ダイビング前にサウナが良い?減圧症になりにくいプレコンディショニングいろいろ
前回の「水分摂取と減圧症」に引き続いて、減圧症を防ぐプレコンディション作りの、DANアメリカのウェブサイトの、エキスパートオピニオン(専門家のご意見)のご紹介であります。
ずいぶん長ったらしいタイトルですが、減圧症を防ぐ条件作りには、どうもいろいろな研究がなされておるようであります。
もちろんこのタイトルのようにダイビング前にサウナに入ると、あの厄介な減圧症リスクが小さくなるのならこれはありがたいことであります。
他にもダイビング前に、酸素呼吸、ボディー・ヴァイブレーション、ワークアップ・ダイブなどの方法が、減圧症のリスク下げるという研究がなされたり、提案されたことがあるようです。
Q.
ダイビング前のホール・ボディ・ヴァイブレーション(全身振動)、酸素呼吸、ワークアップ・ダイブ、サウナといったことが、減圧症に対するプレコンディショニングとして提案されていますが、この提案にもとづく実際的な適用法はあるでしょうか?
これらのプレコンディショニングは、適度な心臓活動(サウナ)、リンパの活動を増やす(全身の振動、酸素呼吸)ことと関係します。
ケースによっては、ダイビング前の長い酸素呼吸は何らかの窒素を排出する効果があると考えられています。
これらの方法は、窒素を排出するというより、マイクロ核を減らすことと関係すると考えます。
(A先生)
これらの提案は気泡形成を防ぐテクニックとして提案されていますが、この中でただ1つ実際にダイバーが適用されているテクニックがワークアップダイブです。
難しいダイビング(普通は深いダイビング)をしようとするダイバーは、その日を目指して、事前に、ある程度の期間を使って、少しずつ深くなる一連のダイビングをするというテクニックです。
このテクニックが減圧症を防ぐ本当のプレコンディショニングである証拠はほとんどないのですが、このワークアップダイブが、穏やかな環境で器材や海のコンディションに慣れておくなど、利点がいくらもあります。特に、ヨーロッパではこれらのプレコンディショニングがどんな役割を果たすのか、研究が進んでいます。
例えば、ダイビング前のサウナが、シミュレーションダイブ後の気泡数を減らしたというレポートもあります。
あくまでも理論的なレベルであって、それが実用的テクニックになったということは知りません。
(B先生)
実際に応用されてはいませんが、データはこれらのテクニックが気泡形成を減らすことを示しています。
(C先生)
※
他にもビタミンCなどの栄養物、ニトログリセリンなどの薬剤を服用すると、気泡による血管のダメージを和らげられ、結果として、減圧症のリスクが下げられるというような薬物学的な研究がヨーロッパなどでなされているようです。
ヤドカリ爺としては、あくまでも最近では、このような減圧症を防ぐ研究がいろいろと続けられており、話題になっていることをお伝えするだけでありますが、DANアメリカのウェブサイトはあくまでも、リクリエーションダイバーへの情報源であります。
そこで取り上げるからには、このような減圧症防衛策がかの地では流布しているのでしょう。
どの先生のご意見も、理論的にはアリだが、現実的なテクニックとしてはクエチョンマークということで共通しておるようであります。
そりゃそうですな。
ダイビング前にレモンをかじるとか酸素を呼吸するというのはともかく、ダイビング前にサウナに入るという状況は、現実にありうるのでしょうかね。
本当に効果があったとして、ダイビング現場にサウナ小屋が並んでいて、そこからダイバーが出てくるなんて光景は、あまりに滑稽ですな。
ではサウナでなくて風呂ではいけないのか理由をお聞きしたいところであります(たぶんあるのです)。
また、ニトログリセリンは心臓発作の緊急薬であります。
このヤドカリ爺も肌身離さずもっております。
ダイビング前に、ダイバーがこの薬をなめているという光景も、あまりスポーツ的とはいえません。
しかしながら、いろいろな視点な違った研究があるというのは、これまでの減圧症のリスクが、気泡ができるのをどう防ごうかという視点から、気泡の種となるマイクロ核を減らしておく、あるいは血管の気泡によるダメージを緩和するなど、減圧症はさらに複雑なメカニズムがあるということを物語るようです。
ということは、無減圧リミットを守る、浮上スピードを遅らせる、といったテクニックばかりじゃ(これらが最大ファクターであるのですが)追いつかない、謎の部分が多い障害であることを、物語っております。
その一方で一見チョー科学的に見える、ダイブコンピューターの理屈は、100年以上昔のホルデーンの理論そのものであります。
世の中進んでいるような進んでいないような、、、。
ウーンであります。