パラサイト・ラヴァーズ連載エッセイ~寄生虫を追い求めるマニアック道~

みなさんこんにちは!
今回はネイチャー石垣島ダイビングサービスの多羅尾が担当させていただきます。

私、石垣島でガイドをしておりまして、、ガイドらしく現場でしか観察できないことを報告したく、、既にお題に取り上げられたこともあるスイクチムシをちょっと掘り下げて観察したことを報告してみたいと思います。

以前の議題で既に前述されているように、寄生体の定義は「ホストから直接栄養をもらって(盗んで)いる生物」ということですが、その中でもスイクチムシはホストの表皮に出る「体液のようなもの」を自身の栄養源にしている生物で、ホストの体に何かを突き刺したり噛み付いたりしない、寄生体にしてはかなり「やさしい」手法で寄生しています。

ミッキーマウスの耳みたいな卵塊を持つキプロクス類(通称・コペ)と同じ栄養摂取方法ですね。

こちらは第6回で佐藤光則さんが紹介されていたライオンの吸口虫。

ライオンの顔のスイクチムシ(吸口虫)(ネイチャー石垣島ダイビングサービス)

ゲストさんに撮ってもらってのですが、「ライオンの顔だ」、、と指摘されるまではタダのスイクチムシだったものが、今ではライオンにしか見えなくなってしまいました(笑)

その他にもこんな色をした個体が居たり、

スイクチムシ(吸口虫)(ネイチャー石垣島ダイビングサービス)

こんな色の個体も居ます。

スイクチムシ(吸口虫)(ネイチャー石垣島ダイビングサービス)

3個体写ってます

一様に言えることは、どの種類も個体も、見事にホストの一部かのごとく上手に擬態しているのです。
目を持たない生物なのに、、不思議ですね。

そしてスイクチムシは、ウミシダにかぎらず、ホヤやカイメンの表面等にもいるという、なかなかのたくましさを併せ持ってもいます。

実際に自然の下で観察したダイバーはご存知かと思いますが、動くスピードはかなり早く、1秒間に数センチの早さで、しかも氷の上を滑るような滑らかさで動くのです。
体をくねらしたり、波打たせたりすることもなく、ス~っと、実に滑らなな動きです。

スイクチムシ(吸口虫)はどうやって動いているのか?

さて、ここで本題。。。
ここで観察者は素朴な疑問を持つのです。

「いったいどうやって動いているんだろう???」

毎日のようにスイクチムシをゲストさんに紹介している者としては毎日この疑問と戦わなければいけないわけで、、生物には触らないほうが良いという心との葛藤をする日々が続いていたのです(笑)

そしてある日。。。
ガマンできずに、「ちょっくらごめんよ、、」と、機嫌よく動き回っているスイクチムシをピンセットを使ってホストから離しガラスの器に入れてみました。

どうなるのか???
死んだふりするか? まさかヒラムシみたいに泳ぎだしたりするのか??

すると、、、

ガラス上でもホスト上と同じように、かなりのスピードで動いています。

お~~~~!
ホストの上でなくても動けるんだ!

そして器を上にあげ、ガラス越しに裏側を覗いてみます。

すると、何やら細い毛のようなものが生えてて、それが“わしゃわしゃ”動いているではありませんか!(^^)!

なるほどっ! この毛のようなものをうまく動かしてあの滑らかな動きをしているんですね。
アニメに出てくるネコバスみたいなものか?

これが禁断(笑)の吸口虫の裏側を撮影したものです。

スイクチムシ(吸口虫)の裏側(ネイチャー石垣島ダイビングサービス)

細い脚みたいなものがありますね。
これをムカデの脚のように動かして動いていたのです。

その後ご協力頂いたスイクチムシ君には安全にホストへ戻っていただきました。

以上、生態を観察できるガイドならではの(^^ゞ報告でした。

読んで頂いてありがとうございます!!

投稿者紹介

ネイチャー石垣島ダイビングサービス多羅尾拓也

多羅尾拓也
石垣島のダイビングサービス・ネイチャー石垣島ダイビングサービスのオーナーガイド。
普通種からレア物までゲストさんに喜んで頂けるよう、日々精進しています。

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