“透明度が低い”のか“栄養分が高い”のかって話
仕事の関係で、ロタにいながら、たまたまタイの写真をじっくり見ていたのですが、ある意味、真逆の魅力が際立ち、興味深いものがありました。
海で“透明度がよくない”というと、良くない海のイメージを持つダイバーさんは少なくありません。
実際、タイで潜ったダイバーさんの話を聞くと、「濁ってた……」というような言い方をする人が多く感じるのですが、ダイビングを続けていると、透明度があまりよくない海こそ“出るぞ感”があってワクワクするものです。
一般的に、透明度が低いということは、プランクトンなど魚のエサが豊富という証で、魚や大物たちのご馳走だらけということです。
タイの「セイルロック」なんかは、それこそ世界屈指のとんでもない魚群を見ることができますが、代わりに透明度はあまりよくありません。
しかし、初めて潜ったとき、突然目の前に現れるギンガメアジやバラクーダ、キンセンフエダイなど魚群の二重奏、三重奏に、そりゃ興奮したものです。
確かにロタはとんでもない透明度で、潜っているだけで気持ちのいい海ですが、魚の数は少なくて、群れに会うとホッとしたりします。
透明度が低い海、高い海。
言い換えれば、魚影が濃い海、薄い海。
受け取り方の問題で、これはこれ、それはそれ、ということで、どちらが良いというわけでもないので、透明度だけにとらわれるのはもったいないと思います。
もちろん、フックとしては、わかりやすさは大事ですし、透明度が良い海にただただ漂っていたいという気持ちもわかります。
ただ、透明度が悪くても“出るぞ感”でワクワクしているダイバーがいて、おせっかいながら、その景色をちょっとでも知ってほしいなと思います。
これは僕らメディアのせいでもあって、ことさら魚群の部分を強調するのはいいのですが、マイナスイメージであると思い込み、透明度がよくないことはあまり伝えないからかもしれません。
なので、“南の島=抜群の透明度”を期待して潜りに行ったダイバーが「あれ? 濁ってる~」となるのかも。
語弊があるかもしれませんが、タイ湾の海は、そこそこ濁っているからこそ面白く、クルーズに乗ると、肩慣らしのポイントから始まり、クライマックスに「セイルロック」を潜るというストーリーこそが面白い。
ほかにも、モルディブやメキシコなどは特に、「思ったより透明度が悪かった」という声を聞く海ですが、だからこその海だと思うのです。
ちなみに、これは“流れ”も似ていて、最初のうちは、激流にぶち当たると、「怖いし、疲れそう」と思うかもしれませんが、本数を重ねていくと、やっぱり“出るぞ感”に変わっていくはず。
同じ海に潜っても、経験や趣向が違えば見える景色が異なる、そんな多様性がダイビングの面白いところ。
また、他の人が見ている景色を知ろうとすることも、ダイビングの面白さなのかもしれませんね。