写真家・むらいさち氏 活動20周年記念「Fanta Sea」写真集発売 &写真展開催中!

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(写真/むらいさち)

「ゆるふわ」な作品で、見る人を癒やす水中写真家のむらいさち氏が、水中写真家としての活動20周年を記念して写真集「Fanta Sea」を発表。そして、写真展が5月17日(金)~23日(土)に富士フイルムフォトサロン東京で開催されている。むらいさち氏にこの記念すべき写真集、そしてその後も7月に札幌、8月には大阪でも開催が決まっている写真展の見どころなどを伺ってみた。

活動20周年記念の写真集は「ゆるふわ」写真が満載

オーシャナ編集部(以下、――)

この度は水中写真家生活20周年を迎えられるということで、おめでとうございます。そして、写真集を発売、写真展を開催されるということで、まずは写真集のコンセプトを伺わせていただければと思います。

むらいさち氏(以下、むらい氏)

コンセプトはもちろん「ゆるふわ」です。元々水中写真展は3年ぐらい前からやりたいなと思っていたんですが、他の写真展の依頼があったりして、タイミングを逃がしてしまっていました。いつでもできるぐらい作品は撮りためてあったんですが、写真展をやるなら写真集も出したいと思っていまして。写真展が決まってから、写真集を作り始めました。

ちょうど今年は水中写真家生活20周年の節目でもあるので、自分の作風である「ゆるふわ」をちゃんと世の中に示したいという気持ちがありました。また、海外ではまだ知られていないので海外に出しても恥ずかしくない写真集を作りたいなと思ったんです。

(写真/むらいさち)

――今回の写真集は200ページ、判型もB4変型判とかなり大きく、見ごたえがありそうですよね。200ページ分の写真を選ぶというのは、とても大変な作業だったのではないでしょうか?

むらい氏

そうですね。ほぼ、写真のセレクトは自分で行い、あとはデザイナーさんと話しながら、削ったり、新しいものを入れたりしながら決めていきました。今回お願いしたデザイナーの宮坂さんには僕の写真集の多くをデザインしていただいていて、作品の世界観を理解してくれている方なので、安心して任せられました。

――「ゆるふわ」が満載の写真集ということですが、全体はどのような構成になっているんですか?

むらい氏

いろいろ考えましたが、ひたすら水中写真を見ていただければということで、特に章立てしたりはしていないんです。ただ、途中にショートエッセイを入れています。僕が撮影中に水中で思っていることとか、海に対する思いとか、そんな感じの内容です。

――写真集って、見ているうちに物足りなさというか「もっと見たい」という気分になることがあるんですが、今回のむらいさんの写真集は存分に作品を堪能できそうですね。

「ゆるふわ」の進化系を写真集から感じてほしい

――そもそもむらいさんが「ゆるふわ」な水中写真を撮るようになったきっかけは、何かあるんですか?

むらい氏

もともと僕は、雑誌『マリンダイビング』を発行している会社で社員カメラマンとして水中写真を仕事にするようになりました。その後フリーランスになったときに、駆け出しの僕が水中写真で勝負をするならば、何か個性が必要だなと思ったんです。陸上ではふんわりとした雰囲気の写真を結構撮っていたんですが、これが水中写真でもできるのではないか思って、「ゆるふわ」な水中写真を撮るようになりました。

ちょうど当時はフィルムからデジタルの時代に変わり、いろんなチャレンジがしやすくなったという背景もあります。フィルムだと、1ダイブでどんなに頑張っても36カットしか撮れませんから。でも、「ゆるふわ」が認められるようになるまでは、結構辛辣な意見を言われたり、最初は肯定してくれる人は少なかったですね。

でも、人の意見に合わせて写真を撮っても、このまま終わってしまうなと思って。だったら、自分の写真を好きだと言ってくれる人たちと仕事をしていこうと思いましたし、その自分の写真を好きだと言ってくれる人は絶対世の中にいるはずだと信じていました。

(写真/むらいさち)

――「ゆるふわ」がむらいさんの作品の代名詞となり、多くのファンをつかむまでには、いろんな苦労もあったんですね…。そんな中、自分の考えを貫いて、「ゆるふわ水中写真」という一ジャンルを築かれた、まさにその集大成がこの写真集なんですね。

むらい氏

この写真集には、8年前に発表した写真集「Fanta Sea」以降に撮影した、最新の作品が満載なので、進化した「ゆるふわ」を楽しんでいただければと思います。

これまでたくさんの方々の力を借りて、写真家としての活動を続けて来られました。僕は不器用な人間なので、サポートへの感謝をそれぞれにご挨拶したりメールで御礼したりはできないんですが、写真でその気持ちをお返しできればと思っています。自分にできることは、一生懸命に写真を撮り、真剣に写真集を作ること。そして、写真集を手にとってくださった方が、笑顔になっていただけたらと思っています。

写真集とは違う楽しみ方ができる写真展

――今回、写真集の発売と同時に、写真展も開催されます。こちらの見どころについても聞かせていただけますか?

