Q.安全停止を忘れた。減圧症は大丈夫?

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ダイビング歴45年・やどかり仙人のアップアップ相談室

Q.
先週の日曜日。18mの予定でダイビングをしました。
透明度が悪く、バディとはぐれたことに気がついたのが24mでした。
セオリー通り、1分間待ってから浮上しましたが、
心細くて慌ててしまい、安全停止をするのを忘れてしまいました。
合計潜水時間は25分で、減圧不要リミットの範囲内ですが、
減圧症が心配です。大丈夫でしょうか?

A.
桜は散っているのに、寒い寒い! 海の中も寒かろうな。
やどかり仙人が夢中になって潜っていた頃は、着たきりすずめの6.5mm。
なぜか真冬よりも春めいてきた今頃はひたすら寒かった。
そんなやどかり仙人のところへ、かわいいご質問であります。

「大丈夫でしょうか?」と言われてしまうと、
絶対の大丈夫はないのが減圧症なので困るのですが、
ここではあくまでも常識の範囲、理論の上でということでお話しましょう。

今回のご相談のキーワードは安全停止です。

お答えは、今現在、減圧症の症状がなければ、多分大丈夫でしょう。
その理由は、ヤドカリ仙人が資料をもとに計算してみた結果です。

24mにまるまる25分いたとしても、アメリカ海軍のダイブテーブルでも、
PADIのRDPでも、また最も新しい減圧表とされるRGBMでも、
ノーストップの範囲内であるだけでなく、
この深度と潜水時間では、早い組織だけが限界値に近づくだけで、遅い組織はまだ余裕があるからです。

安全停止は簡単にいえば、限界に近づいてしまったときの、
いわゆる救済措置というか補助手段であるということです。

ご相談の目的は、安全停止をしなかったのが心配だということです。
このダイブでは直接水面に浮上してよいダイビングであることは
確認できているわけです。

気泡を防ぐという意味では、
無減圧リミットぎりぎりのダイビングをすることを避けることに比べれば、
安全停止はそれほど大きな効果があるわけではないとされております。

簡単に言えば、安全停止よりも無減圧リミットに近づかないほうが
減圧症を防ぐ
ってことです。

では、無減圧リミットを守れば、
安全停止なんて面倒なことをしないでよいのか?という、
話になっちまうのですが、どうもそうでもないようで……。

そこで「安全停止ってする理由はなんだ?」というお話は次回に。

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PROFILE
1964年にダイビングを始め、インストラクター制度の導入に務めるなど、PADIナンバー“伝説の2桁”を誇るダイビング界の生き字引。
インストラクターをやめ、マスコミを定年退職した今は、ギターとB級グルメが楽しみの日々。
つねづね自由に住居を脱ぎかえるヤドカリの地味・自由さにあこがれる。
ダイコンよりテーブル、マンタよりホンダワラの中のメバルが好き。
本名の唐沢嘉昭で、ダイビングマニュアルをはじめ、ダイビング関連の訳書多数。
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