きます。3300万画素センサーだけあって高精細
ピカチュウウミウシの撮影に40分くらい費やしたろうか?そろそろ集中力も欠けてきたので次の被写体を探しにBCに吸気してワンキックしたところに少し大型のウミウシを発見。
ヒラヒラとフリルを振って動く可愛らしい動作をなんとか静止画に収めたいと、夢中で撮影した一枚。動きの速いウミウシの撮影にはターゲットを追い続けるオートフォーカスが抜群に役にだちました。ウミウシの触覚にターゲットを定めたらレンズを動かしても、カメラとウミウシの距離が変わってもピントを合わせたま離さない!と言った便利な機能を試してみたが、大成功でした。
撮影モード
M(マニュアルモード)
絞り
F:20.0
シャッター速度
1/160
ISO感度
1600
露出補正
+0.3EV
ホワイトバランス
AUTO
フラッシュ
ON
撮影地
沖縄本島 本部
カメラ
SONY ILCE-7CM2
レンズ
SONY FE28-60mmF4.0-5.6
ハウジング
AOI UH-A7CⅡ-BLK
レンズポート
AOI FLP-103
アーム
AOI AMC1-BB-6
クランプ
AOI CP-02-WHT
ストロボ
AOI Q1
クローズアップレンズ
AOI UCL-09PRO
ひつじ顔のウミウシ

砂粒が玉ボケになりウミウシの可愛らしさに磨きがかかる。これがキットレンズの作品とは思えない程の描写力がある
撮影を初めてすでに70分が過ぎた頃、この極小なウミウシを見つけてしまった。クローズアップレンズを高倍率型のUCL-09PROから超高倍率のUCL-900PROに変えてアプローチ。1mmあるかないかの極小サイズ。ここはボケの中に浮き出るようにウミウシを表現しようと絞り値を開放に。
安価なクローズアップレンズを使うと、画面中央の解像が保たれるのだが、画面端に行くにつれてボケて溶けてしまう仕上がりになる。この作品の画像の端を見てもしっかり解像しているのが分かる。PRO使用のこのレンズなら画面の端に主要な被写体を配置して撮影することが可能です。
撮影モード
M(マニュアルモード)
絞り
F:8.0
シャッター速度
1/160
ISO感度
500
露出補正
+0.7EV
ホワイトバランス
AUTO
フラッシュ
ON
撮影地
沖縄本島 本部
カメラ
SONY ILCE-7CM2
レンズ
SONY FE28-60mmF4.0-5.6
ハウジング
AOI UH-A7CⅡ-BLK
レンズポート
AOI FLP-103
アーム
AOI AMC1-BB-6
クランプ
AOI CP-02-WHT
ストロボ
AOI Q1
クローズアップレンズ
AOI UCL-900PRO
ハゼ撮影なら中望遠マクロレンズ
臆病な被写体や、やや離れた位置から撮影したい被写体なら本格的な中望遠マクロレンズがおすすめ。
SONY FE90mmF2.8Macro G OSS + AOI FLP101

