メキシコの海を愛する、新進気鋭のフランス人水中写真家 ファブリース・グエラン
今回、ご紹介させていただくのは、フランスの水中カメラマン、ファブリース・グエラン( Fabrice Guerin)さんです。
ファブリースさんは、今年イギリスのダイビング雑誌 DIVERの水中写真コンテストUnderwater Photographer of the Yearカテゴリー5(Up and Coming Worldwide、世界の新進水中写真家)にANGELITAを出品し、1位になりました。
ファブリースさんは、 野生生物の写真家とHavas Parisでの アートディレクターの仕事をしています。
さまざまな会社が出版する雑誌の中身のコンセプトやカバーのアイディアなどを提案し、パリとマルセイユに住んでいます。
――― 水中写真をはじめたきっかけは何ですか?
もともと写真を撮るのがずっと好きでしたが、いつもと違うものを撮ってみたいという思いから水中写真を始めました。
初めて潜ったのは、デジカメが存在しなかった1990年。
ようやくニコノスIV (NIKONOS IV)を手に入れ 、海の世界を発見しました!
月日が経ち、ダイビング本数は1,211本になりました。
当時から比べると、今日のデジタル一眼レフカメラ(DSLR)はとても感動的で、写真を撮る時の際限が一切なくなりました。
――― ファブリースさんにとって、特別な写真を見せてください!
この写真はメキシコのユカタン半島にあるセノーテと呼ばれる水中洞窟ANGELITAで撮影したものです。
セノーテとは石炭岩地帯に見られる陥没穴に地下水が溜まった地下川型の洞窟。
しかしここは、水中なのにも関わらず、地上のような光景がいくつか見られます。
その秘密は、淡水から塩水に切り替わる塩分躍層という現象です。
ANGELITAで潜るには、機材を背負って森の中を少しの間歩かなければいけません。
また、穴はとても広く、潜っているとどんどん広がっていく感じで、そんな体験も特別な理由です。
――― このザトウクジラの親子の写真はどちらで撮影されたものですか?
この写真はトンガで撮影したものです。
このザトウクジラの親子は、はじめは水深10mぐらいでのんびりしていました。
やがて、赤ちゃんは息をするため定期的に水面まで上がってきて、水面にいる私の周りを泳ぎ回り、遊んでからまたお母さんの元へ戻りました。
だいぶ長い間(15分ぐらい)赤ちゃんはそれを繰り返し、最後はお母さんと水面近くへ泳いで行きました。
その後、赤ちゃんは身体をお母さんにこすりつけ、親子がまるで抱き合っているようでした。
その魔法のような瞬間が、この写真なのです。
――― ファブリースさんは、どこの海が好きですか?
メキシコの海で潜るのが一番好きです。
片方にはメキシコ湾、カリブ海、大西洋があり、もう片方には太平洋やカリフォルニア湾があり、メキシコの海にはサンゴ礁、アシカ、白鮫、大メジロザメ、イタチザメ、クジラ、イルカ、洞窟まど、さまざまな生物と地形が見えからです。
――― この写真はバショウカジキですね?
そうです。2匹のバショウカジキがイワシの群れにアタックしているところです。
メキシコ湾イスラムへレス沖の温かい海で、年に一回、世界で最も速い魚バショウカジキが魚の群れを追っている姿が見えます。
バショウカジキは10匹ぐらいで、怖がっている魚の群れをくちばしで繰り返し切っていきます。
とても感動的なシーンですが、写真を撮るのは非常に難しいです。
何とか良い写真を撮ろうと、何回もカメラのシャッターを押して撮影しました。
――― 好きな被写体、テーマとする被写体はありますか?
一番好きな被写体は、雰囲気と光が綺麗な洞窟と、海生哺乳類です。
クジラやマッコウクジラと泳いだ事もありますが、とても特別な経験です。
――― 日本の海はどんなイメージですか?
まだ日本で潜ったことはないですが、いつか潜ってみたいです。
海に囲まれた日本は、ダイビングに最適なポイントが多く、特に串本は綺麗だと聞いているので、いつか串本で潜ってみたいですね。
※
彼は水中写真家のコンテストに出てから高く評価されました。
彼が目にした美しい海の様子を見ていると、国やポイントによって、海は本当に多様だと改めて実感しました。
こんな綺麗な環境でどんどん潜っていきたいですね!