海の日に考えたい、海洋ゴミの源流と私たちの日常生活〜海洋ゴミに関するアンケート結果発表〜
今日、7月15日は海の日!
ちょうど夏のはじまり、7月の第3月曜日に制定されている祝日ということから、「海に行こう〜!」と呼びかける日と思っている方かもしれませんが、実は、海の恩恵に感謝するという趣旨の祝日なんです。
海の日
海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。
(1876年に明治天皇が東北地方巡礼から帰着したことにちなんでいる・・・んですが、ここでは歴史的な背景は割愛します!ご興味ある方はググってみてください〜笑)
さて、海が好きなダイバーならば、年に一度の“海”と名がつく祝日、スルーするわけにはいきませんよね!?
今日は立ち止まって、海の環境について考えてみたいと思います。
先日、海洋ゴミ問題について、アンケートを行いました。
ご回答くださったみなさん、ありがとうございます!
海洋ゴミとは、漂着ゴミ、漂流ゴミ、海底ゴミ等、海の中や周辺に集まるゴミの総称です。
中でも、プラスチック製のものが飛び抜けて目立ちます。その数、年間にして800万トン以上!
特に深刻な影響を与えているのが、マイクロプラスチック(5mm以下の小さなプラスチックごみのこと)です。
2018年の世界環境デーのテーマが「Beat Plastic Pollution(プラスチック汚染をなくそう)」だったことや、先日のG20大阪サミットで「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が提唱されたことなどから、耳にする機会も増えてきました。
すでに海には、1億5000万トンものプラスチックごみがあり、2050年にはそれが海にいる魚と同じ量にまで増えるという予測も出ています。
この壮大な話を前に、私たちはどうしたらいいのでしょう・・・?
「海洋ゴミ」についての
アンケート結果発表!
今回のアンケートでは、実際に海に足を運ぶことが多いであろうオーシャナ読者の皆さんに、海洋ゴミについての実態を聞いてみました。
まず、海洋ゴミについて知っている方が、97%!
Q1.あなたは海洋ゴミ問題について、知っていますか?
- 知らない (1%, 2 Votes)
- 知っているが、興味がない (2%, 4 Votes)
- 知っていて、興味がある (97%, 178 Votes)
Total Voters: 184
他サイトで目にする数字よりも高い肌感です。
そして、海洋ゴミを目にしたことがある方は、大多数と言っていいでしょう。
Q2.ダイビングやその他のレジャーで海に行った際、「海岸」で海洋ゴミを目にしたことがありますか?
- ない (1%, 1 Votes)
- ある (99%, 178 Votes)
Total Voters: 179
Q4.ダイビングやその他のレジャーで海に行った際、「水中」で海洋ゴミを目にしたことがありますか?
- ない (9%, 17 Votes)
- ある (91%, 162 Votes)
Total Voters: 179
そして、5〜6割の方が、回収するという行動に出ている!
Q3.Q2で、目にしたことがあると回答した方に伺います。「海岸」で海洋ゴミを目にしたとき、回収しましたか?
- 回収しなかった (45%, 79 Votes)
- 回収した (55%, 98 Votes)
Total Voters: 177
Q5.Q4で、目にしたことがあると回答した方に伺います。「水中」で海洋ゴミを目にしたとき、回収しましたか?
- 回収しなかった (41%, 64 Votes)
- 回収した (59%, 94 Votes)
Total Voters: 158
各地でビーチクリーンナップイベントも開催されていますし、「潜りに行く日は、ゴミを拾って帰る」というダイバーの方も多いです。
「物理的に自然から海洋ゴミを回収する」という具体的な行動を起こしている方々がこれだけいることに、とてもうれしく感じました。
こういった草の根レベルの活動が、全体の意識を向上していくことにつながっているのだと思います!
ただし、今回のアンケートは、細かいシチュエーションや回数、そして、回答者の属性等を問うたデータではありません。
オーシャナ読者の方には海が好きな方、海に行く頻度が高い方が多いだろうことから、“海好き”バイアスはかかっていると見たほうがいいでしょう。
そして、海洋ゴミの影響を受けている生物を、実際に目にしたことがある方は、30%でした。
Q6.海洋ゴミの影響を受けている生物を、実際に目にしたことがありますか?
