【海の家インタビュー】いよいよ海開き!江の島海水浴場運営者から来場者にお願いしたいこと

江ノ島周辺に設営中の海の家の様子。海開き前にも関わらず、砂浜には多くの人が。

新型コロナウイルスの影響で浜辺から海の家が消えた昨年。しかし多くの人からのリクエストを受け、今年は海水浴場、そして海の家が開かれる。
感染への不安が高まるコロナ禍における海水浴場の設営に対して、賛成派、反対派、多くの意見が集まる中、果たして運営者はどのような心持ちで海開きを迎えるのだろうか。今回は、江の島海水浴場営業組合(東浜)副組合長の岩田和美さん、海の家「BEACH HOUSE Kamome&Bossanova」代表の岩田周真さんにお話を伺う。

※取材は6月中に行われたものです。

岩田和美さん
江の島海水浴場営業組合(東浜)副組合長
KAMOME KITCHEN
https://www.instagram.com/kamome_kitchen/?hl=ja

岩田周真さん
海の家「BEACH HOUSE Kamome&Bossanova」代表
https://www.facebook.com/kamomeandbossanova/
ロッカー、シャワー、お座敷込み1,500円/1日
そのほかフード、ドリンク提供予定。
※営業期間7月3日(土)〜9月3日(金)
営業時間9:00〜17:00(土日祝日8:00〜)
※五輪セーリング期間中は営業時間延長し、19:00閉店予定

そもそも、海の家はどのように開設される?

海の家「BEACH HOUSE Kamome&Bossanova」2018年の様子

和美さん

もともと砂浜は国の土地であり、県や市が分担して、区域ごとに管理しています。そのように分担された行政の管理のもと、営業権を持っている人たちが海水浴場開設に向けての手続きを行うのです。

 私が副組合長を務める「江の島海水浴場営業組合(東浜)」は、江の島海水浴場(東浜)での営業権を持っている人たちの集まり。藤沢市では、私たち江の島東浜の営業組合のほか、西浜の協同組合、辻堂の海水浴場の組合と、3つの組織が海水浴場開設に向け動いています。
 
 ただ、こういった組合(個人)が開設者となっているケースは少なく、ほとんどは市(行政)が開設者となっていることが多いんです。鎌倉市は今年海水浴場を開設しませんが、鎌倉市=市(行政)が開設者になっていることも大きなポイントになっているでしょう。

BEACH HOUSE Kamome&Bossanova 2018年の様子

和美さん

毎年3月中旬頃、海水浴場開設にあたり、湘南エリアの藤沢市や鎌倉市、茅ヶ崎市、大磯市などの開設者が集まって行う連合会が行われ、詳細を話し合います。
昨年はコロナの状況が不明確ということもあり、上層となる県が実質海の家開設はできないような決まりごとを打ち出しました。禁止とはされていませんでしたが、開設者として乗り気になれないような取り決め内容だったんです。

 昨年開設しなかったことを受け、多くの人からご意見をいただきました。「どうして海の家をやらないのか、やってほしい」「今年も感染する可能性があるから海の家はやるな」など、賛成派・反対派の意見、両方があります。
 今年の連合会はコロナの影響を受けて4月5日に行われ、「本当に海水浴場を開設しても良いのか」という点で長く議論されました。ちょうど今よりコロナの状態がやや落ち着いている傾向であったことから、今年は海の家を開設するという決断に至ったのです。
 
 連合会の決断が遅れたことにより、開設に向けての動きも出遅れたことはいうまでもありません。とはいえ、行政も非常に協力的で手続きも急ピッチで進められています。

 

周真さん

:せっかく海の家をやるのであれば、僕たちも仕事としてスポンサーをつけて行いたいのが本音です。今回僕のお店では、「バナナの王様」というバナナスムージー店とご縁がありましたが、今年はコロナ禍でスポンサーがなかなかつかないことも関係し、出店を辞退したお店も多いと思います。
 「どうなるかわからない」というこの状況でスポンサー側も安易にジャッジできないため、出店が決まったとしても少なからず設営の遅れにつながりました。

