世界で唯一!オーストラリアのシャチ研究家が語る生態の真実②

第一回目のインタビューでは、ジョンさんがシャチの研究に至ったきっかけと世界でも大変珍しい2種類のシャチの生態についてお話を伺いました。

第二回目となる今日は、シャチとザトウクジラの餌や家族構成についてさらに深く迫っていきます。

John Totterdell Interview

-気になるシャチの家族構成とは?

ニンガルーリーフでシャチの研究を初めて、最初の数年は4〜5頭しか確認できませんでした。
ところが、10年経った今では26頭の個体を確認できています。

この26頭の個体は4つの家族から構成されています。
シャチの家族はどれも母系家族です。つまり、家族の中心なる大黒柱は父親ではなく、母親ということです。

狩の指示を出すのも母親、子育てをするのも母親、家族の面倒をみるのも母親です。
若いオスたちはメスを魅きつけるために体こそ大きくなりますが、大きく成長しすぎた背びれは狩や泳ぐのには邪魔になることもあります。
人間と種は違えど、男は男だなぁとしみじみ思いますね(笑)

シャチの家族構成を解き明かすのは、遺伝子サンプルを取ることによって行います。

そして、ニンガルーリーフで目撃される集団のなかでも一番有名なのが「フック家族」です。
この家族は母親のフックを中心に子供のオルギー(雄)、スピナー(雄)、エリー(雌)で成り立っています。

スィスィーという子供もいましたが、2年前に亡くなってしまいました。
シャチは4~5年に一回のサイクルで新しい子供を産みますが、その生存率は50%と言われています。

-シャチは何を食べている?

ニンガルーリーフのシャチが食べる餌といえば、

前菜:イルカ
メイン料理:ザトウクジラの赤ちゃん
サイドディッシュ:ミンククジラ、ジュゴン、イタチザメ

…そうそうたる顔ぶれが並んでいますね。

それでは、ブレマーベイのシャチが食べる餌とは?

メイン料理:オオギハクジラ(小さめのクジラ)、イカ、他の魚

ニンガルーリーフに比べると、やや控えめに感じてしまいます。

-人間よりも強いシャチ一家の絆について

シャチの母親に関する、もう一つ面白い事実があります。
自然界においては、メスが老い繁殖をできなくなると大抵の種ではそのままそのメスは死んでしまいます。

しかし、シャチはというと、母親が更年期を迎えたとしても、変わらず子供たちに餌を与えるため狩を続けます。
それはまるで人間の母親がいくつになっても子供の世話を見るように。

シャチの家族の絆は大変強く、子供は生涯母親と一緒に暮らします。
子供が繁殖のために一度集団を数ヶ月ほど離れたとしても、いずれはまた母親の元に戻ってきます。

-少しはかないザトウクジラの親子

これをザトウクジラと比べてみると大きな違いがあることがわかります。
ザトウクジラはニンガルーリーフで子供を産み落とした後、南極まで一緒に泳いで帰り、母親が餌(主にオキアミ)のありかを子供に教えます。
しかし、その後またニンガルリーフに戻るときには子は親から離れます。
まだ1歳にも満たないうちに家族から離れ、たいていの場合は二度と母親と会うこともありません。

ザトウクジラは少数で行動することはあっても大きなグループで群れることはあまりありません。

-謎が多いシャチの生態。ジョンさんがこれから解き明かしたいのは?

シャチの研究には時間がかかります。
もう研究を初めて10年が経ちますが、まだまだ移動先、食べる餌、家系図などを解き明かすにはもっと多くのデータが必要です。

例えば、ニンガルーリーフに冬から春の間訪れるシャチは、夏の間どこに行くのか?
父親は誰なのか?
他には何を食べているのか?

これを解き明かすには、サテライトタグでシャチの行動パターンを割り出し、生体検査で餌を特定し、遺伝子検査で家系図の研究をさらに深めていくことが必要です。

ー ジョンさん、ありがとうございました。

今回は謎多きシャチとザトウクジラの生活模様をお届けしましたが、いかがだったでしょうか?
次回はシャチとザトウクジラの少し切ない関係性や、ジョンさんが関わっている「ザトウクジラ・センチネル・プロジェクト」のお話を伺います。

Text:Kanae Hasegawa

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