2025年発売のRGBlue最新水中ライト「SYSTEM02 Tricolor」「S5」の注目ポイントとは
2025年9月、水中ライトブランドのRGBlueより2つのライトがデビューしました。3色の自然光で水中を鮮やかに照らす「SYSTEM02 Tricolor」とRGBlue初のスポットライト「S5」です。
RGBlueを展開する株式会社エーオーアイ・ジャパンの代表・久野義憲さん(以下、久野さん)に、それぞれのライトの特徴を聞きました。
「SYSTEM02 Tricolor(トライカラー)」について
3通りの光が出せる
最新水中ライトが発売
――まずは、「SYSTEM02 Tricolor」の特徴を教えてください。
久野さん
クリスタルカラーという新しい光を作りました。6500ケルビンという超高演色です。しかも、これまでのプレミアムカラーとスーパーナチュラルカラー、そして新しいクリスタルカラー、この3色が1台で出せるようになりました。「SYSTEM02 Tricolor」のトライカラーは、トリコロールから来ています。

水中ライト「SYSTEM02 Tricolor」
――1台で3色の自然光が発光できるようになったのですね。
久野さん
また、「SYSTEM02 Tricolor」は、今までの2600ルーメンから全光束最大4200ルーメンの大光量へと進化しているため、単純に光量が一灯でも1.6倍になっているんです。5段階調光もできます。
これは、バッテリーのパワー出力を見直すことで実現しました。ただ、発行時間とトレードオフにはなってしまっていて……、連続点灯時間は短くなっています。
今までは、10,000ルーメンの光量を得ようとしたら、10,000ルーメンのライトを新規に購入する必要がありましたが、「SYSTEM02 Tricolor」の場合は、もう一灯ライトを足して、繋げばいい。ユーザーは迷うことなく、まずこれを購入すれば、足りない場合は買い足していけば光量が確保できるというシステムですね。
――1台買えば3色使えるうえに、明るさを足したいと思ったら同じものを買い足せばいい。とてもシンプルですね。
久野さん
これまでは、ユーザーの皆さんに選択肢を与えてしまっていたのですが、「SYSTEM02 Tricolor」ができたことで、「もうこれだけでOKです」と言えるようになりました。
1台の操作で複数台操作可能
マルチリンクシステム
久野さん
「SYSTEM02 Tricolor」は、先ほどお伝えした通り3種類の色温度が使えるうえ、5段階調光が行えます。ということは、単純計算3×5で1つのライトで15の光の選択肢があるわけです。撮影の際は、だいたい左右2灯以上で使う場合が多いので、さらに選択肢が広がります。
その時に、右を調整して、左を調整して……と両方のライトを調整するということは、水中でのオペレーション上あり得ない。そのため、2台はシンクロさせたいというのは開発当初からありました。
しかし、3灯以上を使っている方もいらっしゃる、4灯使っている方もいるとどんどん問題点が出てきて、そのすべてを解決しようとしたら、台数に限りない状態になれた。つまり、専用ケーブルでライトを完全同期させることが可能になったんです。我々は、マルチリンクシステムと読んでいます。水中ライトでは世界初となる技術です。
これは、リモコンでコントロールしたり、カメラで制御するのではなく、1つのライトを操作すると専用ケーブルで繋いだすべての「SYSTEM02 Tricolor」が、コントロールできるというものです。台数は、無制限。オン・オフはもちろん、色温度、調光など、すべてコントロール可能です。
接続方法は2つです。デイジーチェーン接続は、1台のライトが親機のようになって全体をコントロールできます。一方、リンク接続(環状接続)というのは、数珠のようにすべてひとつなぎにすることで、どれを触っても全部のライトが反応します。
――開発の発想力と技術力、素晴らしいですね。この構想は、かねてから練っていたものなのですか?
久野さん
実は、「SYSTEM02 Tricolor」とは別に、光量の大きいライトの開発を進めていたんです。大きくてとても高価なものなのですが、ムービーを撮る時、やはり大きい光量が必要となることから、プロフェッショナルの方たちに要望をいただいていたので。
すると、弊社の電気の開発者が、「こういったことができるようになりました」とぽろっと開発会議で言ったんです。それがマルチリンクシステムでした。その開発を進めてみると、夢みたいなことができるようになった。
結果的に今、特許も申請中なんですけれども、このシステムならば莫大な光量のライトは不要になるため、もう2万ルーメンのライトの開発はやめました。我々としても、一般のダイバーに対して複雑かつ高価なライトを買ってもらう提案をしなくても良くなります。
――開発者の方が技術の進化をもたらし、会社としてもよりシンプルな方に舵を切られたのですね。
久野さん
ラインナップを増やすことで、売上の総量を伸ばそうという方向にいくのが普通だと思います。ただ、我々はそういう考え方は持っていないので。
水中動画・水中撮影の可能性を広げる
色温度6500ケルビンの新しい光
――新しく加わった、クリスタルカラーの特徴を教えてください。
久野さん
今回、我々が6500ケルビンという高演色のクリスタルカラーを出せたのは、LED自体の進化によるところが大きいです。我々が「SYSTEM01」でプレミアムカラーを出した2013年当時、5000ケルビンや6500ケルビンの色温度では、まだ色の再現性が高いものが出せず、演色性が確保できていませんでした。
なぜ、ラインナップにスーパーナチュラルカラー、プレミアムカラー、クリスタルカラーがあるのかというと、それぞれの発売時点での最先端の色をいち早く使ってきたからなんです。
――LEDの進化に伴って、その都度最新技術を取り入れているんですね。
久野さん
これまでは市場で作られた一番いいものを採用してライトを作ってきましたが、今回は完全にオリジナル。このライトのために作られたLEDです。

