ダイビング後のスキンダイビングの着地点はどこ?

ダイビング後のスキンダイビングは減圧症になる!?

前回、軽い気持ちで取り上げたお話でしたが、私ヤドカリ爺からしても、
大先輩の神様のごときダイバーのご意見をはじめ、
タイのサムイでご活躍の現役インストラクターの見聞、
さらにはご本人が3度も減圧症にかかったというインドネシアからの怖-い書き込みもございました。
どなたも、いわゆるプロとしてダイビングなさる方ばかりです。

そんな方々が、スクーバダイビング語のスキンダイビングは、
しないほうがよいとほぼ断言
されておられます。
少なくとも、プロとして働かれる方には、かなり現実的、切実な問題のようであります。
となると、理論上は可能性があるが、実験的な証明がほとんどないなどといった、
悠長なことを言っておれないという気分であります。

もちろん、ヤドカリ爺なりに調べた結果であります。
最も新しい根拠は、DANのアラート・ダーバー・オンラインがこの問題を取り上げており、
オーストラリアのウォン博士とアメリカのデューク大学ポロック博士が、意見を述べておられます。
その結論が、「可能性はあるが、実験で確認されていない」ということでありました。

実際に、スクーバの後でスキンダイビングをするなんて、
リクリエーションダイビングの世界の話であって、
作業ダイバーやヘルメットダイビングの世界のことではありません。

理屈っぽく言えば、スクーバの後に、タンクをつけない反復ダイビング、
またヨーヨーダイビングをするわけですから、
減圧症のリスクは当然理論的にはあるとしか申し上げようはないのです。

かつてヤドカリ爺などの時代は、ごく日常的に行われていました。
また現在でも、熱帯地方のリゾートなどでは、ごく当たり前に目にするシーンであります。

このような滞在型リゾートでは連日の3ダイブ、4ダイブといった、
プロ顔まけの窒素たっぷり溜め込みタイプのダイビングをなさるわけで、
それにさらにスキンダイビングでマイナスのファクターをつけ加えないほうがよいというのは、当然であります。

だからといって、「スクーバの後でのスキンダイビングは危ない」とか
「控えてください」なんてブリーフィングは、あまり聞きません。

すでにそれが原因で3度も減圧症にかかっている
(すごい!!どんな治療を受けたのだろうか?心配です)
バリ島のインストラクターの書き込みがありました。ヤドカリ爺は正直ギョットしたのであります。

もしかすると、ダイビング後の飛行機搭乗などと同じように、
リクリエーションダイビングにとってかなりシリアスな問題ではないかと。

このダイビング・ドット・コミュには、
世界中のリゾートで働くインストラクターやダイブマスターがおられるようで、
スクーバ後のスキンダイビングで減圧症の症状が起きたというケースがあれば、
ぜひお知らせいただきたいと思うております。

理屈じゃそうだが、実際のところどれほどリスクがあるのかといった実験を
専門家の先生がしてくれて、シンポジウムやワークショップなどで、
一定のガイドラインを決めていただかないことには、
私たちは、うろうろと、どっちにつかずの状態にいなけりゃなりません。

安全の理屈を印籠として、スクーバの後の裸で素もぐりなんて至福のときを、
取り上げられるのは、ちと寂しい気もするのです。

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PROFILE
1964年にダイビングを始め、インストラクター制度の導入に務めるなど、PADIナンバー“伝説の2桁”を誇るダイビング界の生き字引。
インストラクターをやめ、マスコミを定年退職した今は、ギターとB級グルメが楽しみの日々。
つねづね自由に住居を脱ぎかえるヤドカリの地味・自由さにあこがれる。
ダイコンよりテーブル、マンタよりホンダワラの中のメバルが好き。
本名の唐沢嘉昭で、ダイビングマニュアルをはじめ、ダイビング関連の訳書多数。
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