年に1回しか使っていない器材はむしろ危険?オーバーホールの思い込み

オーバーホールの依頼を受ける際、「器材をあまり使っていない、だから状態はいい方だと思う」とおっしゃられることが度々あります。

以下の二つのうち、どちらが器材の状態がいいと思われますか?

  • 1年間のうちに1回しか使わなかった器材
  • 月に一度のペースで1年間で12回使った器材

“器材を使えば汚れる、パーツも消耗する、だから1回しか使わなかった器材の方がいい状態だろう”
そういったイメージが一般的かと思います。

実はそれは誤った認識です。

「月に一度のペースで12回使った器材」の方が、いい状態であることが多いです。

そう申し上げると、「ええ~っ?!」とみなさん驚かれるのですが、その理由は次の通りです。

1度しか使わなかった器材は、使った時に塩がついたまま乾燥して可動部品は動くことなく、塩が固着した状態で保管されていることになります。

オーバーホール器材

一方、月に一度のペースでコンスタントに使われている器材の方は、使う度に水に触れ、可動部品も動いている状態。

かえって使用頻度の高い器材の方が、コンディションを維持しやすいと言えます。

「1回しか使用していないから大丈夫だろう」と長らく使用せずに放置してあった器材を久しぶりに使用しようとしたものの、いざ現地でフリーフローをして使えなかった…、結局レンタル器材で潜りました…、とマイギアをオーバーホールに出してこられるケースが例年、春から夏に向けてのこの時期に非常に多いです。

現地で残念な思いをすることなくマイギアで充実したダイビングができますように、ぜひしっかり器材のコンディションを整えて海に出てくださいね。

オーバーホールについてのより詳しい特集はこちら。

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PROFILE
大学在学中、グアムで体験ダイビングをしたのを機にライセンスを取り、卒業と同時にダイビングの会社に就職。
その後、数店舗の都市型ダイビングショップで、スクールや器材販売、ツアーの企画・引率をし、2000年にインストラクターに。

数メーカーのメンテナンス講習を受けた後、ダイビング器材オーバーホール専門店「アイバディ」に10年間勤務。
現在はフリーインストラクターとして活動する傍ら、ダイビング器材・オーバーホールについて執筆活動中。

「器材の中身は見えない。だから伝えねばならない」がモットー。

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