ドルフィンウォッチングが100倍楽しくなる!イルカの個体識別のすすめ
御蔵島のイルカウォッチングが、日本に、いや世界に誇れるのが「20年間続いているイルカの個体識別調査」です。
イルカは、胸ビレや背ビレ、尾ビレの欠けや身体についた傷跡などの特徴から、1頭1頭見分けることができます。
この調査がイルカウォッチング草創期から続けられており、御蔵島周辺で見られるミナミハンドウイルカは、ほとんどに番号と名前がつけられています。
なかには、20年間ずっと観察されているイルカも。
そんなことして何になるの?
ズバリ、「数が分かる」です。
すなわち、御蔵の周りにイルカが何頭いるかわかるということです。
さらに毎年、識別調査を続けることで頭数の変化も見えてきます。
イルカの増減には色々な理由があって、特定するのはとても難しいのですが、とにかく、いなくなっちゃたらウォッチング商売はあがったりですよね。
なので、イルカの頭数を正確にモニタリングすることがひとまず大切なのです。
実際、2008年にはそれまで見られていたイルカ数十頭の姿が見えなくなりました。
この結果を受けて、御蔵島の業者さんたちはイルカへのストレスを減らそうと、ウォッチング船の出航回数を減らしたり、ツアーあたりのエントリー数を減らしたりしています。
それ以外にも、「母子関係が分かる」というタナボタがありました。
イルカのお母さんは、生後3年間ほど赤ちゃんイルカと一緒に暮らします。
親子3世代に渡って観察されているイルカもたくさんいます。
調査を続けていると、1999年に産まれた女の子イルカが、2010年にお母さんイルカになりました!という、「あんなにかわいかった愛娘がいつのまにかオトナになってる、、、」といった、オヤジの複雑な心境も疑似体験できました。
しかも、イルカのオスはまったく子育てに参加しないので、父親は分かりません。
最悪です。完全な馬の骨です。
「よくも、うちの娘を!」という怒りの矛先をどこへ持っていっていいのか分からないのです。
悔しいので現在、ウンチからDNAを抽出してお父さんを探してやろう!という研究も進んでいます。
と、まぁ色々わかる個体識別調査なのですが、お客様にもぜひ楽しんでいただきたいのです。
ご自分で撮った写真のイルカが誰なのか?知りたいときは、観光協会でお聞き下さい。
個体識別情報は、どなたでも閲覧可能なので、調べることができます。
ただし、顔写真だけでは、かなり難しいです。
ヒトは、あまり考えていないと顔ばかり撮ってしまうのですが、個体識別のためには身体全体のキズやヒレの欠けが必要です。
さほど難しくはありません。
都合のいいことに、ものすごく分かりやすい特徴を備えたイルカが数頭いますので、最初はそういった子から覚えるといいかもしれません。
想像してみて下さい、去年海で会ったイルカと今年も会えたときの感動を。
勝手に自分の娘のように思っていたイルカが、いつの間にかオトナメスになっていたときの感動を。
ただのイルカから、○○年産まれの○○ちゃんに昇格します。
ヒトもイルカも、相手を知ることが、深いお付き合いの一歩となります。
■参考文献
いるかいないか 御蔵島ミナミハンドウイルカ個体識別帳. 2010. 御蔵島観光協会
※編集部より
オーシャナの御蔵島ドルフィンスイムツアー、2014年も開催いたします。
空席があるツアーもありますので、ご興味がある方はぜひ!