漂流しちゃ、メッ!

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以前、紹介したryopaさんのブログに書いてあったのだが、
漂流したマグロ漁船「幸吉丸」の乗組員が乗っていた
救命イカダには、一冊の本が積んであったそうだ。
その名も
「生き抜くために」(旧運輸省監修)
その本から「海守(うみもり)」というボランティア団体が、
海で漂流した際の要点をブログでわかりやすく紹介している。
http://blog.canpan.info/umimori/archive/64
※海守は去年、マリンダイビングフェアにも出展したいただき、来場者からも大変好評でした。
しかし、これはあくまで海上漂流の場合。
なので、この海守の解説をそのまま引用して、
ダイバーが水面漂流した場合にすべきことを考えてみる。
※以下、青文字が海守のブログからの引用。
《希望を持って》
望みを捨てた時が、終わりの時です。
食料も飲み水もなく1ヵ月以上も漂流し助かった事例は
たくさんあります。生きようと思うことが、生還の第一歩です。

精神的な部分はダイバーも同じ。まずは希望を持つこと。
1カ月以上も漂流して助かったという事例は、
例えば3週間海上漂流してしまった人にとっては
「1ヶ月の人もいたんだ!」と希望につながるが、
ダイバーはさすがに1ヶ月は無理。
僕の知っている例では、有名な話だが、
新島でダイビングをしていた男性が黒潮に流され、
56時間も漂流し、230キロメートル離れた銚子沖で漁船に拾われたというケース。
この男性はダイビングショップのオーナーで、
僕も仕事でお話したことがある。
「クジラに導かれて助かった」とのことで、
ショップのロゴもクジラだ。
僕ならクジラが出たら逆に怖いと思うのだが、
男性は「ホッとした」と言う。
ということで、太平洋のど真ん中を3日間も独りで流された人がいるわけだから、とりあえず、僕らも1日ぐらいであきらめてはいけないってこと。
≪仲間がいれば≫
もし数人で漂流した際は、団結です。
ついつい「我先に……」となりがちですが、
仲間が多いほど知恵が生まれ、生還のチャンスが広がります。
安易に単独行動をしてはなりません。

⇒これもダイバーに通じる。
互いのBCをきちんとホールドすべし。
ダイバーの場合、知恵もへったくれもない状況だが、
とりあえず複数いる安心感は独りとは比べものにならない。
≪食料≫
人は、食料はなくても40日は生きられるそうです。
逆に水がなければ5日ともちません。
食欲は抑えがたい欲望ですが、何より水です。
食料より水の確保を優先させましょう。
※1日あたり500ml以上の飲み水がなければ、肉や魚、繊維質は食べてはいけません。救命用の食料だけにしましょう。
※また、24時間は前日に摂った食料で体を良好に保てますので
漂流してから24時間は何も食べる必要はありません。

≪水≫特に重要!
・くどいようですが、水だけで40日は生きられます。
・海水や尿は決して飲んではいけません。
・雨水は最大限利用しましょう。
・漂流後24時間は水を飲む必要はありません。
・救命用の水がある場合、1/3は最後まで保管しましょう。
・集めた雨水は、せいぜい2日ほどしか飲めません。

⇒残念ながら食料や水を持って漂流するダイバーはいないだろう。
雨が降るのを祈るのみ……。体温喪失の問題もあるし、
やはり、ダイバーの場合は奇跡が起きても5日間がリミットか。
少なくともここまで希望を持ちたい。
≪アピール≫
救命ボートには、必ず鏡と防水ライトが積んであります。
日中には鏡の反射光を使って付近の船舶や航空機に
救助を求めましょう。反射光は条件によって30kmも先まで
届きます。遠いからといって諦めてはいけません。
夜間は、同様にライトでアピールしましょう。

⇒これはダイバー用にたくさんグッズがある。
特にドリフトスポットなどでは、
やはりエマージェンシーグッズが明暗をわける。
水面に浮かぶダイバーは驚くほど見つけにくいのだ。
≪体力の温存≫
漂流中は本能的に陸地を探したくなるといいます。
しかし、救命いかだやライフジャケットで陸地を発見し
上陸することは困難な場合が多く、むやみに動き回らず
体力を温存した方がいいようです。

⇒ダイバーは水の中……。つらいな〜。
BCにエアを給気して、その上に乗るなどして上手く体を温めるしかない。
また、体温の喪失も危険だが、頭部への直射日光も危険。
そういう意味でもフードはかなり重要意味を持つ。
僕はたとえ南の島でもフードをかぶっている。
ってことで、


ダイバーは漂流しない方がいいです。はい。
もちろん、ダイバーが漂流する海域は魚場に比べれば条件がいいし、
捜索開始の初動も漁船の漂流とは比べものにならないくらい早いだろう。
映画『オープンウオーター』のように、
陸上に戻ってから気がついたなんてことは普通のサービスならないはず。
まあ、何はともあれもう一度。
漂流しない方がいいです。はい。
漂流しないための方法なんかは、
これからも記事で書いていこうと思う。
まあ、以前も書いたが、少なくともドリフトなんかするような海では、おそらく将来は雪崩ビーコンみたいなものを携帯するようになるのでは。
っていうか、僕がサービスのオーナーならそうする。
でも、していないってことは値段が高いか、
実際のダイビングにはフィットしていないのかな?
ネットで見つけたこのビーコン↓なんか、
けっこう安くて使えそうだが。
http://homepage1.nifty.com/~harisan/07_saftygoods/saftygoods/sonic.htm
これを応用して、
ビーチダイビングでもエグジット口に発信機を置いて、
水中でダイバーが受信できればナビも楽々。
まとめると、漂流しちゃダメってことと、ビーコン使って潜ってみたいっていう、たったの2センテンス。
現実逃避でまた長文を書いた次第です……。
嗚呼、自己嫌悪。

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writer
PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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