むらいさち&おっちゃん、ぶらり奄美大島“新発見”の旅2017(第7回)

「奄美大島は僕の大好きな島」うみかめらまん・むらいさち目線でダイビングポイントをご紹介!

この記事は約6分で読めます。

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奄美大島は元々大好きな島で、毎年2回ほど潜りにきていました。
特に南部の、のんびりとした雰囲気は何回来ても飽きません。

そんな僕に、ある日オーシャナから「新たな奄美の魅力を取材してほしい」とのオファーが。
今回のロケで拠点となったのは「ゼログラヴィティ」。
南部の瀬戸内町に新しくオープンした、車いすの方も一緒になってマリンアクティビティが楽しめる、完全バリアフリーの施設です。
正直、南部のメジャーなエリアはだいぶ潜っているので、「本当に新たな一面を見せてもらえるのか? 見つけられるのか?」という若干の不安もあった奄美入りでした。

ロケを無事に終えた今、先に結論から言ってしまうと……

今まで以上に奄美大島が大好きになりました!

新しいショップだからこその新しい目で見る海。
まだまだ自分が知らない魅力で溢れていた島だったのです。
ポイント別に、改めてむらいさち目線でご紹介していきましょう。

ゼログラヴィティのガイド
「おっちゃん」の存在

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ポイントの紹介の前に、今回の奄美新発見の旅で欠かせないのが、ガイドを務めてくれた「おっちゃん」こと、山下豊さん。
おっちゃんというあだ名は、20代のころにつけられたそう(笑)

とにかくフットワークが軽く、ものすごく体力があるおっちゃん。
大きな奄美大島は車で南北を移動すると2時間以上かかってしまうのですが、それが全然苦にならないとのこと。
なぜなのか聞いてみると、都市型ショップ出身だからそれくらいの運転は日常茶飯事ということでした。

また、お客さんを楽しませたいという思いが強く、あまりダイバーが潜らないポイントも積極的に潜り、どんどん開拓しているのです。
これらによってポイントの選択肢は増え、ダイビングの楽しみはぐっと広がります。

きっと彼の辞書には「面倒臭い」という言葉がきっとないんだろうなと(笑)。
僕らの無茶なお願いにも快く対応してくれました。

ポテンシャルが高すぎる
「あやまる岬」

まずはビーチで気軽に潜れるポイントということで、おっちゃんが海の地形を見て調査ダイブした「あやまる岬」へエントリー。
ここはビーチとは思えないほどのビックポイントでした。

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1ダイブでカメは20匹以上、イソマグロやロウニンアジなどの大物も登場。

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リーフにはきれいなテーブルサンゴの群生が広がっていました。
このロケの最初が「あやまる岬」だったのですが、ここを潜っただけで奄美大島のポテンシャルの高さを感じることができました。

言葉にできないほどの感動
調査ダイブ

奄美新発見の旅ということで、おっちゃんもまだ潜ったことのない場所を潜ることに。
ドローンを投入し、南部の有名なボートポイント「嘉鉄」の近くを調査ダイブ。
すると、サンゴの群生がすごそうな場所を発見したので、目指して行ってみることになりました。

奄美大島 撮影者:むらいさち

ここら辺だろうと目星をつけてエントリー。
15分近く水面移動をしたのですが、たどり着いた先で出会った光景に、言葉を失いました。

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目の前に広がるサンゴ。
サンゴが大好きな僕としては、この色鮮やかな光景に興奮を隠しきれませんでした。

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毎年奄美大島は潜りに来ていますが、何年か前に大きな台風でほとんどのサンゴがやられてしまったのです。
なかなか復活してこないとに、やきもきしていた気持ちがずっとありました。
目の前に広がるサンゴを見てあまりの感動と嬉しさで、片道15分の水面移動にも関わらず、最終日の午前中にもスノーケリングでまた見に行ってしまいました。
サンゴは元気をくれますよね。

今回の中で一番のお気に入り
「キイロサンゴハゼパラダイス(KSP)」

サンゴで気持ちが盛り上がってきたとこで、「キイロサンゴハゼがたくさんいるポイントがあるんですよー」とおっちゃんからの誘惑が。
もちろん行かないわけがありません。
ワクワクしながら南部の湾内のポイントにエントリー。
透明度はあまりよくありませんが、繊細で広大な枝サンゴの群生がお出迎えしてくれました。