楽しいだけではない、海水浴場の役割とは

和美さん

海の家=楽しく食事したりお酒を飲む場所、というイメージが強いかもしれませんが、海の家がなければ夏の海は無法地帯そのもの。管理する人がいないために、様々な問題が起こる可能性があります。たき火する人や物を売り出す人がいたり、寝泊りする人が増えたり…こうした懸念点を防ぐためにも、海水浴場が海水浴場が組織として砂浜を管理することはとても重要なのです。

 昨年海の家は開かれなかったものの、こうした無法地帯化を防ぐために「釘のない海の家」という事務所を立て、ライフセーバーによって海を見守るようになりました。ライフセーバーももちろん、海水浴場組合があってこそ活動できます。彼らは、組合からの指示がない限りは勝手な判断で海水浴場にきた人々に注意喚起はできません。ですので組合とライフセーバーが一緒になり、管轄エリアを管理していたんです。
 エリアによってはライフセーバー不在のために水難事故が増えたというお話も聞きますが、私たちの管轄内では比較的大きな事故を防げたのではないでしょうか。

海の家反対派の厳しい意見について

和美さん

やはり心苦しいのは、市民の方から「どうしてコロナ禍で海の家を行うんだ」という反対意見。多くの人はどこから来たかわからない多くの人たちが家の近くに集まるのが嫌なんだと思います。
私たちもしっかり対策を打った上で開設に向かいますが、やはり心の中には「本当にやってもいいのかな」という不安もあります。でも、「コロナ禍だから絶対できない」と考えるよりは、「コロナ禍でもやれることを考えて動いていく」という方が前向きだと思うのです。

 海の家の設営をしている工事現場の方々は、余計なことを話したりせず、黙々と作業をしてくれています。日照りの下で行う屋外作業は非常に暑く、マスクをしていたら熱中症になるでしょう。それでも、マスクをしていなければ「海の家の工事を行う人たちがマスクをしていない」と苦情が入るのです。今はマスクをするのが常識となっている世の中とはいえ、風が良く通る外で喋らずに作業をしているのは、そんなに悪いことなのでしょうか…?

周真さん

僕の知人の多くは「絶対行くね!」「無事海の家をやれそうでよかったね」と言ってくれる人が多いですが、反対意見を持っている人がたくさんいることも事実です。もともと海の家に関してネガティブなイメージを持っている人ならなおさら、細かい部分にも良く気がつくでしょう。そういった反対意見の人たちとトラブルにならないよう、感染症対策はもちろん、地域住民への配慮はしっかり行なっていきたいと思います。

今年の海の家のルール、感染症対策について

和美さん

海の家開設が決定し、神奈川県から下されたガイドライン(https://www.pref.kanagawa.jp/documents/75155/guideline_r3.pdf)に則って海の家開設に向けて動きだしました。そして藤沢市とともに「夏季海岸対策協議会」という組織の中で海水浴場ルールを制定し、東浜独自の「遵守事項」を作成。組合ごとに営業形態が違う中でも共通のルールを持ち、コロナに関しての対策を打ち出しました。

藤沢市海水浴場ルール(令和3年度)令和3年5月藤沢市夏期海岸対策協議会
https://www.fujisawa-kanko.jp/global-image/units/upfiles/225104-1-20210526102202_b60ada2ba9e4d5.pdf
令和3年度藤沢市海水浴場における、新型コロナウイルス感染症の感染防止に関するルール
https://www.fujisawa-kanko.jp/global-image/units/upfiles/225105-1-20210526102314_b60ada302b6a54.pdf

和美さん

緊急事態宣言が出れば、海の家に関して行政から指示があり、私たちはその判断に従います。藤沢市の取り決めとして特に注目したいのは、砂浜での飲酒を禁止するということ。つまり、海の家という管理が行き届く範囲で飲んでもらえば、無法地帯になることを防げるのです。

