サンゴの北限調査プロジェクト @安良里
黒潮の影響を色濃く受ける日本列島はサンゴの宝庫。
沖縄はもちろん、黒潮の流れに沿って分布を広げてきた造礁サンゴは、
北太平洋の北限とされる関東近辺まで広がっている。
伊豆半島や房総半島、三浦半島を潜るダイバーなら実感があるはずだ。
しかし、この地域での造礁サンゴの分布の様子はこれまで断片的にしか分かっておらず、
広範囲な分布調査の必要性が指摘されてきた。
さらに、近年の地球温暖化による影響を如実に示す対象としても注目を浴び、
『特定非営利活動法人OWS』によって「北限域の造礁サンゴ分布調査プロジェクト」が発足。
国際サンゴ礁年の2008年をきっかけに、科学者とダイバーが連携し、
造礁サンゴ分布の太平洋沿岸での北限域にあたる
伊豆半島、三浦半島、房総半島一帯での分布調査を行われてきた。
そんなプロジェクト調査が、本日、安良里の海で行われたので紹介します。
調査は、どんなサンゴがあるのか探して把握する探索調査と
毎年同じ場所でサンゴがどのように変化をしているか経年変化を調べる
モニタリング調査があるが、今回は後者。安良里の海で行なわれるのは4年目となる。
いざ、モニタリングが行われているボートスポット「広磯」へ。
例年と同じ場所で、3㍍四方の枠内を9分割してモニタリング調査。
学者ダイバーは枠内を詳細にスケッチ。前年との変化をチェックする。
一方、ボランティアのフォト派ダイバーは、さらに4分割して撮影。
つまり、3㍍四方の枠内を36分割撮影し、経年変化を調査するのだ。
同じ条件で撮影できるように、カメラを枠組みに固定して撮影する
地味な作業ではあるが、参加者したボランティアダイバーたちは、
「意義ある活動のお手伝いができるので満足感がある」
「貴重な体験ができて楽しいです」
「探索調査で、新しいサンゴを見つけるのはフィッシュウオッチング以上に楽しいですよ」
と動機はそれぞれだが、充実感や使命感を持って参加している。
※
プロジェクトを主導している、サンゴ礁の北限を見つけた(壱岐島)ことでも有名な
「国立環境研究所」の山野博哉さんにプロジェクトの意義を聞いた。
近年、温暖化が進み、サンゴの分布が北上してきていますが、
その全容はまだまだわかっていません。
これら、サンゴのこれらを長期的に調査することによって、
得た情報や成果を活用して、海の生態系の基盤となるサンゴの保全や
環境保全活動の普及や啓蒙につなげていきたいです。
安良里で4回目ということですが、変化は見られますか?
台風の影響で随分減ってしまっていますが、
エンタクミドリイシは確実に成長しています。
ちなみに、30年前にエンタクミドリイシはなかったのです。
OWSのプロジェクト担当の後藤健太郎さんにもお話を聞いた。
まだまだサンゴの状況がわかっていない海がたくさんあります。
OWSでは、そんな海に潜って調査するディスカバリーツアーを開催しています。
興味がある方はぜひ参加してみください。
OWSの後藤さん(左)と国立環境研究所の山野博哉さん(右)
海の中を研究する科学者にとって、ダイバーはベストパートナー。
OWSでは、その他、さまざまな海の活動を行っているので、
海からの環境保全に興味がある方は、まずはホームページをご覧ください。
http://www.ows-npo.org/index.html
■造礁サンゴフィールド図鑑
サンゴの分調査プロジェクトメンバーによるフィールド図鑑。
伊豆半島や房総半島、三浦半島を潜るダイバーには実際に海に持っていって役立つだけでなく、
見ているだけでめちぇめちゃおもしろい!
http://sango.ows-npo.org/zukan.html