【北海道・積丹でダイビング!絶景の積丹】編集部セリーナの海旅記録vol.2
オーシャナ編集部1年生のセリーナが、8月の北海道へダイビング取材ツアーをする本企画。Vol.2となる今回は、北海道の積丹半島へ。そこは、青く透きとおる美しい海「積丹ブルー」と、火山から流れ出た溶岩が固まった人工物のような地形「柱状節理」が観られる場所。
Vol.1から引き続きお世話になったのは、札幌に店舗を構えるダイビングショップ「ロビンソンダイビングサービス」の西村さん。早速、積丹半島の全貌に迫っていこう。
積丹半島ってどんなところ?
積丹半島は、北海道の西側、北西に突き出ている半島。セリーナは札幌駅周辺のホテルに滞在していたので、朝7時半にピックアップしてもらい積丹半島に向かった。札幌からは車で1時間半ほどだ。
積丹という聴き慣れない地名。その由来はアイヌ語のシャク・コタン(夏の村)と言われている。また、積丹半島は北海道で唯一の「海中国定公園」。珍しい形の岩や大きな岩が点在し、入江と断崖絶壁が続く、自然の造形美が特徴的な場所だ。
積丹半島のダイビングエリアは「幌武意」と、その少し手前の「美国(びくに)」の二つ。今回、取材したのは美国エリア。ここは1日に2本のボートダイビングがメインで1本ずつ港に戻ってくるスタイルだ。
早速、船に乗り込み、ポイントへ向かう。
しばらくして、目に飛び込んできたのは…。
透きとおった鮮やかな水色の海!! 綺麗という言葉だけでは言い表せない…。
これが夏の積丹半島で観ることができる「積丹ブルー」。まるで、空と海が繋がったかのような色。太陽の光が海底の石灰質でできた白い岩まで届き、反射し、キラキラと輝いている。取材日に晴れてくれたこと、ひっそり心の中でガッツポーズした。
1本目は、北海道らしいコンブと積丹ブルーが絶景の「宝島」へ
船を走らせること約5分。上から見るとハートの形をしている小さな無人島「宝島」のすぐ目の前が1本目のポイント。期待に胸を膨らませながら、積丹ブルーの海にエントリー。水底まで伸びている係留ロープをたどって潜降していく。
▶︎特徴その1「静寂に包まれた海」
まず目の前に広がるのはゴロゴロとした岩と静かな海。南国系のカラフルな魚で賑やかな沖縄などとはまったく違う、どこか静寂に包まれているように感じた。これも北の海ならではの光景だ。
▶︎特徴その2「季節ごとに大きく変わる積丹半島の生き物」
北海道の海は、年間の水温差が特徴のひとつ。冬の最低水温は3℃、夏の最高水温は24℃なので、その差がおよそ20℃。そのため、季節によって異なる生き物たちが海にやってくる。水温が20℃以上の夏の時期は生き物の数があまり多くないそうだが、北の海ならではのエゾメバル、ヒラメ、アミメハギ、コケギンポなどが生息しているという。
その他にもサンゴタツというタツノオトシゴやホウボウに似たカナガシラの稚魚、ウマヅラハギなどが観られる。
▶︎特徴その3「地形も楽しめちゃう」
砂地をしばらく行くと、ダイナミックな地形が目の前に。岩壁の間を通ることができる。地形好きにはたまらないはず。
▶︎特徴その4「北海道らしい、美しく生い茂るコンブ」
水深4〜5mの岩盤に生い茂るコンブ。今年は水温が例年に比べ高かったため、枯れてしまうのが早かったというが、北海道らしい海にセリーナは大興奮。太陽光が差し込み、褐色のコンブをキラキラと照らす今まで観たことのない絶景にこのままずっとそこにいたいと思ったが、それは冷静にムリだ…。制限時間の中で目一杯、その光景を自分の目に焼き付けた。動画と写真も必死に撮りまくった。本記事を書いている今でもこの景色は鮮明に残っている。
セリーナが訪れた時期にはすでにいなくなってしまっていたが、6月〜7月にかけて黄色いオタマジャクシのようなスナビクニンというキュートな魚を観ることができる。
ここ、宝島の最大水深は11mほどと浅く、潜水時間は50分と北海道の海をのんびりと堪能できた。
2本目は、まるで人工遺跡!柱状節理を観に「ビヤノ岬」へ
2本目は「ビヤノ岬」という、少し沖合いのポイントへ。船で10分ほどと船酔いする間もなく到着。ここのポイントは水面が流れていなくても中層が流れている場合や、その逆の場合もあるので少し慎重にエントリー。係留ロープに沿って水深を下げていけば安心。
▶︎特徴その1「美国エリアの目玉、巨大な柱状節理」
見えてきたのは、彼の柱状節理「ビヤノ岬」‼︎
なんという迫力‼︎ 自然が作り出したとは思えない、まるで海底遺跡を思わせるその姿!水中でこんな景色を観たことがなかったセリーナは、ここでもまた大興奮。さまざまな角度から観ようと泳ぎ回るが、どこから観ても圧倒的な佇まい。