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僕のなかでは、このサンゴの群生にキイロサンゴハゼが多く生息しているイメージだったのですが、写真を撮り終えると通り過ぎ、砂地の方へ。
先ほどの群生とは違い、砂地から枝サンゴがポツンポツンと生えている場所です。
不思議に思いながらも、ある場所からおっちゃんが呼ぶのでそちらに向かうと……
なんと、その砂地から生えているひとかたまりの枝サンゴに、キイロサンゴハゼがたくさん住んでいたのです。

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うーん、これだと逃げられないのに、なんとも不思議。
しかしそれ以上に、「か、かわええ~〜〜」。
大家族を見ているようで、1日中見ていても飽きないかも。
これでも数が減ってしまったと、おっちゃんは寂しそうに言っていました。
その後ポイント名が決まり、「KSP(キイロサンゴハゼパラダイス)」となったそう。
またぜひ行きたいポイントです。

ナイトも楽しめる
ゼロ目の前のビーチ

ゼログラヴィティはお店の目の前にはビーチがあります。
施設から海まで約10mほど。
もちろん、ビーチエントリーでのダイビングも可能です。
そんな目の前のビーチで、「さちさん、今日ハッチアウトするクマノミがいるんで、見に行きますか?」と、おっちゃん。
正直、ナイトはあまり好きではないのだけれど(笑)、そんなキラキラした目で見つめられたら断れるわけもなく……。
日没時間にエントリーし、しばらく岩のようにじっとしてひたすら産卵を待つ僕たち。
ついに30分を過ぎたあたりからハッチアウトが始まりました!

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なかなかハッチアウトしない子に対しては、口からの水流やヒレで促す親クマノミの献身的な姿に、心を打たれました。

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ナイトダイビングってやっぱり楽しい!
そんなことを思い出させてくれた一本でした。

アマミホシゾラフグの献身的な姿に感動
「嘉鉄」

そして最後は「アマミホシゾラフグ」。
ミステリーサークルを作るフグとして一躍有名になったフグちゃんです。
しかも、ここ奄美で見つかった新種。
ですが、ここまで聞いても正直僕の中ではなかなかピンとこなくて……。
とりあえず潜りました(笑)。

すると、献身的でとってもかわいい子だったのです。

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カメラマンをいう仕事をしていると、時に「これは写真じゃ伝えきれないな」と思うことがあります。
アマミホシゾラフグは久々にそれを感じました。

メスのために、自分の子孫を残すために、ここまで一生懸命生きれることは、本当にまっすぐですごいことだと。
オスの献身的な姿にまたまた心打たれました。
海から学ぶことはいつもたくさんあるなと実感。

今なら自信を持って言えます。
「この子を見るだけでも、奄美大島に行く価値がある」。
体の白い斑点が奄美の星空のように綺麗だからと名前が付いたアマミホシゾラフグ。
ぜひ会いに行ってくださいね。

最後に

奄美大島は海の中はもちろん、陸上も魅力に溢れています。
初めて行く方は、陸で遊ぶ日が1日あってもいいくらい。
おいしいジェラートと鶏飯はぜひともご賞味ください。
あ、栄養価が高い発酵飲料の「ミキ」もぜひチャレンジしてね。

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仕事とは思えないほど楽しいロケでした。
とにかく潜りまくりで、多いときはビーチで5本!
こんなにビーチだけを潜ったことは今までなかったかも(笑)
でもどのダイビングも楽しく、あっという間の時間でした。

最終日の打ち上げは時間が遅くなり、奄美大島まで来たのにファミリーレストランというオチ(笑)。

プライベートでもまた潜りに来たいなと思います。
むらいさちも再びはまった奄美大島、みなさんもぜひ行ってみてくださいね。

(テキスト・写真/むらいさち)

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PROFILE
沖縄座間味島でのダイビングガイドを経て、写真の世界へ。
広告カメラマンの助手を経てダイビング雑誌の出版社に入社し、その後独立。
現在、水中はもちろん、ボーダレスに地球のあらゆるところで「しあわせなとき」をテーマに撮影を続ける。
その独特の淡い写真表現が特徴。 

著書に写真集「ALOHERART」「LinoLino」「きせきのしま」「FanataSea」「しあわせのとき」、最新写真集「Life is Beautiful」が発売中!
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