もう3年、まだ3年。南三陸の防災庁舎と商店街で聞いた声
「3」という数字を日本人は好んだり、節目に使用したりする傾向にあり、震災から丸3年目を迎える今年は「もう3年なのか、まだ3年なのか」と言っているのをたびたび耳にしました。
2014年3月11日、南三陸町歌津の海にて、ボランティア団体TSUNAGARIが毎年行っている法要に参加してきました。
当日の様子はこちらからご覧ください。
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震災以降、毎年必ず私が足を運んでいるところ。
それは、南三陸町防災庁舎と南三陸さんさん商店街です。
世の中の人は3年をどうとらえているのか。
防災庁舎に団体で来ていた女性に話を聞いてみました。
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こちらに来られたのは何度目ですか?
女性
初めてです。実はこの近くに住んでいるんですけど、一人で来る勇気はありませんでした。
今回、会社がみんなで行こうってきっかけを与えてくれたからくることが出来ましたけど・・・。
――
実際に見てみてどうですか?
女性
テレビでは見ているけど、今日実際に見てみて、あんなところまで水がきたんだって思うと・・・すいません、言葉が出ないです。
――
唐突ですけど、“3年”ってどう感じていますか?
もうですか、まだですか?
女性
まだ・・・だと思います。
景色もすっかりかわってしまって、目印がなくなったから道に迷うくらい。まだ、何も戻ってきてないですよね。
次に南三陸さんさん商店街に向かいました。
わたやのお父さんとお母さんに話を聞いてみました。
――
最近お客さんは多いですか?
お父さん
1・2月の寒い時期も終わって、ちょうどこの間の土日くらいから増えてきました。
これから増えてくる時期です。
仮設も、もう3年もたったし、どんどん慣れていくんだと思うよ。」
――
今、“もう”っておっしゃいましたけど、もう3年って感じですか?
お父さん
そうだね、もう3年だね。僕らは忙しくしているから“もう”と思うことも多い。
でもここまでくるのに3年、それでいて未だに仮設商店だから、実際はあと3年くらいたってみないとわからないかもしれない。
商店街の仮設も5年って決まっているしね。
でも仮設に慣れてきちゃった。
だからかもしれないけれど、思い出してくる。
あんなことあったな、こんなことあったなって。
――
思い出すというのは、少し余裕が出来たということですか?
お父さん
そうだね。考える心の余裕が出来たのかもしれない。
今までは目の前のことをこなすので、いっぱいいっぱいだったからね。
もう3年、まだ3年。
同じ場所で暮らしていても大きな差がある。
どっちが正しくて、どっちが間違っているわけではない。
でも今やるべきは、“もう”か“まだ”かの自問自答じゃなくて、“いま”と向き合って、風化させないよう伝えていく努力をすることなのではないかと、私はそう思っています。