SYSTEM02 TricolorオリジナルのLED
――改めて、それぞれの色の違いを教えていただけますか?
久野さん
4200ケルビンは、海の色が入らないマクロで色鮮やかでビビットな色を出せる温度帯です。5000ケルビンは、太陽が昼の12時の高さにあるような、中立の色味ですね。肉眼で見ても、青くもないし、赤くもない、オールマイティで使える自然な色です。そして、7500ケルビンは、肉眼で見ても青白い光ですが、LEDの進化で赤もオレンジも色味の出る、演色性の高いものが出てきた、ということですね。
――さて、青白い光には、どんなメリットがあるのでしょうか?
久野さん
水中は青色の世界です。高い色温度、つまり青白い光を当てても、海の色が引き立てられなくなってしまう。陸上の場合、被写体のホワイトバランスを調整すれば解決するのですが、海の中では、光が当たっている手前の被写体だけでなく背景の海の色も変わってしまう。
そこでブルーフィルターをかけますが、RGBlueのライトの場合、光自体が高演色をなので、「そもそもブルーフィルターをかけた状態の青白い色で照らす」という考え方です。
また、ブルーフィルターをかけると光量が半分以下になってしまうのですが、RGBlueのライトの場合、そもそも光自体が高演色で出せるので、フィルターをかける必要がありません。他社に比べ倍以上の光量が出せていることにもなりますね。
――光量を落とさずに青白い光を実現させたのですね。新たな光が、どんな変化をもたらすのか、楽しみにしています。
「S5(エスファイブ)」について
上質なスポットライトを
全てのダイバーに
――「S5(エスファイブ)」開発のきっかけを教えてください。
久野さん
デジタルカメラが一般的でなくなってきた今、RGBlueとしてダイバーにとって必要な水中ライトは何か。それを考えてたどり着いたのが、この「S5」というスポットライトでした。

