大島海峡で新種発見、日本妖怪の名前が学名となり話題に
沖縄県中頭郡に本部を置く琉球大学は11月24日、同大大学院研究チームが鹿児島県大島郡瀬戸内町の奄美大島と加計呂麻島の間にある大島海峡で新種を発見したと発表した。発見されたのはフタゴウミサボテンモドキ類の新種で、学名は「カリベレムノン ヒノエンマ」。その見た目から、とある妖怪にちなんで名づけられたことでも話題となっている。いったいどんな姿なのだろうか。
吸血鬼を連想させる赤い口が特徴
写真が学名の「カリベレムノン ヒノエンマ」(和名・ユウレイフタゴウミサボテンモドキ)。吸血鬼を連想させる赤い口が特徴で、男性を惑わす美しい妖怪「飛縁魔」にちなんで命名された。国際的に使用される学名に日本の妖怪の名前が入るのは感慨深い。研究チームは「地元の人が興味を持つきっかけになれば。焦点の当たりにくい分類群の調査を継続し、生物多様性の全容の解明にさらに近づきたい」と期待している。
ソフトコーラルや宝石サンゴと近縁
今回発見された新種はウミエラ目の海洋底生動物で、ソフトコーラルや宝石サンゴを含むヤギ類、アオサンゴの仲間などが近縁とされる。ウミエラの仲間は世界中の浅海から深海の砂泥に生息し、立体構造物の少ない砂泥環境で生き物たちの住処や隠れ家として重要な役割を果たしているというが、研究チームは今回の新種は生息深水を変えながら深海性ウミエラ類から進化したとみている。
砂泥は新種発見の宝庫⁉
「カリベレムノン ヒノエンマ」は水深30~38mの砂泥で発見された。発見者の一人である同大大学院理工学研究科海洋環境学の大学院生櫛田優花さんは
「サンゴ礁に比べて砂泥環境は調査が進んでおらず、新種発見が注目のきっかけになればうれしい。生物多様性を支える身近な環境を地元の人に誇りに思ってほしい」
と話している。
「カリベレムノン ヒノエンマ」は国際的な学術誌「マリンバイオダイバーシティ」の電子版に11月18日付で新種として記載された。未知なる砂泥環境で次の新種発見も近いかもしれない。