むらい氏

写真展では、ただ作品を並べるだけでなく、会場に来てくださる皆さんが作品の世界観を体感できるようにしたいと思っています。あと、同じ作品でも大きなプリントで見ると、また写真集とは違う雰囲気が出るので、ぜひその違いも楽しんでいただければと思います。願わくば、写真展で表面的に見えるすごい世界を楽しんでいただき、写真集でじっくりと作品を深掘りしてもらうような楽しみ方をしてもらえたと思います。自分で開催する水中写真の写真展は結構久しぶりなので、ぜひ多くの方に来場していただけたらと思っています。

――会期中は会場でむらいさんに会えますか?

むらい氏

東京と大阪では、会期中はずっと会場にいる予定です。北海道も土日はトークショーを行いますので、その前後の平日は在廊しようと思っています。実は結構人見知りなので(笑)、見かけたら声をかけてくださいね。

水中写真家活動20周年を迎えるむらいさち氏のインタビュー、いかがだっただろうか?
写真集は会場で先行販売されるほか、版元のマリンクリエイティブのマリンダイビングショップでも入手できるので、興味のある方はぜひ手に取っていただきたいと思う。

むらいさち写真展「FantaSea~ゆるふわなうみのせかいへ

東京 
■開催期間:2024年5月17日(金)~23日(木)
■開催時間:10:00~19:00 (入館は18:50まで)
※最終日は16:00まで
■入場料:無料
■会場:富士フイルムフォトサロン東京
東京都港区赤坂9丁目7番地3号 東京ミッドタウン・ウェスト1F

■ギャラリートーク
2024年5月18日(土)・19日(日) 各日15:00から・約40分間
参加無料・予約不要

★写真展は東京に次いで、札幌、大阪でも開催予定
札幌 2024年7月12日(金)~17日(水)
大阪 2024年8月30日(金)~9月5日(木)
会場:富士フイルムフォトサロン 札幌 / 大阪

むらいさち写真集 『Fanta Sea』

箱入りの豪華写真集。箱のデザインは、むらい氏が大好きなボーダー柄

写真集 表紙

発売:2024年5月中旬(写真展会場にて先行販売)
写真:むらいさち
デザイナー:宮坂淳
アドバイザー:山下佳美
印刷:開成堂印刷株式会社
発行:株式会社マリンクリエイティブ/マリンダイビング
定価:¥11,000(消費税10%含む)
※送料は別途

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むらいさち
むらいさち
沖縄県座間味村でのダイビングガイドを経て、写真の世界へ。雑誌や広告での撮影をメインに、エッセイの執筆、トークショー、メディアへの出演や、旅を楽しみながら撮り方を教えるワークショップ、町おこしを応援するフォトツアーの企画開催など、その活動は多岐に渡る。水中からオーロラまで地球全体をフィールドに、一年の多くを取材先で過ごし、「しあわせな瞬間」を追い求め撮影を続けている。描くように撮る独自の手法で、他にはない、やわらかく優しい色の世界を表現した作品は、癒やしを求める女性から、人気を博す。
著書:写真集「Life is Beautiful」(LiBbooks)、「ALOHEART」「LinoLi」(LifeDesignBooks)、「きせきのしま」(小学館)、FantaSea(BUNKADO)、「しあわせのとき」(LibroArte)写真絵本「よるのこどものあかるいゆめ」詩:谷川俊太郎(マイクロマガジン)
むらいさちオンラインサロンでは撮影の裏話なども発信中!

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PROFILE
大学時代に慶良間諸島でキャンプを行い、沖縄の海に魅せられる。卒業後、(株)水中造形センター入社。『マリンダイビング』、『海と島の旅』、『マリンフォト』編集部所属。モルディブ、タヒチ、セイシェル、ニューカレドニア、メキシコ、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、オーストラリアなどの海と島を取材。独立後はフリーランスの編集者・ライターとして、幅広いジャンルで活動を続けている。
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