0.01ドルの洋書が教えてくれること

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ダイビング歴45年。やどかり仙人のぶつぶつ多事争論

春は名のみの風の寒さや。甘酒などをすすりつつ、ニタニタとしております。
というのは、先日とどいたアメリカ海軍のダイビング・マニュアルの
最新版改訂6版を読んでおり、かゆいところに手が届くような内容に、
あれもと、これもと納得しておるわけなんであります。
いわゆる「US NAVY DIVING MANUAL REVISION SI×」というのが
その名称でありますが、
すべてのリクリエーションダイビングの基本理論やテクニックはここのルーツを発しております。

まずニタニタしておる理由は、いわば政府刊行物であって、
もともと値段も安いはずなんですが、それが170〜220ドルもするのであります。
数百ページのマニュアルですから仕方ないにしても、
重い、しまいにくいで、懐は寒いしで3年も買えなかったのです。
(インターネットで検索すると、PDF海賊版?を無料で読めます)

ところがであります。

なんとそれのCD-ROMが「Best Publishingベスト出版」という
アメリカのアリゾナのダイビング専門の出版社から発行されておるのです。
お値段わずか19.95ドル。もちろんアマゾンで買うのですが、
アメリカからの送料が14ドルほど。合わせて日本円で2,800円ほど。
CD-ROMですから、軽い、安い、邪魔にならないのが、
ろくな本棚もないヤドカリ爺には嬉しい買い物であります。

さらにであります。

なんとインターネットでアマゾンに発注して、
なんとなんとと5日目には手元に届いたのであります。
アメリカのどこから来たのかは分かりませぬが、
わずか1,000円ほどの送料で、たぶん空を飛んできたのですな。

ヤドカリ爺がここで言いたいのは、インターネット時代は、
情報だけでなく、とてつもなく物流も早いのですな。
かつては、洋書専門店に出かけていき、定価の2倍も払って、
早くて一月、長けりゃ二タ月、三月、
忘れたころにやっと届くなんてのが当たり前でしたな。
いちばんの違いは、定価で買えるってことです。

ところでUS NAVYダイビング・マニュアル、拾い読みすると、
近頃話題になった、ダイビングの高所移動とか、リバースプロファイル、
酸素減圧といったことは、ほとんど説明されております。

また最終の減圧深度が6mになる、
近頃話題の酸素減圧が組み込まれたダイブテーブル。
もともとが海軍のダイバーをいかに効率よく働かせるために作ったマニュアルで、
ダイブテーブルなどは楽観的に過ぎるといわれておりますが、
ダイビング後の高所移動のテーブルなども載っております。

あくまでもマニュアルで、ただ読んでもおかしくも、楽しくもない一冊、
いやCD‐ROM一枚ですが、これほど徹底したダイビングの基礎知識ガイドは
他にはないわけで、シリアスダイバーの参考書にはぜひお勧めであります。

現場のダイバーが使うマニュアルなので、文章は簡潔で読みやすくなっており、
ヤドカリ爺の貧弱な英語力でもどうにか読めるのであります。
それにこのCD-ROM一枚あれば、
必要なところはいくらもプリントアウト(著作権上は問題ありかな?)できます。
これでわずか送料込みで24ドルとは、、、、。

もう1つ。

このコンピューター全盛の時代に、ダイブコンピューターについて、
まともなレベルの著者が書いたガイドブックがまるでないのであります。
そんなわけで、かつてヤドカリ爺もこの1冊で勉強させていただきました。
20年前のダイブコンピュータの本であります。その名も、
「DIVE COMPUTER COMSUMER’S GUIDE TO HISTORY THEORY&PERFORMANCE」
(ダイブコンピューター、歴史、原理、性能、消費者ガイド)。
まさにコンピューターの原理あるいは仕組みの本でありますが、
それ以後、20年、これを越えるダイブコンピューターの入門書を知りません。
と申しても、あくまでも私の知っているかぎりではあります。

もちろん初期のこと、
取り上げているダイブコンピューターの機種はまったく違いますが、
コンピューターの原理と仕組みについての説明は、今も100%通用いたしますな。
ダイブコンピューターは日進月歩なんていいますが、
そりゃ使用上の機能面が改良されているだけで、
その仕組みと原理は20年前とまったく同じであります。

これをいうとメーカーの人から、お目玉を食いそうですが、
ダイコンの仕組みなんて、あまりに簡単で、魔法の小箱どころか、
ただの水中計算機に過ぎないことがわかりますぞい。

基本的にはダイブコンピューターにつめられた理論は、50年前と同じ。
もっともこれが分かることが、大事なんですがね。

著者は、KARL HUGGINS(共著)。
世界最初のダイブコンピューター、エッジの開発者でもあり、
自分でダイブテーブルなども開発した減圧理論のおエキスパート、
しかもNAUIのインストラクターであります。
最近のDANの会報「ALERT DIVER」にも登場しておりました。

私にとって貴重な一冊、最近やっとamazon.comで見つけました。
古本でわずか0.01ドル(8円。間違いではありません。まっこと8円であります)。
■お買い求めの方は→こちら ※日本のamazon.co.jpだと2,000円前後

送料込みで100円足らず。欣喜雀躍、落涙、なだそうそう。
ヤドカリ爺の薄-い財布にもあまり負担がかかりません。
もし、ダイブコンピューターをもう少し知りたいお方は、早速、早速、注文であります。
絶対にご損はございません。
買ったら寺和尚に1冊進呈する。読めよ!! (和尚:仙人殿、感謝じゃ!)

もう1つおまけ。

すでにご存知のお方も多かろうと思いますが、
DANの会報が、いつでもどこでも、どこからでも、見られます。
ALERT DIVER ON LINE」というタイトルで、
全ページカラー版、中には動画のページまでございます。
ダイビングツアーからチョービッグネームの水中医学の権威まで、
これでは、ダイビング雑誌が売れなくなるなと思うほどでございます。

すでにアメリカのDANはたんなるダイバー支援組織から
ダイバーサービス組織に変貌しつつあるように見えます。
当然会報が充実しないわけにはいかんでしょう。
(一方、DAN JAPANの会報の内容の薄いこと、いかに会員規模が小さいとて、
もう少し実のある情報が送れんもんかな)。

インターネットの普及のより、情報過疎の日本ダイバーも、
簡単に最新情報を手に入れるようになったことを実感し、
やはりニタニタとしてしまうのです。

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PROFILE
1964年にダイビングを始め、インストラクター制度の導入に務めるなど、PADIナンバー“伝説の2桁”を誇るダイビング界の生き字引。
インストラクターをやめ、マスコミを定年退職した今は、ギターとB級グルメが楽しみの日々。
つねづね自由に住居を脱ぎかえるヤドカリの地味・自由さにあこがれる。
ダイコンよりテーブル、マンタよりホンダワラの中のメバルが好き。
本名の唐沢嘉昭で、ダイビングマニュアルをはじめ、ダイビング関連の訳書多数。
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