水中スポットライト「S5」
久野さん
撮影用のワイドなライトでは、1メートルくらいしか光が届きません。見るもの、撮るものが決まっている時には力を発揮しますが、何かを探したり、バディ同士でコミュニケーションを取る時など、基本的なダイビングに必要なのは、スポットライトだろうと。そして、水中のスポットライトを改めて見てみると、まだ未開拓の状態に思えました。
高演色のライトを作る際には、比較的面積の大きいLEDを使うのですが、スポットライトの場合は、基本的に素子をできるだけ小さくしなくてはいけません。狭い角度にならないんですね。
――LEDからして違うのですね。
久野さん
全然違います。そもそも、スポットライトに適した素子の色味のいいLEDがなかったんです。そこで今回は、日本で初めて白色LEDを作ったメーカー※が、このライトのために特別にLEDを作ってくださったんです。
※日亜化学工業
世界で初めて高輝度青色LEDを量産化したメーカー。高輝度青色LEDの量産化より白色LEDの実現が可能となった。
こういった技術的な背景もあって、やっとRGBlueクオリティのスポットライトを作ることができました。照射角は中心5度、周辺15度。狭角スポット光は、色温度5500ケルビン、演色性Ra90以上の色再現性を実現しました。
久野さん
アクセサリーもあります。「フリップタイプ ビームアタッチメント」を使えば、照射角15度のフラッド光をカットして、5度の直線状ビーム光に。「フリップタイプ 拡散フィルター」を使えば、45度のフラット光に変換することも可能です。「レッドフィルター」もあります。

フリップタイプ ビームアタッチメント

フリップタイプ 拡散フィルター
久野さん
実は、ワイドのライトは、省エネ化が非常に難しいんです。一方、スポットライトは、照射角を狭くすれば狭くするほど省エネできるんです。結果的にバッテリー容量はRGBlue SYSTEM02の1/4となり、重量も非常に軽いです。値段も3万円台を実現しています。
久野さん
今のところ、良い反応をいただいています。一般ダイバーの方はもちろん、ガイドの方にもおすすめですね。ゲストの方に綺麗に水中を見せてあげようと思ったら、非常に最適だと思います。
一方、うれしい誤算もありまして。「S5(エスファイブ)」については、撮影に使われることはあまり想定してこなかったのですが、水中写真家の中村卓哉さんが「S5(エスファイブ)」でスヌート撮影をされたところ、これまでよりもはるかに明るいので、離れた場所の被写体に対して有効であることがわかりました。
――これから撮影に使われる方も増えてきそうですね。最後に「S5」への期待感を教えてください。
久野さん
すべてのダイバーにとって必要であるスポットライトで色再現性の高いものができるようになりました。この水準の水中スポットライトは、世界初だと思います。
ぜひ、体感していただきたいですね。
水中ライトブランドとして変わらないこと
――進化について聞いてきましたが、変わらない点はありますか?
久野さん
RGBlueはいかなる故障に対しても修理ができる設計構造になっています。水中ライトで初のオーバーホール等、長く使っていただけるサポート体制は変わっていませんし、これからも続けていきます。
ちなみに、ほとんどボディも変わっていません。切削アルミボディで、チタン製ボタンを採用しています。これからも、高品質・高精度なライトを提供していきたいですね。
――ありがとうございました。
おわりに
LEDの進化とともに歩み、その恩恵を水中にもたらしてくれるRGBlue。
「SYSTEM02 Tricolor」「S5」では、ついにRGBlue理想の光源(LED)も手に入れました。
この最先端の光を、どうダイバーたちが活かしていくのか楽しみですね。
お問い合わせ先
RGBlue
Sponsored by RGBlue(株式会社エーオーアイ・ジャパン)
光の三原色「RGB」と海の「Blue」から名付けた水中ライト「RGBlue / アールジーブルー」。1999年の企業設立以来その多くを水中撮影機材OEM開発に力を注ぎ、2013年にダイバーのための理想的な水中ライトを追求するブランドとして「RGBlue」が誕生。まだ見ぬ未知の景観や生物にもっとも太陽光に近い光を当て、色彩が失われる水中の色を届ける。
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