モルディブ赤道越えツアー6日目・クライマックスは朝メシ前

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今日のような日を大当たりという。
早朝5:30。
ター(Thaa)環礁に停泊中のブルーシャーク内が、
突然アリの巣をつついたような大騒ぎになる。
ドタバタと駆け回る足音が船内に響き渡り驚いて目を覚ます。
「火事か!」と一瞬思ったが、
クルーの「ジンベエ!」の声で騒ぎの理由を理解する。
しかし、隣で眠っているカメラマンの北さんに
「ジンベエ出たみたいっスよ! 行きましょう!!」と言っても、
「出たっつってもよ〜。どうせ、どうにもならねーしよー」
とつれない返事。


確かに、船上からちょっと見えているだけだろうし、
すぐに逃げてしまうに違いないと、二人の決断は二度寝。
10分経つも船上の大騒ぎが終わらない。
しばらくすると、ガイドさんが「ジンベエですよ!」と部屋のドアを叩く。
僕と北さんは遠くに背中だけ見えているであろうジンベエを
渋々見に行くことに。
皆が集まりフラッシュをたく船尾に行くと、
なんと、手の届くところにジンベエが口をぱっかり開けているではないですかおっかさん!
慌てた北さんはすぐにカメラをセッティングし、
僕は見逃さないように船上から動画を回す。
北さんだけが母船にマスクを持ってきていたので、
母船に1つだけあったフィンをつけて海へ入り撮影開始。
※きっと『マリンダイビング』の誌面を飾ることでしょう。
僕も我慢できなくなり、パンツ一丁で海へ飛び込む。
この時ほど10㍍防水のμ795swで良かったと思ったことはない。
コンタクトもしていないのでほとんど何も見えない状態で必死にジンベエを追いかける。
やがて流線型の美しい鎌状の尾ビレが目の前に現れてきたと思った瞬間、
急にジンベエは身を翻し、正面からこちらに向かってくる。
あまりにも真っ直ぐこちらに向かってくるので、
食われるんじゃないかと心配になったところでやや進路を変えて僕のすぐ脇をすり抜けいく。
このとき、左右に大きく振れる尾ビレに腕をペチッとされる。
憧れのペチッ! ペチィ〜〜〜!!
皆3点はドーニにあったので海に入ったのは北さんと僕だけだったが、
ジンベエがまったく逃げる様子がないので、
ゲスト皆でテンダーに乗ってドーニに3点を取りに行きジンベエスイム。
ジンベエはなぜかまったく逃げない。
それどころか、いなくなったと思うと再び母船に自ら戻ってくる。
おそらく母船の明かりに集まるプランクトンを食べに来ているのだろう。
例えでなく、実際に“手を伸ばせば届く距離”にずっとジンベエがいる。
僕のように慌てずに海に飛び込まずとも、
水着に着替えてカメラをセッティングしてから海に入った人も十分にジンベエと泳ぐことができた。
近い!
近いとき!
近ければ!
夢のような時間が終わり、1本目「Dhiyamigili kandu」に潜ると、
今度はモブラ(ヒメイトマキエイ)16尾の編隊に出会う!
しかし、シリカゲルを入れ忘れハウジングが曇ってしまい、
何も見えないので、少し水深を上げてハウジングを無理やりこじ開ける。
この時ほど10㍍防水のμ795swで良かったと思ったことはない。
それにしても水中でハウジングを開けるのは快感だ。
モブラに近づき、ふとダイコンを見ると水深20㍍近い。
10㍍防水だけど……。見なかったことにして撮影続行。
途中、変なノイズが画面に映るが問題なく(?)撮影。
今日だけは手ブラよりモブラ
コンデジは防水がいい
1本目を終え長い朝が終わる。
9:00の朝食時にはすでに“終わった感”が漂い、
ビールでも頼んでしまいそう。
もう、今すぐ帰ってもこの旅には100点を付けられる。
朝食後、船は次の目的地ミームMeemu環礁へ移動し2本目「Muli corner」、
3本目「Vanhuravalhi kandu」でダイビング。
ムレハタタテダイの群れやマダラトビエイ、イソマグロ、ナポレオンなどなど、魚影の濃いスポットだったが、ジンベエのせいで皆、不感症。
鷹さんでもチョコさんでも今日はもう無理だ。
ムレハタタテダイの群れ
ということで、モルディブのダイブサファリ。
ジンベエザメは朝メシ前、なのだ。
■おまけ1
唯一、母船にマスクを持ってきていたカメラマンの北さん。おかげでジンベエに真っ先に飛び込めたわけだが、これは準備がいいわけではない。メガネを海に落としてしまい、船上でマスクをしたまま生活をしているからだ(笑)。飯を食っているとき、少し噛んでは「くはぁ〜」、また少し噛んでは「くはぁ〜」と、マスクをしていると呼吸ができなくなることに気が付いた北さんは、今ではマスクから鼻だけ出すというスタイルを確立し快適そう。最初、皆大笑いだったが、今やマスクをした北さんを見ても“そういう人”として受け入れている。慣れって怖い。
酒を飲む北さん
■おまけ2
洋上の赤フン生活が思いがけず快適だ。海パンのような締め付け感もなく、女性が嫌がるビキニのモッコリも隠してくれる赤フンは、流行るのではないだろうか? いや流行らない(反語)。しかし、スースーして気持ちいいんだな、これが。サファリ生活にかなりオススメです。最初、皆冷ややかだったが、今や和尚を見ても“そういう人”として受け入れている。慣れって怖い。
赤フンで過ごす洋上生活
サンセット赤フン
違和感なし。なし?
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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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