日本人初の快挙! 木下紗佑里選手がフリーダイビングで「世界記録」を樹立 ~バハマで開催中のVertical Blueで平泳ぎ潜水-72mを達成~
Text by Yuki Muto
Photo by Daan Verhoeven
2016年4月26日正午、現在フリーダイビング国際大会VerticalBlue2016が開催されている中米のバハマ・ロングアイランドのDean’s Blue Holeにて、記念すべき、日本人初の世界記録が達成されました!
歴史的快挙を成し遂げたのは、長崎県出身の28歳、木下紗佑里選手。
種目はCNF(コンスタント・ノーフィン)。
フィンを付けずに平泳ぎで潜行し、浮上するという、まさに文字通りの身一つで、深海に潜る種目です。
フリーダイビング海洋競技でも最も過酷といって良いこの種目で、彼女は-72mを潜りました。
潜行時間は3分14秒。
彼女はついに、レジェントとなったロシアの女王、ナタリア・モルチャノバの記録(-70m)を超えたのです!
大会当日の動画をご覧下さい!
(Vertical Blue公式ムービー)
現地時間の正午は日本では深夜1時。
この時間、固唾を飲んでPCの前で見守っていた私は、あまりの嬉しさに興奮して眠れなくなってしまいました。
世界中からの祝福メッセージがネットを飛び交いました。
ブルーホール中を幸せにしたダイブだったと思います。
この笑顔を見てください!
彼女がフリーダイビングを始めたのはまだ3年前。
幼い頃から水泳に慣れ親しみ、自宅で経営するスイミングスクールで、プールが遊び場だったという彼女は、まさに水の申し子。
メキメキと実力を伸ばし、昨年2015年5月のVerticalBlueでは全種目でメダル獲得し総合優勝。
そして今年は世界を驚かせる「世界記録」を達成しました。
素養に加えて人一倍の努力、そして強い精神力で、短期間で「世界記録」の快挙を成し遂げたことは本当に見事です!
「海や自然の流れに身をまかせた」
現地の紗佑里選手インタビュー
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世界記録を取りたい、とはいつごろから考えていましたか?
木下選手
フリーダイビングを始めた時から考えていました。ただその時はぼんやりとしていました。CNFで世界記録を取りたい、鮮明になったのは2014年のVBで初めて日本記録を取ったころからです。
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世界記録に向けどんな練習をしてきましたか?
木下選手
3月にフィリピンにトレーニングに行き、一か月間真剣にCNFと向き合い、記録を伸ばしてきました。インストラクターのドイツ人のStefan Randig氏にいろいろとアドバイスをいただきました。本当に彼には感謝しています。
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当日のダイブはどんな感じでしたか?
木下選手
思い描いた通りに進んでいる感じでした。自分の力や意志だけでなく、その時の海や自然の流れに身を任せている感覚でした。そこに自分が存在していることが心の底から嬉しかったです!
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今後のさらなる目標はありますか?
木下選手
今は大きな目標が達成されたので、頭の中が空っぽです。笑
今回の事で私の環境が大きく変わってくると思いますので、その動きを見ながら今後のことはゆっくり考えていきたいと思います。
また紗佑里選手のダイビングの一部始終を見届けた大会公式カメラマンDaan Verhoeven氏からのコメントです。
Verhoeven氏
「競技前の彼女はとても落ち着いてリラックスしていて、ジョークが出るくらいだった。当日は近くでカメラを構える僕のほうが間違いなく緊張していたと思うよ(笑)。潜行・浮上はとても力強く、いつも通りよくコントロールされていた。潜って行くその姿を見ていて、僕は彼女が成功することを確信したよ。彼女が世界記録を取ったことは本当に嬉しい。ナタリアの冠は、ふさわしい女王に引き継がれたんだ! the mighty mighty soy sauce SAYURI!」
喜びを分かち合うフリーダイビング日本代表選手達。
記録も凄いけれど、皆本当に仲が良く、素晴らしいチームワークなのです!
紗佑里、本当におめでとう!!!!皆に幸せをたくさんくれて、ありがとう!
残り日程も頑張ってね!!
さて、大会は5月2日まで続きます。
日本人選手も皆快進撃を続けています。
各国トップ選手達のパフォーマンスもお見逃しなく!
まだまだ寝不足の日々は続きそうです。