- ない (70%, 125 Votes)
- ある (30%, 53 Votes)
Total Voters: 178
やはり、一般の方々にも目に触れる形でさえ、海洋ゴミの影響を受けている生物が少なからずいます。
目を背けてはいけない現実です。
アンケート結果を掘り下げて考える
一方で、大多数の方が海洋ゴミを目にしたことがあるけれど、4〜5割は回収しなかったという見方もできます。
これ、とても正直な結果だと思うんです。
ダイビングやその他のレジャーで海へ行く場合、楽しむために行く人がほとんど。
その際、何の準備もなく目にしたゴミを拾うという行動をするのは、正直なところハードルが高いケースも多いものです。
特に、水中で海洋ゴミを見つけた際には、モノによっては手を切ってしまいそうで危険、なかなか取れないなどの事情で止むを得ず回収できないケースもあるでしょう。
(ダイビング中は、ダイバー自身の安全確保を第一に考えましょう)
一度、振り返りますが、毎年800万トン以上ものプラスチックが海へ流出しています。
この膨大な量を前に、1人のダイバーとして、徒労感も感じざるを得ません。
そこで、今日はもう少し、海洋ゴミ問題について、掘り下げてみようと思います。
実際に私たちが海洋ゴミを目にするのは、海です。
豊かな自然を求めて足を運んだはずの場所に散らばる人工物のかけらたち。
このゴミはどこから来たのか、想像してみましょう。
海洋ゴミの源流は生活の中に
海洋ゴミの源流は何か。
それは、私たちの日々の生活から排出されたものです。
想像しやすいのは、ゴミを捨てる時ですね。
★分別をして、ちゃんと捨てているだろうか。
★リユースできるものはしているだろうか。
しかし、“捨てる”の前には、何らかの形で入手しているものです。
★無意識のうちにレジ袋をもらっていないだろうか。
★使い捨ての商品ばかり購入していないだろうか。
人間の消費行動・・・ここにこそ、海の環境を変えていく契機があるのではないでしょうか。
アンケートの「あなたが日常生活で海洋ゴミ問題に配慮し、気をつけていることは何ですか?」という項目では、「ゴミの分別をしっかり行う」「レジ袋をできる限りもらわない」という項目への回答が多く集まりました。
Q7.あなたが日常生活で海洋ゴミ問題に配慮し、気をつけていることは何ですか? ※当てはまるものをすべてお選びください。
- その他 (3%, 17 Votes)
- 気をつけていることは特にない (2%, 12 Votes)
- 海洋ゴミについての知識をインプットする (21%, 114 Votes)
- 清掃活動に参加する、ゴミを見つけたら回収する (13%, 74 Votes)
- ゴミの分別をしっかり行う (26%, 146 Votes)
- 使い捨ての商品をできる限り購入しない、使わない (10%, 54 Votes)
- プラスチック製品をできる限り購入しない (6%, 31 Votes)
- レジ袋をできる限りもらわない (19%, 106 Votes)
Total Voters: 205
すでに、これだけの方が意識され、実践されている・・・!
そして、「海洋ゴミについての知識をインプットする」という方も多いですね。
自然のメカニズムは複雑で、なかなか単純な図式で表すことが難しいものです。
しかし、環境に配慮した生活を目指すなら、知識をぜひ味方につけていただきたいと思います。
例えば、レジ袋ひとつとっても、様々な意見があります。
使い捨てから脱却するためのエコバックの利用も、一歩間違えば諸刃の剣です。
何かを改善しようと思って行う施策が、別の面ではマイナスの効果をもたらしてしまうことがあります。
これをトレードオフの関係と言います。
レジ袋とエコバックを例に少しご紹介しますね。
プラスチックからできた薄いレジ袋と布製のエコバッグでは、エコバッグのほうが製作する際に多くのエネルギーが必要となります。
いったい何回エコバッグを使用すれば、レジ袋の生産コストを相殺するに値するのか・・・、エコバッグの素材や大きさ等の条件によって異なるので明確な数字は出しづらいですが、1回や2回の使用で追いつかないことは、容易に想像できます。
エコバッグを購入する際には、気に入ったものを購入して長く使い続けることが大切です。
また、新しいエコバッグを購入するよりも、手持ちの袋を代用したほうが、より環境には負荷がかかりにくいと言えるでしょう。
何かを購入する際には、こういう視点をもって、選択することができるといいですね。
オーシャナでも、海洋ゴミをはじめ、環境問題やSDGsに関する情報発信を引き続きしていきたいと思っています。
おわりに
私ごとですが、現在4歳と1歳の子育てをしながら仕事をしています。海を愛する気持ちは、人一倍あるつもりですが、日々、自分自身のマインド中心にはいかないことだらけです。
紙オムツを捨てるたび、食べこぼしをウエットティッシュで拭うたび、ちくっと心が痛みます。
言い訳のようになってしましたが、「海は守りたいけど、日々の生活で目一杯!」。
これが多くの人の現実でもあると思います。
今すぐに、「すべてを脱プラせよ!」と声高に叫ぶつもりはありません。
しかし、1人のストイックな脱プラ行動よりも、100人、1000人・・・の少しの心がけが集まった方が、社会全体で考えると意味があると思うんです。
現在、SDGsをきっかけに、環境に配慮した商品開発を行うメーカーも増えてきています。
買い物をする際に、「環境負荷がかからないもの」という選択肢がどんどん増えてくることも予想されます。
社会とともに持続可能な形でライフスタイルをアップデートしていくーー。
海の日の今日、そんな未来の形を考えてみませんか?