【甲浦】水鳥たちが渡来 by 福井宣博

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2月の高知は晴天率が高く体感温度も高め、
そのおかげで日本プロ野球をはじめ
韓国プロ野球やJリーグなどもキャンプをおこなうようになりました。

この時期の甲浦は四国山脈が影となり北西季節風を遮るために
風が殆ど吹かず海はベタ凪状態になります。
また水温も18℃近くあるため魚影も濃く海況は良好です。
 

レジャーダイバー以上にこの時期を楽しみにしているのは
磯釣り客で岩場の磯には足の踏み場もないほどごった返し賑わいます。
その磯に釣り客以上に集まるのが水鳥たちで
冬期は渡り鳥も加わりその数が倍増、
小さな岩場は鳥山となって岩肌が見えないほどなのです。

ユリカモメをはじめカモの仲間、
中にはハクチョウの仲間も飛来した記録があり
新聞紙上でも紹介されたこともありました。
それほど数多くの水鳥たちがこの甲浦湾に飛んでくるのには訳があります。

風も弱く暖かな日は水面いっぱいに水鳥たちが広がり
捕食のためのダイブを繰り広げます。
餌は水面付近を泳ぐイワシの仲間や珊瑚礁に隠れるテンジクダイで
日中は鳥たちに食べられないように集団で塊を作り身を守る姿が見られます。

その捕食シーンを撮影するために
小魚の多く集まる場所に身を潜め粘るのですが
人の気配を感じるのかなかなか近づかせてくれません。
ボートで移動中に多くの鳥たちが集まり魚を追いかけるところに遭遇すると
すぐに海に飛び込むのですが
それはあとの祭りで
カメラを構えると自分の上空を舞う姿が映っていたなんてことも
よくあるのです。

日当たりの良い小磯では鳥たちが日光浴している姿を見ることが出来ます。


 
観察しているとどの鳥も太陽に向かい翼を大きく広げ
自身の体を干しているようです。
これは羽根についた寄生虫を紫外線に当て殺菌しているのだそうです。
ひな壇上の岩場には何列も繋がり
まるで手をつないでいるかのようにも見えるのです。

岩場に目を落とすと鳥たちの糞で岩肌が真っ白に染まります。
甲浦では雪が積もることは何十年に一度ぐらいしかないので
岩場が白くなるのは渡り鳥たちが多くやってきた証拠。
今年はその数も多くどの磯も雪化粧ならぬ糞化粧があちこちの磯で見られます。

こういった模様も含め水中から撮影できないかと
何度もアプローチをかけるのですがやはりなかなか近づかせてはくれません。
一時は節分時期と言うこともあり
豆まき用の豆を蒔いて気をそらそうと試みましたが
逆効果で一斉に逃げ出す始末・・・(汗)。

思ったような構図で撮影することは至難の業のようです。

今年は何か良い方法がないか調べていたのですが
諸処の事情があり自身は潜ることが出来なくなりました(涙)。
半水面でダイナミックな撮影がしたいというのであれば
アドバイスしますので是非チャレンジに来て下さい!

こちらも冬の今頃に見られるのがボラの大群です。
通称”ボラクーダー”とも呼ばれ
体長20〜30cmの中成魚が何千匹という大群で泳ぐシーンに遭遇します。

河口付近では夏場に小さな個体(甲浦ではイラという)が
水面ビッシリと鯉のように口をパクパクさせ泳ぐ姿を見かけますが、
成長して海へ帰るまでは
どうやら湾内と河口付近を集団で移動してるのではないかな〜
と想像しています。

漁師によると
朝方は湾内で見かけ、昼からは外洋に面する浅い岩場で見かける
という情報も頂きました。
何時どこで確実に見られるというアテはありませんが
遭遇の可能性が一番高いのは朝方の湾内ではと思います。

また湾内には珊瑚が数多く群生し
遭遇率が高いポイントはエダサンゴの仲間が豊富です。
透明度が良く珊瑚礁をバックにボラの群が撮影できると
海外で見かけるバラクーダーの群れを彷彿させるのでは?
と勝手に思いこんでいる次第です。

今年はまだ遭遇していませんが
これから春までの間は期待が出来る冬の見所のひとつでしょう。
しばらくは渡り鳥や魚たちの群で賑わう甲浦湾が
暖かな冬の風物詩として僕たちの目を和ませてくれそうです。

この情報は、mixiのコミュニティ「現地プレス」に2月2日、
掲載されたものを管理者の許可を得て転載させていただいたものです。
「現地プレス」は休刊した『ダイビングワールド』の人気連載コーナーを
執筆していた国内外の人気ガイド陣による情報で、
2月3日現在、「節分」をテーマに多くの方が投稿しています。
mixiをご利用の方はそちらも併せてご覧ください。

PROFILE
福井宣博
Norihiro Fukui

ノリさんの通称で親しまれている人気インストラクター&ガイド。
徳島県宍喰町出身で、1996年に《オランクダイバーズ》をオープン。
生態系解説ダイビングをモットーに、
のんびり、ゆっくりダイビングを実現。
水中の『特選素材』を日々探し求める自称海の演出家。
「食材にも季節季節の旬のものがあるように水中生物にも旬があると考えています。
その旬のものをどのようにゲストに提供するか、
またその調理方法はどうしたらいいかなどをアドバイスさせて頂きます。
もちろん撮影にもこだわりがありますがもっとこだわるのは食の方ですが・・・」

オランクダイバーズ
http://www.oranku.com
携帯サイトhttp://oranku.com/i.html

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