SONY FE90mmF2.8Macro用レンズポートAOI FLP101を装着したAOI UH-A7CⅡ
脅かさずに撮るとこんなシーンも

フルサイズセンサーの3:2のアスペクトをフルに生かしてマクロだけどワイドのような作品
SONY Gレンズならではの美しいボケ味とキリッとした高解像感を活かした作品に仕上げたく、背景の仕上がりにトコトンこだわって撮影しました。絞り値をF2.8と被写界深度を極端に狭く設定してそのピントの隙間に大好きなヒレナガネジリンボウとテッポウエビが来るのをひたすら待つ…。
訪れたチャンスをものにするために連写で奇跡の一枚を探ってみました。
撮影モード
M(マニュアルモード)
絞り
F:2.8
シャッター速度
1/250
ISO感度
100
露出補正
+0.7EV
ホワイトバランス
AUTO
フラッシュ
ON
撮影地
沖縄本島 恩納村
カメラ
SONY ILCE-7CM2
レンズ
SONY FE90mmF2.8MACRO G OSS
ハウジング
AOI UH-A7CⅡ-BLK
レンズポート
AOI FLP-101
アーム
AOI AMC1-BB-6
クランプ
AOI CP-02-WHT
ストロボ
AOI Q1
いかがだったでしょうか?
私自身、これまでフルサイズミラーレス機を水中撮影で使用することには抵抗がありました。その理由として、機材の大きさや陸上での重量、さらにレンズのサイズが持ち運びに不便である点が挙げられます。特に、狭いケーブや沈船内での取り回しには支障をきたすのではないかと懸念していました。
しかしながら、今回AOIの新製品をテスト使用することで、SONY製フルサイズミラーレス機の性能を水中で試すことができました。これまで「SONYのフルサイズミラーレス機はバッテリーの持ちが悪く、水中環境には不向きだ」と耳にしていましたが、実際には120分間に及ぶロングダイブでもバッテリー切れを起こすことはありませんでした。また、「オートフォーカスが遅い」「発色が良くない」といった意見も耳にしましたが、今回の使用感ではそのような問題は一切感じませんでした。それどころか、非常に高精細でシャープな描写が可能であり、美しいボケ味を楽しむことができました。
手のひらサイズのミラーレスカメラとして、非常に完成度の高い性能を発揮するカメラだと実感しています。
○AOI UH-A7CⅡ スペック
○新レンズポートマウントシステム
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▶︎マリーンプロダクト水中撮影教室
製品の問い合わせは日本国内でのAOI製品の販売元はフィッシュアイへ
株式会社フィッシュアイ / Fisheye Co., Ltd.
〒171-0052 東京都豊島区南長崎5-29-7
Tel:03-5996-5637 /Fax:03-5996-7202
URL:http://www.fisheye-jp.com
毎年6月ごろにみられるニシキテグリの産卵シーンの撮影会を実施します。場所は沖縄県の今帰仁村。また、撮影会開催に合わせオーシャナ(ocean+α)コラボ企画としてオンラインの特別レクチャーを実施!写真家・清水淳が撮影テクニックの紹介と準備したほうが良いニシキテグリ用ライトのお話などニシキテグリ撮影に役立つ情報をお伝えします。
① ニシキテグリ撮影会

開催日2025
6月17,18,19,20,21,22,23
※6月21〜22日はocean+αのスイカも参加します
スケジュール
• 09:00 那覇おもろまち駅出発
• 12:00 今帰仁到着 昼食を持参ください/コンビニに寄ります。
• 13:00 ボートダイビング ニシキテグリ以外の撮影を楽しみます
• 15:00 ボートダイブ ニシキテグリのポイントでインスペクションダイブ 撮影場所の確認とカメラのチューニングをチェック
• 18:45 ボートダイブ ニシキテグリ撮影ダイブ 水深が15mあるので30-40分程度の潜水時間。
• 21:00 今帰仁を出発 /現地で宿泊、翌日も連続でニシキテグリ撮影を楽しむこともできます。
• 22:30 おもろまち駅到着
ニシキテグリを狙うには、暗い環境でサンゴを壊さないように浮力を調整しながら撮影します。少し自信のない方も安心して参加いただけるように配慮した超小人数ツアー運営をいたします。
1日4名様限定
• 参加資格
12歳〜69歳の健康な方
PADIアドバンス同等資格以上
ダイビング経験:ブランクが無く、+20DIVE以上、耳抜きをスムーズに出来る方。水深、残圧も自己管理ができる方。
ダイビング終了後、飛行機搭乗までに最低18時間以上ある
注意事項に同意いただける方 https://www.marine-p.com/information/form/
ダイブコンピューター&シグナルフロートを必ず携行してください。(レンタルあります)
通常の水中ライト、をお持ちください。
ニシキテグリ撮影ツアー費 ¥38,000
那覇市おもろまち駅集合もしくは、おもろまち周辺ホテル送迎可能
ランチ・ドリンクはご自身で準備ください。
今帰仁で連日ダイビングの場合には指定ホテルへの送迎可能
(今帰仁/ベルパライソ、名護/フェニックスパーク、ホテルゆがふぃん)
詳しい情報&お申し込みは
https://www.marine-p.com/photo-tour/mandarin/
② 【清水淳✖️ocean+α】ニシキテグリ撮影のためのオンライン教室
ニシキテグリ撮影会お申し込みの方限定でオンラインにて特別レクチャーを実施! 撮影のコツやカメラのセッティング、必要なライトなど準備万端で臨みたい方はぜひご参加を。
・使用カメラはなんでもOK。TGユーザーの方も大歓迎!
・OM-1、TG-6フルセットレンタル無料
・撮影した作品をocean+αに掲載!
参加費用¥5,000 ※事前振込
申し込みはこちらから▶︎https://forms.gle/cp8cGvXED1995Jjc9
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