Underwater Photographers from Around the World(第4回)

フリーダイビングと大物を愛する水中写真家リア・バレット

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リア・バレット (Lia Barrett)

Jellyfish Lake

今回、ご紹介させていただくのは、韓国系アメリカ人の水中カメラマンのリア・バレット (Lia Barrett)さんです。

リアさんは、トンガやメキシコなど、さまざまな場所で定期的に潜っており、2015年4月にシンガポールで開催されたダイビングフェアADEX (Asia Dive Expo)で水中写真についてのプレゼンテーションをしました。

リア・バレット (Lia Barrett)

リア・バレット (Lia Barrett)

リアさんの仕事はフリーランスカメラマンにとどまりません。

Prawno Apparelというブランドのクリエイティブ・ディレクター、そしてDive Photo Guideの写真編集者として働いています。
※Prawnoのデザインはすべてリアさんの写真に基づいたものです。

潜っていない時はほとんど仕事で忙しいリアさんですが、休みは旅行やさまざまな料理を味わうのが大好き。
月日が経ち、もうログ付けはしていませんが、ダイビング本数はだいたい1,300本だそうです。

―――ダイビングや水中写真をはじめたきっかけは何ですか。

10歳の時、親とハワイでシュノーケリングをしました。海から離れたくなくて、 家に帰ったら自分の部屋の壁に魚の壁画を描きました! 

すごく気に入っている水中写真を見ながら描いて、水中カメラマンになると決めたのです。
16歳の時ダイビングの資格を取って、夏休みはBroadreachというプログラムに参加しました。

シナイ半島で3週間潜って、探検して、わんぱくなティーネージャーばかりと遊んで、とても楽しかったです。
それ以来、海にはまっています。

―――素敵ですね。しかも16歳でダイビングの資格がとれたとは、うらやましいです。リアさんはどこで潜るのが好きですか?

好きなところは色々ありますが、海が好きな人にとっては、トンガは非常に特別な場所だと思います。
数ヶ月の間、立派なザトウクジラが通って、トンガの近くで一休みします。

水面の近くでゆっくり泳いでいるため、ダイビングをしなくても、スノーケリングやフリーダイビングをしても見えます。
水中写真を撮るには最適で、スノーケリングやフリーダイビングでザトウクジラを見るのって、器材等何もないから、スキューバよりもっとゆったりとした、落ち着いた経験だと思います。

―――リアさんは、フリーダイビングもするのですか。

12メートルまで潜れるフリーダイバーだと他人によく言いますが、正直言って、12メートルはそんなに深くないし、フリーダイビングができるとは言えないです(笑)。

何人かのフリーダイバーに教えてもらったことはありますが、水中でフリーダイバーの写真を撮るのに夢中で、自分のスキルや練習にフォーカスしていないです。

―――他に、どういうところで潜るのが好きですか。

バハマの静かな離島キャット島は、ヨゴレがやってくるのでとても気に入っています。

ヨゴレ(Oceanic whitetip shark)は好奇心が強く、近くでダイバーを観察するのが怖くないから、写真を撮る時は最高です。
もちろんどんなサメもそうだけど、身の回りに注意するのもすごく大事です。

リア・バレット (Lia Barrett)

Oceanic White Tip

―――このヨゴレの写真について少し話してくれますか。

ヨゴレは好奇心が強いので、一緒に潜っている時はいつも注意しなければいけないです。
この写真を撮った時、ヨゴレがバディの周りをグルグル回っていました。

まるで一緒に踊っているかのようで、見ていてとても面白かったです。
撮影の後、ヨゴレは、まるで何かに呼ばれたように突然消えていったのです。

―――リアさんの一番好きな被写体って大物ですか。

そうですね、さまざまな被写体が好きですが、やっぱり一番気に入っているのはフリーダイバーと大物です。
自分のプロジェクトやフリーダイビングコンテストの面で、世界トップのフリーダイバーの写真は頻繁に撮っています。

―――サンゴ礁や熱帯魚、淡水ダイビングなど、そういった被写体や水中環境にも興味はありますか。

あります!
ラジャアンパットの新鮮な環境、サンゴ礁と魚の群れが大好きで、淡水ダイビングなら、メキシコのユタカン半島にあるセノーテという水中洞窟がおすすめです。

不思議で魅力的なポイントで、淡水だから器材も洗わなくていいです。

―――セノーテは人気ですよね。前にお話してくれた水中写真家もそこが大好きでした。写真といえば、リアさんにとって特別な写真を見せてください!

