ダイビング×砂漠×キャンプ×ラクダ!?エジプト・レッドシー(紅海)で叶う異世界ダイブトリップ(第2回)

レッドシー(紅海)ダイビングの魅力〜色とりどりの魚群にドロップオフに群生するハードコーラル、そして……便器!?〜

この記事は約6分で読めます。

エジプトでも人気を誇るリゾート地、シナイ半島南部に位置するシャルム・エル・シェイク。
リゾート滞在を目的とする観光客も多いが、ダイバーとっても人気トップクラスのこの場所は、ヨーロピアンを中心として世界中から多くのダイバーがレッドーシー(紅海)を楽しむために訪れている。

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紅海でのダイビングで最も有名な場所がラス・モハメッド国立公園。
世界屈指のダイビングスポットとして知られていて、大きな河川が流れ込んでいないため透明度が高く、栄養分を豊富に蓄えたこの海には、200種ものサンゴや色鮮やかな熱帯性の魚、サメ、マンタ、ジンベエザメ、イルカなどが棲む。

ラス・モハメッド国立公園の中でも特に人気なのが、環礁のあるポイント「シャークリーフ」。
今回は日本人スタッフも常時勤務しているサイナイダイブクラブと一緒に、多くのダイビングボートが連なるシャルム・エル・シェイクマリンポートからラス・モハメッド国立公園へと向かった。

早速驚いたのが、港に泊まっていたサイナイダイビングクラブの自社ボート、アンジェリーナ号の大きさと豪華さ!

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オーストラリアのケアンズなどでは超巨大なダイビングボートで行くのは有名だが、ここのダイビング船は大きい上に超優雅。
まるでプライベートヨットのような高級船に乗っている気分で、ポイントへと向かった。

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色とりどりのソフトコーラルに無数のキンギョハナダイ
「シャークリーフ」

ガイドさんに日本語でブリーフィングしていただきながら、船で走ること約20分「シャークリーフ」に到着。

うれしいことに、いい感じの潮が入ってきているそうだ。
「シャークリーフ」からエントリーして、お隣の「ヨランダリーフ」まで流すドリフトダイビングをすることに。

早速器材を背負い、ガイドさんの合図とともにジャイアントストライドでエントリー。
陸に広がる砂漠を目の前にして海に入るのはこれまで体験したことがなく、なんとも不思議な気持ち!

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海に入ってみると気持ちの良い青い海が広がり、潮が僕らの身体を押し流してくれた。
環礁へと目を向けると、無数のオレンジ色の生物が動いているのが見える。
その正体はキンギョハナダイ。壁一面に広がる色とりどりのソフトコーラルの周りで群れながら、潮に向かって朝食を食べていた。

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カラフルなその空間は、まるでかの有名な遊園地の「夢の国」。
アトラクションに乗り、目の前に広がるエンターテイメントを見ているような気持ちで潮に流されながら、美しい珊瑚と魚を楽しんだ。

一方で沖の方を見てみると、500m以上の水深に落ち込むドロップオフが広がり、サメが回遊していたりナンヨウツバメウオの群れたりしている。

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他にもナポレオンフィッシュやバラクーダ、ギンガメアジなど大物や群れにも期待ができるそう!

あたり一面”便器”ポイント!?
「ヨランダリーフ」

潮の流れに乗ってしばらくすると、隣のポイント「ヨランダリーフ」へ。
先ほどの「シャークリーフ」とは印象がガラッと変わり、レックポイントみたいな場所だな〜と思いながらよく見てみると、そこに広がっていたのは……

ものすごい数の便器!?
無数の洋式便器が海底に散らばっていたのだ。

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なにやら昔、難破した貨物船がここで沈没。
コンテナには大量の便器が積まれていたらしく、船自体はドロップオフへと沈んでしまったが、コンテナは水深15mあたりの場所に残り、こんな異様な光景ができあがったとのこと。

他ではなかなか見れない光景を見に、多くのダイバーが訪れるのだそう。

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ビーチポイントも見どころ抜群!
時期によって違った魅力を持つレッドシー(紅海)

ラス・モハメッド国立公園だけではなく、マリンポート周辺などのポイントも面白い。
港すぐ近くではビーチからもアクセスできるポイントもあり、浅場には一面ハードコーラルが群生。

