沖縄から減圧症治療の現場の声を伝える新連載スタート
はいさい!沖縄からこんにちは、きょうこです。
ここ沖縄にも冬が来て、コートをはおり、ブーツを履いた姿も多くみられるようになりました。
それでも最高気温は20度ほどあり、裸足にギョサンの私には、周りから白い目が注がれています。
さて、私は、沖縄県の南部徳洲会病院で、臨床工学士として減圧症治療の現場にいます。
皆さん、ダイビング後、調子が悪い、減圧症かも…と思ったときどうしますか?
ちょっと休んだら大丈夫になった。気のせいだ。
せっかく来たんだから、もう1本行こう!といったふうに流されていませんか?
私が沖縄に暮らし始めて5年になろうとしていますが、そのころは、当院でも減圧症の治療は積極的には行われていませんでした。
毎年多くの観光客が訪れ、その2~3割は何らかの形でマリンスポーツを楽しんでいるといわれる沖縄県です。
減圧症の治療はバリバリ行われているんだろうと想像していた私にとって、その状況は、不思議に思えました。
現在は、緊急とされる治療が必要な減圧症には24時間対応で治療を行っており、年間40~50名ほどの患者さんが減圧症の疑いで来院されています。
内訳はファンダイバーや、プロダイバー(インストラクターなど)のほか、潜水しての土木等作業者(潜水士)、そして漁師です。
病状はさまざまですが、年間50名という数字は、どうなのでしょうか。
私には少ないように思えます。
また、発症から来院までに3日以上がかかっていることも少なくありません。
少しずつ経験を積み、見えてきたこともあります。
そんなころ、寺山編集長と出会い、現場の声を…というお話をいただきました。
では、その問題がどこにあるのかざっと挙げてみます。
患者側から見た問題
- 医療費が高い(1回の治療に少なくとも2~3万円の費用がかかってしまう)
- どこの病院に行っていいかわからない
- この痛み・違和感・だるさ……そういったことが、減圧症なのかどうかわからない、気づかない
医療施設側から見た問題
- 高気圧酸素治療(減圧症治療を含む)が積極的に行われていない
→施設は全国に700あまりあるが、治療装置の維持管理に多額の費用がかかり、治療時間が5時間以上かかることも。その治療はスタッフへの負担が大きいこともあり、採算という意味でも積極的に行っている施設は少ないのです。 - 治療施設と現地消防等との連携不足
→どこの施設で減圧症の治療が行われているのかが、ダイバー本人やダイビングショップ、観光施設などにまだまだ周知されていない現状があるかもしれません。
また、離島が多く存在する沖縄県は治療施設への搬送方法を考える必要もあります。
減圧症の知識がある方も多いと思いますし、実際に治療経験がある方もいらっしゃると思います。
それらの事例はダイビング雑誌やオーシャナの中で取り上げられることもありますが、現場の声はあまり表に出ていなかったように思います。
“沖縄のダイバーのお守りになりたい”
そんな思いで、次回からは、ダイビングのことがわかる臨床工学士として、今回挙げた問題点を掘り下げるのはもちろん、そもそも減圧症とは何か、実際の治療装置の話、そして、私が趣味としているフリーダイビングのことや、たまには、楽しい沖縄情報などをお届けできたらと思います。
以後、よろしくお願いします。