Underwater Photographers from Around the World(第2回)

アニラオの海とカエルアンコウを愛する、水中生物カメラマン、マイク・バーティック

今回、ご紹介させていただくのは、アメリカの水中カメラマン、マイク・バーティック(Mike Bartick)さんです。

マイク・バーティック

マイクさんは、フィリピン、アニラオのCrystal Blue Resort で定期的に潜っており、2015年4月にシンガポールで開催されたダイビングフェアADEX (Asia Dive Expo)で水中写真についてのプレゼンテーションをしました。

彼の写真はダイビング雑誌やウェブサイトに広く掲載されており、水中写真やインド洋・西太平洋地域や東南アジアの自然についてのセミナーやワークショップも定期的に開催しています。

–––– 水中写真をはじめたきっかけは何ですか?

子供の時夏休みは、いつもカリフォルニアの海で泳いだり遊んだりしていましたが、本格的な海洋生物や環境に紹介されたのは、家族でハワイへ旅行してスノーケリングをした時でした。

沖の藻場(kelp forest)とチャンネル諸島(カリフォルニア州)を探検したかったので、カリフォルニアの冷たい海でダイビングライセンスを取得しました。

水中写真は、ダイビングをしている時自然にやるものだと発見し、潜らない人や潜れない人と海の様子をシェアし、自分の知識も同時に深めるいい方法だと思ったので、水中写真を始めました。

–––– アニラオで定期的に潜っているとおっしゃいましたが、アニラオの特徴や特別なところは何ですか。

海の生物を観察するのにハマってしまい、生活の中の大きな原動力なのです。

海の生物を観察するのが好きだからこそ、素晴らしい地球の海を探検したくなって、世界中を旅する事ができました。

生物を観察し、生態を水中写真で捉えるチャレンジもとても好きですが、マクロに最適なスポットはフィリピンのアニラオだと思います。

なので、ほぼ8年前アニラオに移り住み、水中写真がメインのリゾートをオープンしました。

ここで毎日潜りながら、お客さんと様々な写真、情報、知識をシェアしています。

月日が経ち、ダイビング本数は2,300本になりました。
1年に300本以上潜っています。

–––– マイクさんにとって、特別な写真を見せてください!

スケレトン・シュリンプ、オバケエビ(撮影:マイク・バーティック)

GOLDEN SKELETOR(スケレトン・シュリンプ、オバケエビ)
Skeleton shrimp Caprelidae sp.

リゾート近くのダイビングスポットの深いところにいた時、この写真を撮りました。

このエビはとても明るくて、普通のスケレトン・シュリンプよりも大きかったです。

岩の周りに住んでいて、この写真を撮った時、数匹がヒドロ虫や被嚢類(ひのうるい)にくっついていました。

まるで小さなコミュニティーのようでした。

特別な照明方法で、最適なポイントへ光を当てる事ができたのです。

–––– マイクさんは小さい生物が好きですね。この次の写真を見ているとそう感じるのですが、このタコはどちらで撮影されたものですか?まるでプランクトンみたいですね!

SETTELING WUNDERPUSS PHOTOGENICUS(和名なし)(撮影:マイク・バーティック)

SETTELING WUNDERPUSS PHOTOGENICUS(和名なし)

長めのマクロレンズを使って、ちょうどいいタイミングでこの写真が撮れました。

英語でWunderpussと言います。

僕にとって、一生に一度の写真です。

このタコは海流に運ばれながら徐々に成長していきます。
大きくなったら砂まで落ちていき、ライフサイクルの次の段階がスタートするのです。

砂まで落ちていくので、ダイバーは普段海底や砂の上でよくこのタコを発見するのです。

–––– この写真も、 決定的瞬間を撮ったようですね。

Hairy frogfish(撮影:マイク・バーティック)

YAWN!(あくび)
Hairy frogfish(A. striatus

とても可愛くて活発な毛深いカエルアンコウは、一番好きな被写体の一つです。

あくびは警告を表しているそうです。
また、 捕食者が近くにいると 、自分を大きく見せるため膨らむのです。

この魚は普段ほとんど動かないのですが、ものすごいスピードで自分と同じサイズの魚を一発で捕まえて食べるのです。

捕まえる時のスピードも恐ろしいほど速く、最も洗練した海の生物の一つだと思います。

(以上、3枚の水中写真情報:Nikon D7100、105mmマクロレンズ、1 YS-D1 ストロボ、Retraスヌート付、F/20 @ 1/200)

–––– さらに下記の3枚の写真もいただいていますが、3つともマクロですね。マイクさんはどうしてマクロがそんなに好きですか。

Miamira alleni (ウミウシ、和名なし)(撮影:マイク・バーティック)

Miamira alleni (ウミウシ、和名なし)

ハナオコゼ(撮影:マイク・バーティック)

SARGASSUM FROGFISH (ハナオコゼ)
Histrio histrio

ボロカサゴ(撮影:マイク・バーティック)

WEEDY SCORPIONFISH(ボロカサゴ)
Rhinopias frondosa

英語でcrittersと呼ばれるマクロ生物は、 さまざまな面白いストーリーがあると思います。

砂で長い間生きるのは大変だけど、マクロ生物は生き残るために毒や派手な色等を使って、とても進化していて、驚くことばかりです。

まあ、もちろん、単純に綺麗ですしね!

一番好きな生物はカエルアンコウです。

見るたびに、とにかく写真を撮らないと気がすみません。

独特な生物、行動や被写体を見つけるためほぼ毎日潜っており、研究もしています。

また、”Cute Factor”可愛い生物も好きです。

長いレンズを使ってマクロの写真を撮るのですが、広角レンズ、ストロボやスヌート、連続照明もトライするのが楽しいですね〜。

–––– マイクさんは、どこの海が好きですか。また、日本の海はどんなイメージですか。

アニラオ(Anilao)、レンべ (Lembeh)、アンボン(Ambon)、南オーストラリアとカリフォルニアで潜るのが一番好きです。

日本ではまだ潜った事がありませんが、潜ってみたいですね。

*

マイクさんの写真を見ると、水中写真を撮る時シャッターの「タイミング」がどれだけ大事なのかを改めて実感できます。

タイミングによっては、かなりインパクトのある写真が撮れるのですね!

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PROFILE
イギリス生まれ、8歳から13歳まで日本で育ったイギリス人と日本人のハーフ。

2006年に再度来日し、ナレーター、翻訳者、ライターとしてNHKテレビ、ラジオ、日本駐在外国人向けのウェブサイトなどで活躍。
2010年ニューカレドニアで体験ダイビングをしたのを機にライセンスを取り、2011年以降定期的に日本で潜っている。

日本の海の魅力、多様な生物や地形等に感動し、海外であまり知られていない日本のダイビングを紹介する目的で、2011年にブログ(Rising Bubbles)を立ち上げた。

外国人向けのサイトや海外のダイビングサイトで日本のダイビングスポットを定期的に紹介しており、スコットランドのセントアンドリューズ大学で水産養殖も勉強中。

「ダイビングをきっかけに、日本の海がどれだけ魅力的なのかをすごく実感しました。この連載では、たくさんの情報を届けていきながら、海外からのトピックを取り上げ、日本と海外の違いや海外の視点等をシェアするのを楽しみにしております」
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