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深場に行けば超巨大なイソバナがあり、その周辺にはものすごい数のムレハタタテダイが群れているなど、ローカル・サウスエリアもまた一つ人気のポイントとなっている。

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現地ガイドも麻痺する紅海の魅力
印象に残ったダイビングシーンと撮影裏話

紅海を潜ったのは今回が初めてだったのだが、一番記憶に残ったのは、やはりラス・モハメッド国立公園にある「シャークリーフ」。
ドロップ沿いに生い茂る一面のソフトコーラルとハナダイたちコラボレーションには圧巻だった。

実はラス・モハメッド国立公園からもビーチから潜ることが可能。(詳細な潜り方は次回の記事でご紹介)
「シャーク・オブザーバトリー」で、思わずびっくりした現地ガイドさんとのやりとりを紹介しよう。

普段の取材であれば、カメラは水中でレンズが取り替えられないためマクロとワイドの2台体制で行くのだが、実は今回エジプト内での移動が多く、重量の関係で1台しか持っていけなかった。

潜る前、ガイドの方に「ポイントはマクロですか? ワイドですか?」と尋ねると、「うーん。そうですね……マクロかもしれません」。

僕は思わず「何!? 完全にワイドで準備してきてしまった!」と思ったが、もう後の祭り。
若干……いや、大きな不安を抱えながらタンクを背負いビーチエントリー。

ほんの少し水面移動していくと目の前に大きなクレパス。

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そこから潜降していくと、水深約500mあるドロップオフがあり、30m以上あるであろう透明度の海が広がっている。
棚には美しいハードコーラルが群生。

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そしてハードコーラルの周辺を泳ぎ回る、一面のキンギョハナダイ。
「全然ワイドじゃねーか!(笑)」と水中でガイドさんのフィンを眺めながらホッとした。
しかもキンギョハナダイたちは全然逃げず、「レンズに当たっているんじゃないか!?」と思うほど。

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さらに近寄り、ドロップオフの美しい景観とハードコーラルをうまくバックに入れ、あおりながら夢中で撮影。
コーナーでは大きなウミウチワやソフトコーラルも群生していた。
ビーチポイントにも関わらず本当に美しすぎて、一人で興奮しっぱなしだった。

エキジット後すぐに「ワイドじゃないですか〜!(笑)」と思わず突っ込んだ。

「え〜、そうですかね〜?」と返答するガイドさん。

「ん?これでワイドじゃないの?どういうこと?」と思い聞いてみると、6〜10月はさらに魚影が濃く、それを狙ってサメなども多くなるので、ガイドさんの中ではそのときがワイドの印象。
撮影を行った12月は、紅海でしか見れないチョウチョウウオやハナダイなどの固有種が多く、それによりマクロとアドバイスをくれたのだった。

「なるほどな」と納得しつつも、僕にとっては大興奮だったワイドシーン。
長年紅海でガイドしていて、この美しさに慣れてしまったのもあるだろう。
これが世界中のダイバーを魅了するレッドシー(紅海)。なんとも贅沢だ。

改めてじっくり潜りたいリストに新たにポイントが1つ加わった。

■取材協力
エス・ティー・ワールド

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PROFILE
1988年7月6日生まれ
東京にフランス人の父、日本人の母の間に生まれる。生まれて間もなくフランスのパリに移りフランス人として成長し10年。父は写真家、ダイビングインストラクター。
小さい時から父にフィリピン、タイ、ガラパゴス諸島など自然豊かな場所に連れて行ってもらい、いつの間にか自然が大好きになる。時が経ち2010年にダイビングを始め2011年から沖縄でダイビングインストラクターとして活動。2013年からオーストラリアのダイビングクルーズ船にて働くことになりそこで船内販売用に写真を撮る。今度は撮った写真をソーシャルネットワークにも載せたりするようになり友達に『世界にはこんな場所がある!こんな海がある!』などと紹介するのが楽しくなる。2014年10月にクルーズ船の仕事を終え帰国前にオーストラリアを一周することに決め念願の一眼レフを手に入れ放浪。 現在は、自然写真家として水中写真をメインに世界中を撮影し活躍中。
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