ダイバーなら知っておきたい減圧症にかかりやすい条件

この記事は約3分で読めます。

セブ島のベラ(撮影:越智隆治)

どんな人が減圧症になりやすいのか?

前回の記事でも書きましたが、減圧症の最大の誘因は、深く長く潜り、それに見合った減圧をしないことです。

潜水深度や潜水時間、浮上速度などの条件に加え、身体の状態、ダイビング後の行動、水温や気温など、いろいろな条件が減圧症の誘因になります。

身体的な誘因には、以下のものがあります。

  • 肥満
  • 高齢者
  • 疲労
  • 脱水

誘因になる行動には、以下のものがあります。

  • 潜水直後の激しい運動
  • 潜水後の航空機搭乗
  • 高所移動(低圧環境に曝される)

それらをふまえて、以下は減圧症を発症しやすくする主な要因です。

  • 40歳以上
    40歳以上の男女はそれ未満の年齢よりリスクが高くなります。
  • 肥満
    BMI(ボディー・マス・インデックス)が25以上あるとリスクが高くなります。
    *BMI=体重Kg÷身長m×身長mで求めることができます。
  • 減圧症の既往
    減圧症の治療をしたしないに関わらず、減圧症の診断がついたことがある方はリスクが高くなります。
  • 飲酒
    ダイビング前夜のアルコール摂取によって脱水になっているとリスクが上がります。
  • 脱水
    アルコール摂取、下痢や嘔吐による脱水だけでなく、ダイビング当日、水分摂取が少ないとリスクが上がります。
  • 体調不良または病気
    体調不良や病気のときはリスクが上がることが考えられています。
  • 月経中
    月経中はリスクが高くなることを示す報告があります。
  • 気温
    気温が低く、水温と気温差が大きいとリスクが高くなります。
  • 冷え
    ダイビングをしたあとに体が冷えるとリスクが高くなります。
  • 水深30m以上
    水深30m以上のダイビングをしても、それに見合った減圧をすれば発症率はそれほど高くなりません。しかし、浮上速度が遅すぎたり(例えば水深の深いところで毎分3m以下など)、最大深度より少し浅めの水深(例えば水深20~25m)に長く留まるようなダイビングをするとリスクが上がります。
  • 3本/日以上
    1日3本以上ダイビングをするとリスクが上がります。
  • 激しい運動
    ダイビング中、息切れしたと感じるくらいの運動をするとリスクが上がります。
  • 潜降・浮上の繰り返し
    極端な潜降・浮上を繰り返したダイビングをしてもリスクが上がると考えられます。
  • 急浮上
    コンピュータの警告音を無視して浮上するとリスクが上がります。
  • エアー供給不良
    エアー供給が少なく息が苦しいと感じるダイビングをするとリスクが上がると考えられています。
  • 潜水直後温浴
    身体が冷えているときに熱いシャワーやお風呂に入るとリスクが上がる可能性があります(報告例があります)。
  • 潜水後の運動
    ダイビングの後に激しい運動をすると気泡ができやすくなり発症率が上がります。
  • 高所移動
    米国海軍の反復グループ記号でDより残留窒素が多いまま標高300m以上を移動するとリスクが高くなります。
  • 航空機搭乗
    1日2本以上ダイビングをしたとき、エグジット後18時間以内に航空機搭乗するとリスクが上がります。
  • いかがでしょう。
    当てはまる状況がいくつかあったでしょうか?

    上記の項目に該当すると必ず減圧症にかかるというわけではありませんが、当てはまるものを減らせば減らすほどリスクは低くなります。

    普段からこれらのことに気を付けてダイビングの準備をしたり、注意して潜ることをおすすめします。

    \メルマガ会員募集中/

    週に2回、今読んで欲しいオーシャナの記事をピックアップしてお届けします♪
    メールアドレスを入力して簡単登録はこちらから↓↓

writer
PROFILE
宮崎県日南市生まれ。
幼少より海で遊びことが好きで、高校時代に沖縄に釣りに行き、潜水をする漁師と出会ったのがスクーバダイビングを始めたきっかけ。

以後、大学は医学部に進学するも、休みの日には当時西荻窪にあったダイビングショップを手伝い、伊豆などでガイドをし、22歳でインストラクター資格を取得。

 大学卒業後、研修医時代にマスターインストラクターになり、現在も、昼は診療、夜は研究・実験の毎日で休みがほとんどない中、時間があれば海に行って、ダイビングや魚釣りをしている。
 
学生時代よりダイビングのルールの多くが医学に基づいたものであることに関心があり、主な専門医を取得した後28歳で上京。

 東京医科歯科大学等で研究に携わり、39歳で同大学院准教授、現在は故郷の宮崎に戻リ、医療法人「信愛会山見医院」で副院長となる。
 
■月刊マリンダイビング(減圧症何でも相談室)、月刊ダイバー(ドクター山見のダイバーズクリニック)で連載中。
 
--------------------------------
杏林大学医学部卒業
宮崎医科大学附属病院小児科、
宮崎県立宮崎病院小児科、
関東病院内科、
埼玉回生病院内科、
東京医科歯科大学大学院健康教育学分野准教授(医学部附属病院高気圧治療部併任)
等を経て現職
 
資格
●医学関係
 日本小児科学会専門医
 日本臨床内科医会臨床内科専門医
 日本高気圧環境・潜水医学会専門医
 日本プライマリ・ケア学会研修指導医
 日本プライマリ・ケア学会認定医
 日本体育協会公認スポーツドクター
 日本医師会認定健康スポーツ医
 
●海関係
 ・ダイビング関係
   CMAS TSSコースディレクター
   CMAS UHAコースディレクター
   NDAコースディレクター
   CMAS ADSマスターインストラクター
   CMAS JCSマスターインストラクター
  潜水士免許(国家資格)
 ・船舶
   一級小型船舶操縦免許
  第一級海上特殊無線技士免許
FOLLOW