相模湾の海に異変?佐島沖で確認された南方系サンゴの北上記録
真鶴・福浦・江之浦といったエリアがダイバーにも人気の相模湾の海で、南方系テーブル状サンゴが水揚げされ、日本国内における公的な最北限分布として記録された。沖縄や南西諸島のイメージが強いミドリイシ属サンゴが、湘南・三浦半島の海で生きてきたという事実は、「海の変化」をはっきりと形にした出来事だ。
横須賀市・佐島沖で見つかった“本来は南のサンゴ”
今回記録されたのは、エンタクミドリイシとミドリイシの2種。いずれもテーブル状に成長するミドリイシ属のサンゴで、通常は熱帯・亜熱帯域に分布する。2025年7月、横須賀市・佐島漁港沖・笠島付近で操業していた地元漁師によって水揚げされ、形態学的・遺伝学的解析の結果、正式に同定された。採取された水深は3〜5m。最大直径35cmに達する群体も含まれており、現地ダイバーの観察では、さらに大きな直径60cm個体の存在も確認されている。

ミドリイシ属のサンゴのイメージ
日本最北限という記録が示すもの
これまでの北限記録は、太平洋側では千葉県館山市、日本海側では長崎県対馬市だった。今回の佐島沖はそれを大きく上回る緯度にあたる。サンゴは海洋環境の変化を映す指標生物といわれているため、少なくとも10〜30年にわたり相模湾の冬を越えて生存してきたと推定される今回のサンゴ群体が、この海域の環境が過去10年単位で変化してきたことを物語っている。
また、地元漁師によれば、ここ4〜5年で佐島周辺の海ではサンゴが目立つようになったという。サンゴの定着は、魚類や底生生物の分布にも影響を与える。ミドリイシ属サンゴは成長が早く、景観的にも魅力が高い存在だ。沖縄ではすでに観光や漁業資源として活用されてきた実績もある。そのため、相模湾で起きている変化は、単なる「珍しい発見」ではなく、これからの沿岸生態系と、ダイバーが向き合う海の未来を考える出発点になりそうだ。
今回報告された日本最北限のテーブル状ミドリイシは、現在、神奈川県藤沢市にある新江ノ島水族館で生きたまま水槽内に展示中。
※本記事は、立教大学公式サイトの内容をもとに構成。


