潜水深度ギネス記録保持者のアフメドさんが、水中清掃で再びギネス記録達成!

ギネス記録(提供:アフメド)

昨年、オーシャナでは、ダイビング潜水深度のギネス記録保持者のエジプト人、アフメド・ガマル・ガブル (Ahmed Gamal Gabr)さんについてご紹介しました。

■エジプト人ダイバーが、ダイビング潜水深度332.35mのギネス記録達成!
https://oceana.ne.jp/oversea/54135

紅海 (Red Sea)でのチャンレンジは、なんと、332.35mという見事な記録でしたが、アフメドさんの挑戦はまだ終わっていなかったのです。

2015年6月5日、彼はまた紅海で世界記録を破りました!

世界最大の水中清掃イベントをオーガナイズし、614人ものダイバーが1人ひとつ以上のゴミを持ち帰り、ギネス記録を達成したのです。

アフメドさんにお話を聞きました。

ダイビング深度ギネス記録(提供:アフメド・ガマル・ガブルさんと彼のチーム)

ギネス記録を更新したアフメド・ガマル・ガブル (Ahmed Gamal Gabr)

——アフメドさん、おめでとうございます。また世界記録を破りましたね!

「ありがとうございます」

——水中清掃をギネスにするという斬新なアイディア、何がきっかけで思い付いたのですか?

「昨年の332.35mの新記録は、自分一人で達成したものではありません。海のおかげで世界記録を破ることができたという思いが強く、海に感謝したかったのです。自分一人の達成ではない、海のおかげだったと、自分自身、そして世界中に伝えたいと思いました。そこで、6月5日がちょうど世界環境デー(World Environment Day)だったので、海に感謝、そして、海を守る環境デーを祝いたいと思いました。では、どうやって海に感謝して、世界環境デーをお祝いできるかを考えていた時、水中清掃を思いついたのです」

ギネス記録(提供:アフメド)


——-紅海のような素晴らしい海は保護したいですよね!

「まさにその通りです。紅海の生物や綺麗なサンゴ礁のおかげで、たくさんのダイバーが世界中から集まっていて、紅海はその人達に楽しみと幸せをもたらしています。そんな紅海に、心から感謝したかったです」

——素晴らしい事ですね。 水中清掃の計画を立てていた時、参加者は何人ぐらい目指していましたか?

「水中清掃の、以前のギネス記録は、アブダビで開かれた300人のダイバーが参加したイベントです。その記録を破りたかったので、300人から400人ぐらいのダイバーが参加してくれればと考えていましたが、実際には1000人ほど現地に集まってくれたのです。24時間以上に渡って実際に潜ってくれた人は614人でした」

——-どうやってそんな大きなイベントをオーガナイズしたのでしょうか?

「主な計画や運営は自分でやりましたが、エジプトの観光省、紅海の知事(Governor of the Red Sea)と、いくつかのホテルや旅行会社がサポートしてくれました」

——–実現するまでには、どれくらいの時間がかかりましたか?

「だいたい7ヶ月ぐらいでした。6月5日の7ヶ月前に水中清掃というアイディアを思い付いてから、ギネスに応募し、ガイドラインをもらいました。そのガイドラインに合わせて計画し始めました。当時は良い天気に恵まれて安心しました!」

ギネス記録(提供:アフメド)

——-アフメドさんは、以前の世界記録を破りたかったとおっしゃいましたが、今回は他の目標もありましたか。

「水中環境に関しては、まだまだ課題が残っている、人がすべきことが多いというメッセージを世界に発信したいと思いました。今回のイベントで分かったのは、地元の人は、水中環境に関する問題に協力したい、関わりたいという強い気持ちを持っていて、それをエジプト、そして世界に見せたかったのです。また、エジプトのダイビング業界や環境保護も宣伝したかったです。もちろん、以前の世界記録を破るのも目的でしたが、この水中清掃イベントは、実は紅海とその生物、沈船やダイビング業界のケアに関するプログラムの始まりに過ぎないのです」

——-具体的に、それはどんなプログラムですか?

