バディダイビング(セルフダイビング)プランニング ~潜水計画書を作ってみよう!~
ダイビングのプランニングのためには、潜水計画書を作ってみよう!
潜水計画書のフォーマットは、自分が潜りやすいものを使えばよく、正解はない。
経験の無いダイバーは、最初はすべての内容を網羅するような計画書を使って、潜り慣れた海で情報や経験が増えてきたら要素を減らしていくのがオススメ。
今までパックツアーで添乗員さんのいる旅行しかしたことがなかった人が、初めての個人旅行で、初めての場所に行く場合のプランはかなり綿密なはず。
しかし、個人旅行に慣れてきたり、何度も行ったことのある場所の計画だったりしたら、決め事も減っていくのと同じことだ。
必ずケアすべき3つのリスク
バディダイビングの潜水計画書
旅の計画は、楽しむため、効率よいスケジュールを組むためという側面が大きいが、ダイビングという特殊な環境では、楽しむ前に、“安全に戻ってくる”ための計画が前提。
ガイド付きのブリーフィングでは、水中景観や生物の予備知識など、楽しむための情報を教えてもらえるが、それはガイドが安全のための計画を引き受けてくれているともいえるのだ。
安全のため、計画によって、物理的に避けておかねばならない最低限のリスクは3つ。
- 減圧症
- エア切れ
- 離反(はぐれる・迷子)
この3つのリスクを避けるためのマネージメントが、最低限必要なマネージメントとなる。
具体的には以下。
- 水深
- 時間
- 残圧
- コース
潜水計画書のモデルケース
ダイビングを理解するのに最適
ダイブテーブルを利用したダイブプラン
個人的にオススメしたいのは、ダイブテーブルを使ったプランニング。
「え? 講習でしか使ったことがない(講習ですら使ったことがない)」というダイバーも増えてきているが、ダイブテーブルを使えることは、減圧症予防の本質、ダイビングの本質を理解することと等しい。
ダイブコンピュータが「この数字(時間)を守れば減圧症になりにくい」という結果しか見えないのに対して、その数字を導くためのダイブテーブルは、「この数字(時間)を守るとどうして減圧症になりにくいのか」という、いわばダイビングの本質を理解しないと使えないからだ。
ドライブに例えるなら、カーナビの通りに進めば目的地まで行けるが、ただその通りに運転するだけだと地理感覚がなくなり、カーナビが壊れた瞬間、お手上げという人も少なくないだろう。
一方、地図を見ながら目的地までの道を計画すると、俯瞰した視点で自分のことを見つめることができ、道を覚えたり、リカバリーもしすいのと同じこと。
ただコンピュータの示す数字を守るだけでなく、数字の意味、つまり、ノーストップタイム(無減圧可能潜水時間、減圧不要限界時間)の意味や、減圧症になる仕組み、それを防ぐ潜り方などを知ることが自立したダイバーの第一歩。そして、そのことを理解するうえで役立つのがダイブテーブルなのだ。
もう一度言っておくと、あくまで計画書を使うのは最初のうちだけで、バディダイビングに慣れてきたり、何度も潜った海であれば、テーブルを引いていたのが、ダイコンのチェックになり、最後は、コースや最大水深、残圧など、ガイドがするような必要最低限の決め事をするブリーフィングになってくるだろう。
実際、ダイビングを始めた学生時代に使っていた潜水計画書と、その後、潜り慣れてきて、簡略して使っていた計画書を紹介するので、ぜひ参考にして、実際にダイビングプランをしてみよう!
計画書の例
~ダイブテーブル~
【要素】
■潜水目的
〝ファンダイビング〝という抽象的な目的でもいいので、目的を決めてバディと共有しておく。〝ミジンベニハゼを撮る〝とか〝中性浮力を身に付ける〝など、より具体的な目的を設定しておくと、ダイビングを振り返るときの反省に生かされるし、思い出深いダイビングになるだろう。
■潜水する海、ダイビングポイント
潜るダイビングエリア、ダイビングポイントを決める。
当日の海況などで変更がきくように、第2候補地も決めておくのがオススメ。
第1候補地と第2候補地は、風やうねりでの変更できるように、影響を受ける風向きが異なる2エリアを選びたい。
■バディ編成
バディが複数で、グループで潜る場合は、誰と誰がバディを組むのか、どのような隊列を組めばよいのかなど、リーダーを中心に決めよう。
■最大水深
最大水深は、残留窒素時間を考慮しつつ、その日の最終ダイブまで考慮して決める。
また、深場から浅場へ向かう、1本目より2本目、2本目より3本目と、浅くなるように設定するなど、ダイビングの基本を忘れずに。
■ダイブタイム
最大水深と照らし合わせて、ダイブテーブルのギリギリを避けた時間を設定しよう。
自分とバディの空気消費量も考慮。
■ダイビングコース
水中マップをもとに、水深や時間の範囲内で、水深や地形、ダイバーの技量などを考慮しつつ決める。
ナビゲーション技術は必須だ。
自分たちの無理のない範囲でコースを設定しよう。
また、迷ったら浮上して水面を泳いで帰ってこられる海況かどうかを確認する。
ビーチダイビングの場合、迷ったらみんなで浮上できれば大丈夫。
■最低残圧
エア切れを起こさないように、エグジットした際に残しておくべき余裕をもった残圧、最大水深から戻って来る際の最低残圧、バディ同士でお互い申告し合う残圧も決めておくとよい。
目安としては、エアを1/3消費した時点で折り返す、残圧が70ぐらい安全停止に入れればベスト。残圧はコースを決める際の大きな要素にもなる。
■休息時間
ダイビングとダイビングの合間の休憩時間を決める。
テーブルやダイブコンピュータをチェックして、体に負担のかからない時間を設定する。
■空気消費量
1分間に消費する空気の量。これがわかっていると、計画する際に役立つ。
潜水計画書の例
~ダイブコンピュータ~
もちろん、ダイブテーブルでなく、ダイブコンピュータをもとにした計画から始めるのもあり。
実際、三浦・海の学校の「バディダイビング(セルフダイビング)プログラム」では、ダイブコンピュータのプランをもとに、バディダイビングで決めておくべきことを一覧にしたチェックリストを使用している。
バディダイビング講習プログラム
のあるダイビングセンター・施設
三浦半島
海の学校
三浦半島に位置する海の学校では、ひとりひとりの不安を親身に聞いて、オーダーメードで組み立てた講習を受けることが可能。施設も充実しているので、泊まってじっくりスキルのおさらいをするのもオススメです!
(※詳細は施設まで直接お問い合わせください)
西伊豆・土肥
セントラルスポーツアウトドアビレッジ THE101
日本最大級のダイビングプール施設で、インストラクターの指導のもと、じっくりとスキルをおさらいできるプログラムです。
(※詳細は施設まで直接お問い合わせください)
How to バディダイビング(セルフダイビング)(連載トップページへ)
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