この日は透視度が20mほどで少し悪い方だったというが、日差しのおかげで、斜面まで綺麗に観える。柱状節理のトップは約10m、ボトムは約22m、高さが12mほどだ
「少し離れないと全体が映らない。下から煽って、上から見下ろして、大きさの比較になるダイバーを入れて。そんな感じで写真は撮ってみて」という西村さんのアドバイスのもとセリーナも頑張った。
火山から流れ出た溶岩がゆっくり冷え固まって、規則正しい柱のような割れ目ができることがあり、これを柱状節理という。溶岩流が冷え固まるときに温度が下がって、体積が収縮することでできる角柱状の割れ目で、角柱の断面は六角形のことが多い。
▶︎特徴その2「緑色と白色になぜ分かれる?ヒダベリイソギンチャク」
柱状節理の側面に、ヒダベリイゾギンチャクという北の海特有のイソギンチャクが群生している。色は茶色と白色があり、なぜか色ごとに固まっている。ここまでくっきり分かれるなんてスゴイ…。色ごとに咲くアジサイのようで、見入ってしまった。潮があると触手が開いて綺麗とのことだったが、残念ながらこの日は開いていなかったが、十分綺麗だった。
▶︎特徴その3「魚影は濃くないけども…、生き物も!」
柱状節理周辺は、魚の数は多くないが、チラホラと生き物がいる。たとえば、センナリウミヒドラというウミウシがよく付くことがあるイソギンチャクの仲間。惜しくもウミウシ発見には至らなかった…。他には群れている子どものエゾメバルや、触覚がありすぎるヒトデの仲間タコヒトデを観ることができた。
セリーナが取材した時期は8月後半。気温は27℃で快晴。水温は24℃ほどだったが、念のためドライスーツを着用。一緒に潜ったダイバーの中にはウェットの方もいたが、2本終わったあとも快適そうだった。
お待ちかねのランチは…。贅沢すぎるウニー‼︎
ダイビングの後は、お待ちかねのランチタイム!実はダイビング中もウニを観ながら、積丹名物のウニ丼を食べれることを心待ちにしていた。今回ランチで連れていっていただいた場所は、ウニ漁が解禁される6月から8月の間だけランチ営業をするという近くの民宿。
この民宿で提供するウニ丼はキタムラサキという種類のウニで、ミニサイズと通常サイズがあり価格はそれぞれ約4000円と5000円。決して安くはない値段に、覚悟はしていたものの実際に頼むとなると緊張する。しかし、ここまで来たからには5000円の通常サイズを堪能しようじゃないか。一生に一度の贅沢だと自分に言い聞かせ、覚悟を決めた。「通常サイズのウニ丼1つお願いします‼︎ 」。
そして運ばれてきたのがこちら。
どーーーん‼︎
近寄ってみよう。
どーーーーーん‼︎
これはテンションが上がる。事前に、「お米が足りないほどのウニが乗っているよ」と言われてはいたが、これは想像以上だ。お米が全く見えない…。
ウニの命に感謝しながら、一口目をパクリ。「なんて、なめらかなんだ。苦味や臭みがいっさいなく、優しい甘みが口いっぱいに広がる〜!」。ウニは通常、保存のためのミョウバンという添加物が使われるが、積丹半島で食べるウニは目の前の海で採れたばかりのウニをすぐに盛り付けているので苦味や臭みが無いのだという。こんな贅沢な丼を食べることは一生無いと思いながら、大切に味わった。
以上、積丹半島でのダイビングレポートはいかがだっただろうか。文字と写真だけでは伝えきれない魅力が夏の積丹半島にはある。来年夏、ぜひ訪れてみてはいかがだろうか。
ロビンソンダイビングサービスについて
札幌市西区に拠点を構えるダイビングサービス。夏は支笏湖や積丹で、冬は知床で流氷ダイビングなどを行っている。北海道を愛してやまないダイビングサービスだ。1982年の創業以来、「海の感動教えます」というキャッチフレーズのもと、多くのお客様に北海道の海の素晴らしさを伝えている。
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今回ガイドをしてくださった西村浩司さんは、ロビンソンダイビングサービスのオーナーで、生まれも育ちも北海道。ダイビング歴28年、ガイド歴23年のほとんどを北海道の海で潜っているという。見た目は金髪で少し強面な雰囲気とは裏腹に、話すととても優しい。北海道の海を知り尽くし、ポイントについて詳しく教えてくださる、北海道愛が非常に強いお方だった。また北海道に来たときは、またぜひ西村さんにお世話になりたい。
ロビンソンダイビングサービスでは最近Instagramを始めたそうだ。フォローとたくさんのいいねをしてほしいそうなので、ぜひご協力をお願いします!
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