「残念ながら、まだ開発中ですので、具体的な内容は公開できませんが、もちろん、もっとはっきりしたらお伝えします」

——–ありがとうございます。ぜひ、具体化したらご連絡ください! さて、水中清掃の話に戻りますが、当時の紅海の様子はどんな感じでしたか。ゴミはかなり多かったですか?

「特定のポイントを清掃しました。そのポイントは突堤だったので、残念ながらゴミはかなりありました。そんなゴミを見て、船の基準や規制を定めるにあたって、まだまだ多くの課題が残っていると改めて実感しました」

ギネス記録(提供:アフメド)

——どんな物を見つけましたか?

「まず、どうして突堤を清掃したかというと、陸に近い安全なポイントなので、多くのダイバーを管理するのに最適でした。614人ものダイバーが潜っていたので、安全や管理の面では非常にいいポイントでした。それから、ゴミの多くは突堤のようなポイントによくあります。ビニール袋、ペットボトルやプラスチック製品が多かったです。船のオーナーや操縦者のゴミ捨てに対する認識を高める必要があり、リサイクル計画も導入しなければいけないという事をすごく実感し、それを強く強調したいです」

——今回の参加者もそういう思いで参加んもアフメドさんと同じ気持ちでしまた、ギネス記録更新を正式に認めるには、何が必要でしたか。

「一人最低一つのゴミを拾う必要がありました。参加者達はとてもポジティブでした。多くの人はエジプトや紅海が大好きだから関わったと言っています。あれだけ多くの参加者がいたという事は、皆エジプトや紅海が大好きで自分の国に貢献したいと考えている人が多いという事です。それは本当に素晴らしいです。とても嬉しかったです。」

——-今年の水中清掃は、長期的にどんな影響をもたらすと思いますか。

「水中環境問題への関心はこれからエジプトで深まると思います。一般の人だけでなく、ダイバー、様々なコミュニティー、会社や政府関連の人も興味を持っていただけたらと願っています。」

ギネス記録(提供:アフメド)

——-他の世界記録を破る予定はありますか?将来の活動について教えてください。

「そんな予定は今のところないです!今最もやりたいのは環境や紅海に関するプロジェクトに取り組む事と、インストラクターの仕事ですね。ファンダイビングやテクニカルダイビングのトレーニングを続けていきたいです。」

—–アフメドさん、改めておめでとうございます!そして今日も良い話をありがとうございました。

「ありがとうございました!」

*****

アフメドさんは、しばらくインストラクターとしての活動を続け、記録更新等特に大きなプロジェクトはないとおっしゃいましたが、話を聞いていると、再びダイビング関連ニュースに現れる日はそんなに遠くないと思います。水中環境保護等の活動を通して、きっとまた新しい挑戦が出てくるでしょう。それは何なのか、とても楽しみです。アフメドさん、応援しています!

■情報、写真提供:Ahmed Gabr (https://www.facebook.com/AhmedGabrDiver?fref=ts)

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PROFILE
イギリス生まれ、8歳から13歳まで日本で育ったイギリス人と日本人のハーフ。

2006年に再度来日し、ナレーター、翻訳者、ライターとしてNHKテレビ、ラジオ、日本駐在外国人向けのウェブサイトなどで活躍。
2010年ニューカレドニアで体験ダイビングをしたのを機にライセンスを取り、2011年以降定期的に日本で潜っている。

日本の海の魅力、多様な生物や地形等に感動し、海外であまり知られていない日本のダイビングを紹介する目的で、2011年にブログ(Rising Bubbles)を立ち上げた。

外国人向けのサイトや海外のダイビングサイトで日本のダイビングスポットを定期的に紹介しており、スコットランドのセントアンドリューズ大学で水産養殖も勉強中。

「ダイビングをきっかけに、日本の海がどれだけ魅力的なのかをすごく実感しました。この連載では、たくさんの情報を届けていきながら、海外からのトピックを取り上げ、日本と海外の違いや海外の視点等をシェアするのを楽しみにしております」
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