タイのダイビングポイントで落書きされたサンゴが見つかり物議
ダイバーがサンゴに落書きしたニュースが話題となっています。
2016年12月30日、タイ国立公園に指定されているアンダマン海に浮かぶシミラン諸島のサンゴ礁で、韓国のハングル文字が刻まれているのが見つかり、韓国、タイのメディアともに韓国人観光客による犯行とみて報道をしている。この文字は現地タイのダイバーが発見し、29日に「ダイビングのお客さん達と一緒に潜る途中、およそ水深20メートルくらいのところで傷つけられたサンゴを発見した」とSNSサイトに投稿したもの。文字はハングル文字で「朴英淑(パク・ヨンスク)」と刻まれていた。シミラン諸島はナショナル・ジオグラフィック誌で世界の10大ダイビングスポットにも選ばれているタイの国立公園で、犯行に対しタイ、韓国両国から批判の声が上がっている。
タイ国立公園のサンゴ礁でハングル文字が刻まれたサンゴが発見され物議(グローバルニュースアジア)より
タイのガイドによれば、現地でも話題となっているそうですが、ダイバーとしては言語道断ですね。
国立公園ということで、日本のように自然公園法のようなものがあれば犯罪にもなりかねません。
あまりにも単純な話なので、教訓もへったくれもないのですが、僕の世代以上の人は、このニュースから朝日新聞の珊瑚の落書き自作自演事件を思い出す人も多いかもしれません。
知らない方のために簡単に説明すると、問題となったのは、1989年4月20日の朝日新聞に掲載された「サンゴ汚したK・Yってだれだ」という記事。
ダイバーにも有名な西表島の巨大なアザミサンゴに「K・Y」というイニシャルが刻印されているのを記者が発見し、記事になりました。
「日本人は、落書きにかけては今や世界に冠たる民族かもしれない。だけどこれは、将来の人たちが見たら、八〇年代日本人の記念碑になるに違いない。
百年単位で育ってきたものを、瞬時に傷つけて恥じない、精神の貧しさの、すさんだ心の……。にしても、一体“K・Y”ってだれだ」
結局、ダイビング事業者の指摘と抗議で、この記事が実は朝日記者の「落書き、ねつ造」ということが判明。
関係者が退職処分になるなど大騒ぎとなったのは言うまでもありません……。
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つまり、今回のタイのニュースも誰が書いたかわからないわけですし、日本人だって、サンゴの密漁が問題になったりもしていますので、安易に人種問題にはしたくないものです。
また、自然、環境のシンボルであるサンゴとマナー違反の象徴である落書きが合わさるといつだって大騒ぎになりますが、よく考えれば、自然へのインパクトを考えれば、サンゴを蹴って折ってしまったり、魚を触りまくる方が問題かもしれません。
潜るという行為のエゴを受け入れつつ、配慮あるダイビングを心がけたいものです。