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潮の満ち引きだけじゃない!? ダイバーなら知っておきたい“潮汐流”閲覧無制限

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徒然コラム

パラオ、テールトップリーフの潮の流れ(撮影:越智隆治)

気象予報士くま呑みの“ダイバーのためのお天気講座”

前回から、海の「流れ」についてお話をしています。

前回は波が作る流れでしたが、今回はもうちょっと大きな流れです。

みなさんは、ドリフトダイブをやったことあるでしょうか?

私が初めて体験したときは、まるで空中にある透明な動く歩道の中にいるかのように、景色がどんどん流れていって、ものすごく楽で、楽しいって思ったことを覚えています。

また、ある時は、二枚潮を利用して、行きも帰りもあまり泳がずにドリフトで楽々往復したこともありました。

もっとも、その後、何度も流れの中を潜るうちには、気がついたらダウンカレントで思いがけず深い方に連れていかれていたり、流れに逆らって残タン気にしながら必死に水中岩登りのように進んだり、大変な思いもしましたけど(笑)。

そんな、海の流れ、「潮流」について、今回はお話します。

潮の満ち干きも波

海にはさまざまな流れがあります。

その中で、黒潮のように大洋を大きく巡るものを「海流」といい、もうちょっと小規模で、ダイビングの時に直接関係するような流れを「潮流」といいます。

前回の離岸流は、一種の潮流とも捉えることができますが、波によって作られるごく限られた範囲の流れです。

潮流は主に潮の満ち干き(潮汐)が原因でできるのですが、そこに、海流や、場合によっては流入する川の流れなども影響します。

実は、潮汐も広義では「波」ということができます。
海の波は、私たちがよく見る、浜に砕ける波以外にもいろいろあるのです。

だいたい普通の波が波長数cmから数mくらいですが、これがうねりになると、波長十数メートルから、時には数百メートルになることもあります。
巨大タンカーが真ん中からボキリなんていうのはこういううねりによることがあるのです。

そして、津波になると波長数百キロから千キロ以上になることもあります。
で、実は、潮汐は、地球一周で2波と捉えると、赤道付近で波長2万キロの波とも言えるわけです。

潮流ができる原因

では、実際に潮流はどのようにできていくのでしょうか。
これが、案外複雑なのです。

潮流は、まず、主には前述の「波長2万キロの波」である潮汐による流れ(潮汐流)が起こすものです。
その潮汐は、ご存知のとおり、地球の上の水が、月などの引力によって引かれることで起きています(図1)。

潮汐(くま呑みさん連載用)

図1.月の引力と潮汐

ですから、月に向いている面と、その反対側が満潮、月の真横(つまり月が地平に見えるとき)が干潮ということになります。
実際には、流れですので、時間差があるのですが。

また、月ほど大きくありませんが、太陽の引力の影響も受けます。

ですから、月と太陽の向きが重なったり(新月)、180度逆の向きになる時(満月)は、引力と遠心力が最大に働いて大潮になり、月と太陽の向きが90度ずれる(半月)の時は小潮になるわけです(図2)。

潮汐(くま呑みさん連載用)

図2.月と太陽の位置関係と、大潮・小潮

以前は、潮流は潮汐によって起きると考えられていたので、潮汐流のことを潮流と言っていました。
今でも、そのように使うことはあります。

が、現実には、潮流にはさらに、海流の影響もで出ていますし、近くに流れ込む川の流れの影響もあります。

海流は蛇行するので日々変わりますし、川の流れは雨量によって変化しますし。
また、潮汐流そのものも、大潮と小潮の差(潮回り)によって日々変化します。
さらに、強い風が吹くと、海面近くに風によって吹き寄せられる流れ(風送流)ができることもあります。

これらが、地形の影響を受けて複雑に流れを変えるのが、潮流です。
日々、ある程度は潮汐によって繰り返されるとはいえ、全く同じ流れが起きるわけではないのです。

ですから、「以前ここは大丈夫だったから」といって、同じところに行ったら、今日は強い流れに捕まったなどということもありえるので、注意が必要です。

※次回は、実際の地形と流れの例をちょっと見てみようと思います。

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