古代ローマ時代の金貨をダイバーが発見!
2015年2月中旬、イスラエル発のあるニュースがダイビング界で話題となりました。
イスラエル中部、古代から港町として知られるカイザリア(Caesarea)。
そこの地中海沿岸沖で、あるダイビンググループが、大量の金貨を発見したのです。
見つかったのはナショナル・パークになっている人気のダイビングスポットカイザリアの古代港湾遺跡内でした。
カイザリアは、古代ローマ時代の港湾都市で、町の名はローマ皇帝カイザル(シーザー)にちなんで、カイザリアと呼ばれるようになったそうです。
金貨を発見したダイビンググラブのメンバーは、最初、何を見つけたのかわからなかったのですが、本物の金貨だと気づいた時、クラブコーチに連絡し、現場には考古学庁の専門家が早速集まりました。
考古学庁は、見つかった金貨は貴重な歴史的遺産で、貿易を行っていた商船が沈没し、そこから来たのではないかと言っています。
総重量は約9キロで、1000年以上前の時代のものだそうです。
中東と北アフリカ地域の大半を支配していたファーティマ朝(909~1171年)に鋳造されたのかもしれないと考古学庁は推測します。
発見したダイバー達は、金貨を持って帰ろうとしなかった事を褒められ、 母国とその歴史を愛する、良い心を持った人達だと讃えられました。
そんな金貨を発見したダイバーの一人、 ズヴィカ・ファヤーさん(Zvika Fayer)に、発見の様子とその後の話をお聞きしました。
――― 金貨を見つけために潜ったのでしょうか?
「いえいえ、普通に遊びでダイビングへ行き、当初は別のポイントで潜る予定でした。しかし、天候が悪化するかもしれないという通報があったので、金貨を見つけたポイントで潜る事になりました」
――― どのように金貨を発見したのでしょうか?
「そのポイントでは何度も潜っているので、普通にのんびりとしたファンダイブをしていると、しばらくしてから遠くにピカピカ光っているものが見えたのです」
――― 金貨はどこで、何枚見つけましたか?
「深さ11mぐらいで発見して、ダイビング1本目に500枚ぐらい持って帰って、ダイビングを数本かけて3,000枚ぐらい持って帰りました。すごく光っていたよ!」
――― 金貨は何かに入っていたんですか?
「箱などは見当たらなくて、小さな範囲であちこちに散らばっていました」
――― 金貨を見つけた時どんな気持ちでしたか?
「最初は2枚ぐらいしか見つからなかったけど、その後どんどん出てきました。皆すごく興奮したよ! 金貨には何が書いてあるのかわからなかったけど、もしかしたらすごい発見かもしれないと心の中でワクワクしていました」
――― どうやって持って帰ったんですか?
「皆BCDのポケットの中に金貨をいっぱい入れてそのまま水面まで泳いで行きました。相当重かったよ(笑)」
――― 水から上がった後は?
「考古学庁に早速通報して、金貨を安全なところに置きました」
――― 金貨が貴重な歴史的遺産だと分かった時、どんな気持ちでしたか?
「考古学庁の海洋課のトップからすぐに教えてもらい、びっくりしたよ!」
――― 金貨は今どこにあるのですか?
「考古学庁にあります。スタッフが金貨を使って今いろいろ調べて研究しているそうです」
――― 海外からの問い合わせやメディアインタービューは多かったですか?
「世界中から様々な問い合わせが来て、ダイビンググラブのメンバーもテレビインタービュー等でけっこう忙しかったけど、今後は金貨が発見された海底の調査や研究に更に関わるのを皆とても楽しみにしている」
※
金貨が発見されたポイントには、古代の遺物が他にも沈んでいる可能性があります。
海で一体どんな物が眠っているのでしょうか。
ダイビングは生物だけでなく、思いにも寄らない発見も待っています。
潜るのってやっぱり楽しくて浪漫がありますね!