海を彩る立松和平さんの言の葉

こんにちは。須賀潮美です。

昨日は法政アクアのOB会でテラと久々に飲みました。
飯田橋の居酒屋「秋刀魚」で、旬の秋刀魚の刺身を食べながら大いに盛り上がりました!
さて、今回は「ニュースステーション」でコンビを組んだ立松和平さんのこと。

作家の立松和平さんとコンビを組んだ「こころと感動の旅」は、
「ニューステーション」の初期の頃に2〜3年続いたシリーズだ。
その後は立松さんと私はそれぞれ独自のコーナーを持ち
番組にかかわり続けたのだが、立松さんの朴とつとした語りと、
「シューボコ」という呼吸音と共に話をする
水中リポートの掛け合いは強烈なインパクトがあったようで、
今でも「あのコーナー見ていました」と言う方が少なくない。

立松さんとは北海道・稚内から沖縄・与那国島まで、日本全国の旅をした。
ロケでは水中映像をモニターに映し、
地上にいる立松さんが見ながら私と会話をするというスタイルがとられたが、
水中には何がいるか、どんな展開になるか、予想できない。
即興で掛け合いをすることになる。
私が水中で出会った生き物の様子や生態を紹介すると、
立松さんは作家の視点で海中の世界を語る。

長崎県の天草では、海中にソフトコーラル(トゲトサカ)の群落が広がり、
ナイトダイビングで見ると赤いトゲトサカの色が際立っていた。
立松さんはその景観を見ると
「夜の海に、人知れずこんなにも豊かな色彩の花が咲いているんだね。
原色の赤は何百年と色あせることもなく、波の行き来を呼吸して、
海の底で輝いている。天草は血塗られた歴史をくぐりぬけてきた海と土です。
過酷な歴史があったからこそ、色彩が深く豊かなのかもしれません」と、
隠れキリシタンの悲しい歴史と重ね合わせて語る。

青森県の十和田湖では、湖に棲むヒメマスが秋になると婚姻色で身体を赤く染め、
産卵を終えると生涯を閉じると私がリポートすると、
「自然は美しいけれども、厳しいもんですね。
お腹が赤くなるのは、ヒメマスの最後の輝きなんですね」と
命をかけて子孫を残そうとする生き物の美しさを語る。

立松さんと会話をしつつ、そのイメージの豊富さには感嘆するしかなかった。
立松さんは口癖のように「僕は書きたいんだよ。
書きたいものがたくさんあって時間が足りないんだよ」と言っていたことを思い出す。

ロケ先にも原稿用紙と万年筆、デスクライトを持参し、
夕食後は1杯のコップ酒を手に自室にこもり、深夜まで執筆をする。
スタッフは大酒飲みぞろいで夕食後も大宴会が続くのだが、
参加することは滅多になかった。

「ニュースステーション」に出演したのを契機に、
作家以外の仕事もずいぶんされていたけれど、
旅を続け、走り続け、書き続けた立松さんは、昨年、62歳という若さで逝ってしまった。
まだまだ書きたかったでしょうに……。


立松さんとは生中継も何度か行った。夜の10時過ぎの放送を前に打ち合わせ中

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