減圧症にならない潜り方 後編
■減圧症にならない潜り方 前編
http://diving-commu.jp/divingspirit/item_3603.html
減圧症のリスクを高める「生理的・環境的因子」は以下の通りです。
★(対処)は編集部
■性差
これまで女性の方が減圧症発症率は多いと思われてきたが、
実は男性の方が多いかもしれない。
★今のところ、あまり気にしても仕方ない
■年齢
中年に近づいてきたら注意(37歳を過ぎたらという指摘)。
★中年になれば、より注意深く潜る必要がある。
■肥満
体脂肪率は気泡発生のリスクファクターになる。
★メタボの人はやせた方がいい。
■脱水
真夏や熱帯地方は注意が必要。
ダイビングが深く長くなるほど脱水傾向が強くなる。
また、脱水は神経系のリスクファクターである。
★ダイビングの前後で水分補給を。
■振動
身体に振動を受けた後に潜水したダイバーは気泡発生が少ない。
ボートでの振動や意図的に身体を振動させた場合、
気泡発生が少ないという実験結果。
ただし、ダイビング後の振動はリスクになりえる。
★あえて潜る前に振動を受けることは現実的ではないので、
ダイビング後の運動はひかえることに留意したい。
■潜水前の赤外線サウナ
気泡発生少なくなるとのこと。
■アルコール
利尿作用による減圧症のリスクがアップ。
★減圧症だけでなく、体調や思考の面でも控えるのがベスト
■疲労
リスクになる可能性が大きい。
★ゆったりとした行動を。
■労作
ダイビング中の過度な労作業はリスクを高める。
★のんびりと潜る。
■最大酸素摂取量
多い人の方がリスクが減る。
★日頃のフィットネスが大事。
■健康
健康状態が悪いとなりやすい。
■喫煙
喫煙者の重症度割合が高い。神経型のリスクを増加させる。
★吸わないことを推奨。
■二酸化炭素蓄積
二酸化炭素分圧が高いと誘発。
★スキップ呼吸、浅い呼吸、息止めなどをやめて、
深くゆっくりの呼吸を心がける。
■月経・低用量ピル服用
月経はリスクになるかもしれないといわれているが、明確ではない。
閉経後の女性はリスクが高まる可能性。
★減圧症以外の理由もあるので、生理中のダイビングには注意。
■潜水前運動
潜水前の運動は気泡発生を減少させる。
潜水24時間以上前は運動OK(むしろ、リスクが下がる可能性も)。
潜水までの2時間前までは運動してよい。
★日常からのフィットネスが大事。
最大心拍数70%の運動を週に90分以上行なうことを推奨。
■減圧中の運動
潜水中は窒素を取り込まないために激しい運動は避けたほうがいい。
ただ、減圧中は窒素を排出するために軽い運動をしたほうがいい。
■潜水後の運動
潜水後の発症率は高い。
■卵円孔開存(PFO)の観点から
卵円孔開存(心臓内の左右を仕切る壁に空いている穴。人口の30%)
があるダイバー(その有無を知らないダイバー)は、
ダイビング後に力強いバルサルバ、咳、膝屈伸など、
胸腔内圧を高める動作を行わないほうがいい。
★激しい運動を控える。
■熱いシャワーや入浴
潜水直後は発症率が上がるかもしれない。
★直後の風呂は控える。
■航空機搭乗
複数回潜水の場合、18時間以上あけることを推奨。
★24時間あけるとなおよい。
■高所移動
潜水後の反復グループが大事。
反復グループ記号A〜Cであればほとんど発症しない。
潜水終了時に反復グループをGより小さくしておけば、
器材を片づけて車で移動しているうちに(約3時間)、
高所到達時にC以下になる。
★浅く短いダイビングをすべき。
以上のような「生理的・環境的因子」を理解して、
ダイビングコンピュータの数字に頼りきったダイビングから脱却し、
自分の頭で考えられるダイバーになれば、
もっとダイビングが安全で楽しくなるはずです。