続・ジンベエザメに追いかけられるガイドさん 〜なぜ、追いかけられるの?〜

先日、ヘッドラインでご紹介したジンベエザメに追いかけられるガイドさん。

誰もが思った「なぜ?」を、ダイバーにもお馴染みの
神奈川県立「生命の星・地球博物館」専門研究員の瀬能宏先生にお聞きしました。

「状況説明から想像すると、色違いのフィンの動きに反応(それを興味と言っていいのかどうかわかりませんが)していることは間違いないと思います」

それまでの水色のフィン左右色違い(紺と橙)のフィンを着用するようになってから追いかけられ始めたサイトウさん。
やはりフィンを変えたことが関係しているようです。

「問題はなぜ反応するのかですが、可能性としてはその色や動き、
状況などが餌となる生物の状況に似ている、
あるいは餌の状況を連想させるような刺激が含まれているのではないでしょうか?
例えば、波間に漂う浮遊生物の動きなどです。
それが直接でなくても、同じような色と動きをする浮遊物があり、
たまたまそこに餌となるプランクトンが集まっている状況が重なり、
それを学習しているのかも知れません」

どうやら餌が関係しているようで、
サイトウさんがジンベエザメを悩殺するフェロモンや
色気を振りまいているわけではなさそうです(笑)。

「いろいろと条件を変えて実験してみるとおもしろいことがわかるかも知れませんね」
と瀬能先生もおっしゃるように、反応しているのが同じ個体なのか、
他の人が色違いのフィンを履いても追いかけてくるのか、
色なのか、動きなのか、いろいろと実験してみると、
ただおもしろいだけでなく非常に貴重なデータになるかもしれません。

ジンベエザメ

正面から近づいてくるジンベエザメは大迫力!?

ところ変わればジンベエザメも変わるのでしょうか!?

元祖ジンベエ・スポットのモルディブ・クルーズでガイドをしていた
あべちゃんこと阿部智和さんより証言をいただきました。

「ゲストがスノーケリングで背中を突かれて逃げるに逃げられない事がありましたよ。
イメージは、ジンベエに背中を押されて、背中くの字です(笑)。
確か白いTシャツだったと思います。パクパクしていましたよ」

くの字!?
あの大きな口にパクパクされたらスルッと入ってしまいそうな気も……。
ヒラヒラや白というのがキーワードなのでしょうか?

「正直なところ、よくわかりませんが、白に反応するような気がしています。
ゲストにもラッキーカラーということでは紹介していましたよ。
ただ、水面でも水中でもフィンキックで細かい泡が立つので、
餌と勘違いをしているだけかも知れませんけどね」

泡に反応するのですか?

「水中では、オクトパスの泡を使って、ジンベエを誘導したりして、
ゲストに近づけたりUターンさせたりしていました。
逃げている(追いかけ回している)ジンベエには効果はほぼありませんが、
のんびりと食事中の時には成功する事もありました」

なるほど〜。
捕食中のジンベエザメが反応するということは、やはり
泡やフィンの色・動きを餌と関連づけて反応しているのでしょう。

「こんなことも年に数回、船上から目撃しました。
ボートの側面に何度も体当たりを繰り返すのです。
アンカリングせず、走行せずに水面にプカプカ浮いている時のみです。
寄り添うように、ずっと突ついている状態です(笑)。
これは、捕食というより、愛を感じて、ちょっと可愛いです」

ジンベエザメが寄ってくるにはいろいろな理由がありそうですが、
少なくともジンベエザメからこちらに寄ってくることがあるのは確かなようです。

そうとわかれば、追いかけまわして嫌われるより、
追わせる上級テクで、ジンベエザメを振り向かせる方がスマート。
あれこれ気を引く方法を試していれば、いずれサイトウさんのように、
ひと目ボレで猛アタックされる日が来るかもしれません!?

\メルマガ会員募集中/

週に2回、今読んで欲しいオーシャナの記事をピックアップしてお届けします♪
メールアドレスを入力して簡単登録はこちらから↓↓

登録
writer
PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
  • facebook
  • twitter
FOLLOW