リア・バレット (Lia Barrett)

Jellyfish Lake

この写真は、パラオのジェリーフィッシュレイクで撮影したものです。
ここでのシュノーケリングは信じられないほど素敵です。

普段は避けなければいけないクラゲ、しかも何百万ものクラゲと自由に泳げるのはスリル満点の冒険です。
ちょうどこの写真を撮った時、深さ4m程度で多くのクラゲが集まっていたので、友達はフリーダイビングをして見に行ったのです。
そうしたら、突然クラゲの雲から現れて、とても素敵な瞬間でした。

―――この次の写真も、特別な瞬間でしょうか。

リア・バレット (Lia Barrett)

Sea Lion of La Paz

この写真はメキシコのラパスで撮影したものです。
海はイワシでいっぱいで、鵜やアシカがイワシを捕まえようとしていました。

イワシの群れを通ったその時、まるでカーテンが開けたかのように水がきれいになり、一匹のアシカが岩に座っていました。
隣に座って1分ぐらい、この素敵な瞬間を撮り続けました。

アシカはその後、水面までゆっくり泳いでいったのです。

―――リアさんにとって、水中写真って何ですか。

表現と記録の手段だと思います。
喜びをあたえてくれるもので、特別な瞬間、きれいな生物や水中の思い出を保護するいい方法でもあります。

最後に、インスピレーションの源です。

―――日本の海はどんなイメージですか。

日本の海やダイビングを考えると、フリーダイビング以外はあまり知りません。

海女さんは聞いた事があって、フリーダイバーの友達の何人かは日本人です。
中には、福田朋花、広瀬花子、篠宮龍三、児島光宏、岡本美鈴等がいます。

日本を考えるとクジラの問題が頭に浮かびますが、そういうトピックに関する会話は避けています。
日本は文化、歴史などいろいろありますし、数人の人がクジラを殺していることで、日本全体を批判するのはよくないと思います。

*****

リアさんの写真を見ていると、大物を撮るには、フリーダイビングがどれだけ便利なのか今回すごく分かりました。

サメやイルカなどの大物は、どんな角度で撮影しても絵になる被写体です。
フリーダイビングのスキルと撮影テクニックを組み合わせてジャンジャンシャッターを切るのも楽しいですね〜。

アップデートが必要だそうですが、詳しくは、リアさんのウェブサイトもご覧ください。
www.liabarrettphotography.com

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PROFILE
イギリス生まれ、8歳から13歳まで日本で育ったイギリス人と日本人のハーフ。

2006年に再度来日し、ナレーター、翻訳者、ライターとしてNHKテレビ、ラジオ、日本駐在外国人向けのウェブサイトなどで活躍。
2010年ニューカレドニアで体験ダイビングをしたのを機にライセンスを取り、2011年以降定期的に日本で潜っている。

日本の海の魅力、多様な生物や地形等に感動し、海外であまり知られていない日本のダイビングを紹介する目的で、2011年にブログ(Rising Bubbles)を立ち上げた。

外国人向けのサイトや海外のダイビングサイトで日本のダイビングスポットを定期的に紹介しており、スコットランドのセントアンドリューズ大学で水産養殖も勉強中。

「ダイビングをきっかけに、日本の海がどれだけ魅力的なのかをすごく実感しました。この連載では、たくさんの情報を届けていきながら、海外からのトピックを取り上げ、日本と海外の違いや海外の視点等をシェアするのを楽しみにしております」
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