ダイバーの基本は、バディダイビング(セルフダイビング)です
ダイバーの基本は、バディダイビング(セルフダイビング)です。
とはいえ、「興味はあるけど、自分にできるか不安」「やったことがないので、どう潜るのかわからない」といった声も聞かれます。
そこで、現実を踏まえて、私見も交えつつ、「バディダイビング(セルフダイビング)の潜り方」を連載していきます。
まず、今回は「自分にできるのかしら?」と思っているダイバーへ、何も特別なダイビングスタイルではないこととをお伝えしつつ、バディダイビングで最も大事なことをお伝えします。
そもそも、バディダイビング
という選択肢がない!?
本来、初級レベルの認定証(Cカード)を取得すれば、バディダイビング(セルフダイビング)ができる基本スキルが身についているはずなのですが、そこには本音と建前が存在しているのが実情でしょう。
そのこと自体の是非はとりあえず置いとくとして、一番問題だと思うのは、インストラクターやガイドがつかずに、“バディダイビング(セルフダイビング)”で潜るという選択肢が与えらないこと。
認定するショップ、インストラクターにそのつもりがないのだから仕方ありません。
Cカードを取得してすぐに自分たちだけで潜りにいく自信がないことは当たり前で、個人的には、しばらくショップに通ってスキルアップした方が安心で、何かと快適だと思います。
ただ、海へつながるルートがショップという選択肢だけというだけなのはつまらないし、ダイビングの可能性をせばめていると思うのです。
むしろ、バディダイビングをすると、ガイドやイントラ、ショップの価値がわかってきます。
そんな状況に呼応するように、日本のダイビングサイトでは、イントラやガイドが一緒でないと、なかなか気軽に潜る環境がなかったわけですが、もっとダイビングの幅を広げようと提唱したいのが、バディダイビング(セルフダイビング)です。
ただ、いざ「やっていいですよ」と言われても、どうしてよいかわらかず、バディダイビング(セルフダイビング)が難しく敷居の高いスタイルだと思っているダイバーも少なくありません。
しかし、バディダイビングとは、スキルやレベルが上がったらできるダイビングスタイルというものではなく、そもそもダイビングの基本なのです。
実際、海外では、講習を受けて認定された翌日に、そのままバディ同士でファンダイビングを楽しむことも普通です。
その講習の内容が、日本と違って特別なわけでなく、講習中から「この講習が終わったら、自分たちで潜るんだからね」と言われているので、講習生もそれが基本で、ガイドはむしろオプションという考え方になっていきます。
つまり、バディ同士で潜ることは特別なことではなく、10本以内だって可能なのです。
確実に安全だと思える範囲内が絶対条件
ダイビングはゆとりを持ったプラニングが大事。
自分の実力で、確実に安全だと思える範囲、7~8割の力で潜れるようなプランを立てれば、もちろんバディダイビングだって安全に潜れます。
ゆとりの範囲を広げるためにスキルアップをするわけですが、その海に強いガイドと潜ればその範囲も広がります。
さらに、バディダイビングをするにしても、まずはガイドと一緒に潜っておけば、バディダイビングの際にゆとりが生まれるのです。
最初のうちは、おそるおそる真っ直ぐ行って、真っ直ぐ帰って来るだけでもバディダイビング。
それでも、ただガイドについていくだけのダイビングとは違った感動が待っているはずです。
最初のうちはしっかりプランニング
潜り慣れてくれば、要点の確認だけ
ダイビングで大事なことはプランニング(潜水計画)。
そして、計画することは、すなわち“シミュレーション”することです。
はじめのうちは、ありとあらゆる場合を想定して、頭の中で1本ダイビングをしてみましょう。
「ナビゲーションの基点はここにしよう」、「~は消費率が高いからこの辺で折り返そうかな」、「エグジットはカニ歩きがいいかな」などなど、シミュレーションに終わりはありません。
そう聞くと大変そうな気もしますが、経験を積んでいけばいちいち確認しなくてもよいことが増え、事前の労力はグッと減っていきます。
潜り慣れた海ならなおさらで、要点のみで「さあ、潜ろう」ってなもの。
なんだか、いつもガイドのブリーフィングをさっくり聞いて「さあ、潜ろう」という流れは、ガイドやインストラクターがその役割を担っているので見えにくいだけ。
この辺りも自分でプランニングしてみると、その労力やガイドの価値が見えてくるでしょう。
さらに言えば、“労力”ではなく、おもしろさ、新しい価値のダイビングにもなり得ます。
「ガイドと潜る方が楽しいし快適」という結論になるにしても、その1本のプランやガイドの価値を理解してガイド付きダイビングを選択するのと、プランニングをガイドに“丸投げ”してただついていくだけでは、リスクも海の中の見え方もまったく異なります。
そういう意味でも、ダイバーには、一度は、バディダイビングの経験をして欲しいと願っています。