福田朋夏のフリーダイビングライフ(第2回)

[連載]フリーダイバー福田朋夏・ワイルド・ドミニカトレーニングの日々

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最近の沖縄は、優しく温かい南よりの風が吹きはじめ、気持ちのいい日々が春を感じさせてくれます。海も鏡のように凪いでいる日が続き、海に潜る回数も増えてきました。毎年このくらいの季節になると、これからどこの国の海で潜ろうかな…と妄想を膨らませるのですが、最近は気軽に海外へ行けなくなってしまいましたね。今回はそんな皆さんにも海外の海で潜った気分になってもらおうと、私がフリーダイビングをとおして行ったおもしろい国、ドミニカのお話をしていきたいと思います。

福田朋夏

ドミニカ国の海と山

「ドミニカ」と聞くと大抵の人はドミニカ共和国を思い浮かべると思いますが、実は「ドミニカ」と言う名前がつく国は2つあるんです。

「ドミニカ共和国」と「ドミニカ国」。

ドミニカ共和国もドミニカ国もどちらもカリブ海に位置しているので何ともややこしいのですが、私がこれから話すのは「ドミニカ国」のお話です。

ドミニカ国は、奄美大島と同じくらいの小さな面積の豊かな自然があふれる島国。火山地帯なので至る所から温泉が湧き出ています。私がトレーニングしていた海のすぐ近くにはバブルビーチという所があって、ビーチの海底から湧き出ている熱水と泡が常に海水と交わって、いつも気持ちの良い水温に保たれています。夕方になると地元の人がビールを片手に海に浸かりながらサンセットを楽しんでいました。

バブルビーチのサンセット

バブルビーチのサンセット

山の方には二つに分かれた大きくて迫力満点の滝があり、この滝の一つは川の水、もう一つは温泉が流れていて下流の方で二つの滝が混ざり合い天然のスパになっています。トレーニングがお休みの日には、その天然スパに浸かって疲れた体を癒していました。いま考えたら、なんて贅沢な経験なんでしょうか…。

常に生き物の気配がするワイルドな滞在先

さまざまな国の安宿に滞在してきたので、お湯が出ないとか、ゴキブリが出るとか、そんなことは慣れていたのですが、ドミニカでは着いた初日に滞在先の家に入ると、コウモリが家の中でパタパタと飛んでいたのには驚きました。

手のひらサイズの小さな可愛いコウモリだったので、ずっと家にいてもらっても良かったんですが、パタパタ飛ばれると気が散って仕方がありません。そこで、ドミニカで一緒に家をシェアしていた、同じくフリーダイバーの木下紗佑里ちゃんとコウモリを追いかけまわして、止まった隙にキッチンにあったカップをカパっと被せて何とか外に放しました。

コウモリを近くで見たのはこれが初めてだったのですが、顔がとっても可愛いんですよね。「可愛い〜!」とコウモリを見ていると、「コウモリは可愛いけど虫とか菌を持ってるから絶対触らない方が良いよ!」と紗佑里ちゃんが教えてくれました。紗佑里ちゃんとのドミニカでの良い思い出です。

家にいた可愛いコウモリ

家にいた可愛いコウモリ

そして、翌朝ベッドで目が覚めると、布団からミミズのような長細いものが見えました。「何かな?」と思い布団をめくってみると…。なんとネズミが布団の中で潰れて死んでいました。

潰したのは絶対に私…。きっとこのベットはこの子がいつも休んでいた場所なのに、突然私が寝て潰してしまったんだなと思うと申し訳なくなりました。ネズミさん、ごめんなさい…。

この家では常にカサカサゴソゴソと生き物の音がしていました。日本だったら耐えられないかもしれないけど、ドミニカにいるとそれが普通に思えてくるのが不思議です(笑)。ドミニカはとても自然が豊かで動物や虫たちの主張がとても強く、人間も一緒に共存しながら住まわせてもらってるという感じがしましたね。

ドミニカの虫や動物と共存してたお家 ちなみにこの家のシャワーもお湯は出ません

ドミニカの虫や動物と共存してたお家
ちなみにこの家のシャワーもお湯は出ません

ドミニカでの食事
とれたて新鮮魚を泳いで買いに

私たちが滞在していたあたりには食料品店がなかったので、週1〜2回は山を越えて30分くらいの町に行く必要がありました。市場には色とりどりの野菜や果物が並べられています。

ここで野菜や卵を買って帰ります

ここで野菜や卵を買って帰ります

市場や食料品店にはなぜか魚があまり売っていませんでした。海に囲まれた島国なので海産物はたくさんとれるはずなのに、どうしてかなと思っていたら、答えは家の近くの港にありました。

この国の人たちは、漁師が捕ってきた新鮮な魚を直接港に買いに行くんです。大体お昼前になると、「プオ〜っ」と外から音が聞こえてきます。この音は漁師が貝の笛を吹いている音で、「魚が取れたぞー!」と言う合図。急いで港まで行くと、笛の音を聞きつけた地元の人たちがたくさん並んでいました。どのくらいの量が欲しいか伝えると、大きな斧でマグロを手際よく捌いて渡してくれます。

ドミニカ国の新鮮な魚

大体いつもトレーニングが終わる時間に魚が水揚げされるので、トレーニングのポイントから港まで泳いで通っていました(笑)。

私と同じくらいの大きさのマグロ

私と同じくらいの大きさのマグロ

海外に行くと食事が合わない確率が高いのですが、ドミニカでは新鮮な魚のおかげで毎日美味しいご飯を堪能できました。

ドミニカの海

ドミニカは火山地帯なので、海底からは熱水が湧き出ていて海はいつも温かく、深く潜っても水温はほぼ一定です。私は1.5mmの薄いウエットスーツを着ていたのですが、それでも暑いくらいでした。

トレーニングをしていた海は湾になっているので流れや波もなく、フリーダイビングのポイントは家から歩いて5分くらいの港から泳いで行けるくらい近い場所。世界中探しても、こんなにフリーダイビングに適した海はなかなかないでしょう。

ドミニカ国でのフリーダイビングトレーニング

また、ドミニカには山がたくさんあるので山の栄養が海に流れて、海洋生物がとても元気に泳ぎ回っています。

ドミニカ国の豊かな山

トレーニングの終わりに毎日たくさんの魚と一緒に泳ぐのはとても癒されます。

福田朋夏フリーダイビング

そして、ドミニカの海はマッコウクジラと泳げることで有名です。前回ドミニカに行った時は、トレーニングや大会に集中していたのでマッコウには会いに行けませんでしたが、次回行った時には必ずマッコウと泳いでみたいな。

ドミニカは、人間って自然と一緒にワイルドに生きていくのが幸せだよねって思わせてくれた国。いまは海外渡航が難しい時代ですが、皆さんにも是非訪れてほしい国の一つです。

ドミニカの海は本当に素晴らしいですが、私にとって体に馴染む海はやっぱり沖縄の海です。だんだんと暖かくなってきたので先日沖縄のアポガマというポイントで潜った映像をアップしましたので、よければ是非ご覧ください。

それではまた来月お会いしましょう!

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PROFILE
2011年から本格的にトレーニングを始め、日本代表の『人魚JAPAN』の一員として金メダルを2回獲得。個人としても世界各国の大会で好成績を収め、メダルを獲得。
コンスタントウェイトウィズフィンと言うモノフィンを履いて自分の泳力のみで潜る競技ではケイマン諸島で-100mの記録を出す。
現在は沖縄を拠点にフリーダイビングをしている。
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