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まさかの昼出産。田後の海でヒメタツの出産シーンの撮影に成功!!!閲覧無制限

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おしらせ

田後(撮影:むらいさち)

鳥取県岩美町にある田後。
ダンゴウオが数多く見られるということで注目を集め、ご存知の方も多いはず。ちなみに田後は「たご」ではなく「たじり」と読む(笑)。

僕もダンゴウオの撮影に通い続けて7年、いつかは撮りたいと思い続けている被写体がある。それはヒメタツの出産シーンの撮影だ。
ガイドの山崎英治さんは、2011年よりヒメタツのデータを取り続けている。タツのために潜った本数は1000本を超えるとか・・・。

興味を持ったのは、ガイド中に偶然メスからオスに卵を受け渡すシーンを目にしたことだったそうだ。

田後(提供:山崎英二)

撮影:山崎英治

この2匹がハート姿になるシーンに心を打たれたのがきっかけとなった。

ご存知の通り、ヒメタツのオスはメスの卵を受け取り、それを育て出産するという魚類最強の育メンだ。今回はその出産シーンに立ち会うため、6月下旬の田後を訪れた。

田後(撮影:むらいさち)

田後の海はマクロのイメージが強いかもしれないが、実はワイドが楽しい海でもある。

ジオパークにも指定されている複雑な海岸線を使った地形ダイビング、沖の根ではハマチの大群にワンダイブ中ずっと巻かれるなんてこともある。
日本海側は夏に向けて透明度が上がっていくため、この時期、ますます楽しくなっていくのだ。

田後(撮影:むらいさち)

熱い田後ナイト
ヒメタツの出産シーンに立ち会えるか!?

そして、今回の主役ヒメタツである。

田後(撮影:むらいさち)

出産シーンは夜中に行われることが多い。なので我々も夜な夜な海へ向かった。
お腹に卵を抱えているオスは何個体かいて、その大きさや状況を山崎さんがチェックをして、経験から大体の出産の日時を予想する。
もちろん自然のものなので確実は無いため、あとは潜って待つしかない。

とはいえ、この時期、田後の海はナイトもアツい。
昼は見られなくなったサクラダンゴウオの成魚を見ることができる。

田後(撮影:むらいさち)

最近日本海側のダンゴウオは太平洋側のものとは違う種というのが判明し「サクラダンゴウオ」という名前が付いた

その他にも多くの生物に出会うことができる。贅沢な待ち時間だ。

田後(撮影:むらいさち)

幼魚に比べ大きく、表情もあり、キモかわいい(笑)

田後(撮影:むらいさち)

田後(撮影:むらいさち)

ナイトダイビングを楽しみながら、「きっと今日が出産日かと思います」というヒメタツの元へ。
少しのストレスでも出産を辞めてしまうというヒメタツ、ライトを消してひたすらその瞬間を待つ。途中陣痛のようなしぐさを見せるも2時間が経過し、「今日はしないかも・・・」という山崎さんのスレート。

暗闇でひたすら待つというは、なんとも辛い・・・。でも、あのシーンを見たい、写真に残したいという想いだけが気持ちを繋ぐ。
空が白み始めたころ、残念ながらエキジット。まあ、「初日からそんなうまくは行かないよね」と自分に言い聞かせる。
さすがに、ふらふらなので昼のダイビングを僕はパスをして今夜の出産に備えることにした。

そして、翌日のナイトダイビング。
昨日出産しなかった、ヒメタツに向かって一直線、今日こそはゲットすると意気込むが・・・。

田後(撮影:むらいさち)

「もう出産終わってます・・・・」

山崎さんの無常のスレート・・・。

確かに、はち切れそうだったオスのお腹がぺったんこ・・・(写真左)。
「きっと僕らが帰った後に出産したのでしょう」とのこと。

隣には、新たな卵をオスに受け渡そうと待つメスの姿が。
このサイクルでこの時期に多いときで3回ほど出産が行われるそうで、オスもメスも子孫を残すために命を燃やすのだ。

失意の中、エキジット。そして、酒に溺れたことは言うまでもない。

聞いてないよ〜〜〜
出産はいつも突然

しょげていてもしょうがない、翌日は昼の田後の海を撮影。別のヒメタツの様子もチェックする。

嬉しいことに生後1月ほどのヒメタツに出会え、かわいいその姿を撮影。

田後(撮影:むらいさち)

そのかわいさに、もはや親のような気持ちを抱き撮影していると、一緒に潜っていたゆかりさん(山崎さん嫁)がスレートをもって慌ててやってくる。撮影を中断された僕はちょっとイラっと(笑)しながら、彼女のスレートを見る。

「タツが〇▽◇◆♪⁉☆」と、走り書き過ぎて読めない字。怪しみながらも、これはただごとではないと思い彼女の後を付いていく。
「昼の出産はまず無い」と言われていたので、今夜出産しそうなオスでも見つけたのかと、いろいろな予想が頭を駆け巡る。

ダッシュでついていき、指さされたヒメタツをじっと見る。お腹が大きいのは確認したが、オスの動きがおかしい、じっと見ていると、なんと出産をしだした!!!