 また、海の家での飲酒がOKとはいえ、大騒ぎして良いわけではありません。感染を防ぐために大声での会話は控えてもらう必要があります。なので、店内のBGMのボリュームは小さめにして、声が通りやすくするといった工夫をしています。多くの方が持つ「海のイメージ=賑やか」であることが多いと思いますが、今年は静かに楽しんでもらえると嬉しいです。

他にも、検温やマスク着用など、一般の飲食店と同じように感染症対策を行います。ただアクリル板の設置は、もともと屋外で通気性も良いため、設置しない予定です。その代わりに、席同士の距離を少し離すなどの工夫をしていきます。

海の家でのマスク販売サービスも

和美さん

仮にマスクを着用していたとしても、海で遊んでいたら濡れたり、なくしてしまうこともあると思います。なので、今年の海の家ではマスクを販売する予定で、きちんとマスクをつけていただいた方のみが入店できます。
マスクは人への感染を防ぐのはもちろんですが、自分の身を守るためにも必要なもの。暑い中でのマスク着用は辛いかもしれませんが、きちんとつけていただきたいですね。

コロナ禍で海の家を設営することに関する不安

設営中の「BEACH HOUSE Kamome&Bossanova」。6月20日の様子。

和美さん

今回は例年に比べ、半数くらいの海の家が出店を自粛しました。それぞれ、さまざまな事情があると思うのですが、やはり多い理由としてあげられるのは、コロナによって今後の見通しが立たないことでしょう。

 「海の家はすごく儲かる」というイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、実際のところはそうでもありません。海の家は砂浜の更地に建物を建てるわけですから、建設・解体費用だけで安くても500万円はかかるほか、人件費などの経費負担がとても大きいのです。
 
 今後再び緊急事態宣言やまんえん防止対策が発出された場合、もちろん売上は落ち込みます。もし約2ヶ月間、理想通りの営業ができなくなれば、大赤字になる可能性もあるーーーそういったリスクを恐れれば、自粛する店舗が多いのも仕方ありません。

周真さん

やはり行政の指示が今後どうなるかは、運営側として大きな不安要素。現状、7月11日までお酒の提供は可能とされていますが、今後どのようになるかはわかりません。緊急事態宣言が出れば、海の家の営業はできなくなるのです。

通常、海の家はお盆くらいまでの時期がすごく忙しく、それ以降は海にクラゲが出たりするので、徐々に人足が減っていきます。ですので、お盆まで無事営業できるかどうかが要。もしできなければ、大きな損失になりかねません。もちろんそういったリスクも覚悟の上ですが、やっぱり不安です。

江の島海水浴場(西浜)6月20日の様子。

和美さん

行政の指示以上に私が不安なのは、個人個人の行動です。私たちは海水浴場を開きますが、そこでマナーやルールを守れない人が多く出てしまっては歯止めが効かなくなります。一人一人の意識が大切なんです。

酒類提供が許可された時もそうですが、お酒がOKになったからといって、その日からコロナの菌が存在しなくなるわけではない。きちんと節度を守った行動をしてもらいたいです。
皆さんに海を楽しんでもらいたい気持ちはもちろんあるのですが、ほかの海水浴場がやっていないからと大勢が江ノ島に来て羽目を外せば、感染はもちろん、近隣からの苦情が殺到する可能性があります。

もし海水浴場で何かトラブルがあれば管理している私たちの責任。とはいえ、海水浴場は個人の節度ある行動があってこそ成立するもの。
皆さんもどうか、ご協力をよろしくお願いします。

江の島海水浴場(西浜)6月20日の様子。

岩田和美さん、周真さん、ご協力ありがとうございました。
海開きした7月3日は生憎の豪雨だったため、大勢の観光客が殺到することは防がれた。間も無く梅雨があけるこれからの時期、快晴のもと心地よく、安全に海での時間を楽しむために、みんなで節度ある行動を心がけよう。

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PROFILE
神奈川県藤沢市在住。女性ファッション誌からキャリアをスタートし、現在はフリーランスの編集ライターとして活動。オーシャナでは美容やライフスタイル記事をメインに、エコライフのヒントとなるトピックを執筆。