「聞いてないよ~~~」と頭が真っ白になり僕もパニックに・・・。レンズもヒメタツ用では無いが、とにかくこの瞬間を収めないいけないのは確かだ。

田後(撮影:むらいさち)

出産場所は砂泥で、他のダイバーもいたのでもくもく状態だった・・・。で、最初にパニックになりながら写したのがこちら。

田後(撮影:むらいさち)

「う、なんも見えん・・・」

出産の時間は大体20分ほどだと聞いていた。
お腹の感じを見ると、既に半分以上は出ている感じだった。このモクモクでは意味がないと、我慢してしばらく巻き上げが収まるのを待った。その間に、イメージしていた構図と、カメラの設定をする。
心は超焦るがしょうがない。思ったより早く浮遊物は消えてくれて、その姿を見せてくれた。

いよいよ立会いの時
出産シーンに興奮

さあ、撮影スタートだ。

田後(撮影:むらいさち)

お腹をアップで見てみると、間もなく生まれる子どものしっぽが出ている!

田後(撮影:むらいさち)

しばらくすると、お腹の穴を広げ中の子どもたちを外に出そうと、閉じたり膨らましたりしている。中の子どもがはっきりと見える。興奮も絶頂に!

田後(撮影:むらいさち)

そしてお腹から吐き出されるように、子ども達が出てきた!
この気合の入ったオスの顔を見てください!

田後(撮影:むらいさち)

丸まって出てきた子供たちは、外に出ると「ピン!」と伸びる、その姿は親と全く一緒なのだ。可愛すぎる・・・(むらいにそんな余裕は全くないが・・・)。

田後(撮影:むらいさち)

生まれた子どもたちは、あっという間に水面に向かって浮いていく。親と向き合う子ども。

田後(撮影:むらいさち)

お腹から子どもを出しては、少し休んで、また同じように出していくことを繰り替えす。

卵は個体によるが、40~60個と言われている。この写真では、7個体が写っている。

田後(撮影:むらいさち)

これが、今回の自分のベストショット。
浮遊物が残念だが、それも自然のものなのでしょうがない。とにかく出産が終わるまで集中して皆さんにちゃんとお見せできる写真をと、ゆるふわカメラマンなどはすっかり忘れて記録撮影に没頭した。

興奮冷めやらず、水中でも水面でも絶叫! あれだけ夜頑張っていたのに、まさかの昼の出産だった。見つけてくれた「ブルーシーズン」の上田充志さんに心から感謝。

カメラマンの強い味方
ガイドさんに感謝

お店に戻り、山崎さんと固い握手と抱擁!
山崎さんのこの顔を見ると、どれだけ彼もプレッシャーだったのかが分かる。

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山崎さんも長年タツを追いかけているが、昼の出産を見たのは初めてだそう。
理由を聞くと、「夜に他の魚が近くにいたとか、なんらかのストレスがかかって出産できずにいたが、中の子どもたちが動き回ったりして、我慢できず出してしまったのかな~」とのことだった。
確かに昼に見ることができた僕らはラッキーだったが、他の魚からも見えてしまうわけで、捕食されてしまう可能性は高いだろう。

その後、数日ナイトで出産撮影に挑むが、結局撮影には至らず・・・。
とても貴重なシーンに出会えたことに心から感謝した。それもこれも山崎さんがずっと潜り続けてデータを蓄積してくれてたおかげであり、僕らはほんとに良いとこ取りをしているに過ぎない。
そんな偉そうなそぶりなど全く見せずいつも通り一緒にバカ話をしている姿を見ると、頭が下がる思いがした。

ガイドさんはやっぱり凄い!

初開催!
山陰海岸ジオパーク海中フォトコンテスト

さて、そんな鳥取県田後の海で、今年初めてのフォトコンテストが開催される。
その名も「第一回山陰海岸ジオパーク海中フォトコンテスト」。

僭越ながら審査員は、私むらいさちと、水中写真家・中村卓哉さんで行わせていただきます。
ぜひ、田後の海に潜って、ワイドにマクロに色々なシーンを撮影してみてほしい。
受賞者には、松葉ガニや田後の美味しい物セットを進呈!

■supported by ブルーライン田後

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「地元の海でダイビングショップを開きたい!」との思いから、地元出身の山崎英治さんが日本海に面する鳥取県の田後にオープンした現地ダイビングサービス。オープンから9年目となり、ダウンゴウオをはじめ、生物のデータもそろってきて、多岐なリクエストに応えてくれる。日本海の撮影ガイドも多く引き受け、NHK取材班とはタツノオトシゴの貴重な交接シーンの撮影にも成功。施設、港、ダイビングポイントとコンパクトにまとまっており、ダイバーが過ごしやすい施設も整っているので、一日を快適に過ごすことができるだろう。

ブルーライン田後
〒681-0071鳥取県岩美郡岩美町田後37-1
TEL&FAX 0857-72-8520

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