快挙!フィンランドのフリーダイビング世界大会にて日本人女子が2つのメダル、2つの日本記録樹立!
2016年6月25日から7月3日まで、フィンランドのトゥルクにて開催のフリーダイビング世界選手権 (プール種目、個人戦) AIDA Pool World Championships 2016 Finlandが閉幕しました。
前回記事でもご紹介しましたが、この大会では日本人女子が大活躍し、全種目で決勝に進出しました。この日本女子チームの活躍ぶりは各国選手の間でも話題になったようです!
並みいる強豪の中、決勝進出するのみならず、快挙と言える戦績を残しました。
スタティック・アプネア(静止息止め)にて2つのメダルを獲得!!
銀メダル 市原由利子選手 6分37秒
銅メダル 結束あすみ選手 6分28秒
息を止める時間を競うこの種目は、最もメンタルに左右される競技。にもかかわらず、本番の緊張感・プレッシャーに打ち勝ち、二人とも自己ベストでのメダル入賞となりました!また、惜しくもメダルはならなかったものの、磯貝選手が5位につけ、日本勢が上位を独占しました。
ダイナミック・ウィズ・フィン(フィンを付けて並行潜水)とダイナミック・ノーフィン(フィン無しで並行潜水)で2つの日本記録樹立!
DYN 石田美弥子選手 191m
DNF 濱崎友美選手 160m
STA銀メダル 6分37秒 市原選手のコメント
市原選手は2度目の世界大会出場、スタティックだけでなく、3種目ともこの大会で自己ベストを更新、DYNでは日本記録に迫る188mを泳ぎました。
—
この大会に向けて準備してきたことは?
市原選手
世界大会出場が決まってから普段より練習時間を増やしてトレーニングしてきました。 大会本番では1種目でも決勝に進めたらと言う気持ちで予選から全力で挑みました。
—
競技当日はどのような感じでしたか?
市原選手
決勝では本番前今までにないくらい緊張しました。特にスタティックでは精神状態でタイムが変わってしまう方なので止められるのかどうか不安で逃げ出したい気持ちになっていたのですが、サポートをしてくれた守屋選手がウォームアップ中にうまく緊張をほぐしてくれたので落ち着いて楽しく息を止める事ができました。
—
今後の目標は?
市原選手
大好きなフリーダイビング。これからも楽しみながら少しずつ進化していけるよう頑張っていきたいと思います。日本記録を出したい!というよりは、DYNは200m、STAは7分を目指して自分のペースで頑張って行きたいと思ってます。
STA銅メダル 6分28秒 結束選手のコメント
結束選手は注目の新人。競技を初めてわずかにも関わらず、凄まじいポテンシャルで頭角を現しました。初の世界大会でのメダル獲得は快挙。DNFでは日本記録に迫る150mを泳ぎました。
—
この大会に向けて準備してきたことは?
結束選手
私は普段看護師として病院で働いています。日勤後は、時間の都合上練習に行けないので、夜勤明けや休みの日に練習する形を取っていました。
—
競技当日はどのような感じでしたか?
結束選手
フリーダイビングを始めて2年弱、初参戦なので、緊張もしましたが、、日に日にその緊張感や不安すらも楽しめるようになってきました。全てが新鮮で刺激的な場に居られること自体が幸せでした。
練習では、ギリギリのところまで攻める練習が出来ず途中で上がってしまうことも多かったので、大会では、悔いの残らない限界ギリギリまで攻める、また日本で応援して下さる方が楽しめるような結果を残したいという気持ちで臨みました。
—
今後の目標は?
結束選手
今後も、記録を伸ばしつつも、1番はフリーダイビングを楽しむ事を目標として、人との和、つながりを大切にしていきたいと考えています。
DYN日本記録 191 m 石田美弥子選手のコメント
石田選手は4度目の世界大会。予選で3年ぶりの自己ベスト更新、さらに決勝では日本記録更新と、ベテランの底力とここ一番の勝負強さを遺憾なく発揮しました。
—
この大会に向けて準備してきたことは?
石田美弥子選手
メンタルとフィジカルに疲労を溜めないトレーニング計画とリカバリー。 栄養士や自らによる食事の見直し。 DYNの世界のトップに比べ日本女子は小さく、これでは勝てないという経験から、カラダを大きく丈夫にしていきました。これまでの失敗の徹底的な見直しをし。 現地に入ってからは徹底的な体調管理とメンタルコントロール、自分を信じることに専念しました。 公式ホテルにキッチンがあったので自炊できてよかったです!
—
当日の泳ぎは?
石田美弥子選手
尊敬するEkaterina Romanovaさん(カチャ) が私のジャッジだったのでしっかりホワイトを取らないと、と強く思っていました。 朝から「カチャから190mでホワイトをもらう」イメージが頭から離れなくて困って、一度思考をリセットしたほどです。150mのターンをしたときに非常にクリアだったので、SPがきちんとできそうな最大ポイントまで行ってみました。そこが日本新記録でした。 緊張も楽しみも味わい尽くしました!
—
今後の目標は?
石田美弥子選手
いまはまだなにも考えられませんが、200mの壁を見たい。 いつも選手とインストラクターの両立を目指していますが、今後もフリーダイビングを安全に正しく伝えられるよう精進し、生徒さんに恥じないよう学んでいきたいです。 自分が金子英敏コーチや先輩方に育てて頂いたように、自らの経験を活かし世界で戦えるフリーダイビング選手をコーチとして育成し支えてみたいです。
DNF日本記録160m 濱崎選手のコメント
濱崎選手は2度目の世界大会。自身が持つ157mを6年ぶりに更新!2児の母でワーキングマザーです。限られた時間をやりくりしての日本記録更新です!
—
この大会に向けて準備してきたことは?
濱崎選手
仕事と子育てで、実はあまり準備できてなかったです。産休前のように行かなくて、自転車通勤の間息を止めたり、仕事中に息を止めたり、ながら練習をしてました。
とっても嬉しいです。
—
当日の泳ぎは?
濱崎選手
元の記録は出産前の記録で、前のようには練習できてなかったこと、身体がもとに戻らない感覚があり、自分の記録を更新するのは半分諦めていたのが正直な気持ちです。でも、自分の限界がどこなのか見極めることを目標に望みました。
結果、少し緊張もしましたが集中できて、気持ちよく泳げました。環境がとってもいい大会だったから、まわりのみんなが楽しくサポートしてくれたからこそ日本記録を達成できました。
—
今後の目標は?
濱崎選手
もっとフリーダイビングのこと知りたいと思ってます。ルールのこと、セーフティーのこと、ジャッジのこと、選手のこと、、、知らないことが沢山あると世界大会で改めて実感しました。競技は少しずつ、記録は伸ばして行けたら良いと思います。
それにしても、日本女子の強さの秘密は何でしょう?
それは海洋競技でもいえることですが、層の厚さ、競技として普及が少しずつ進んでいることがあるでしょう。
ポテンシャルを備えた選手がどんどん頭角を現してくる中、ベテラン選手たちも努力を続けるとともに底力を発揮し、まさに切磋琢磨しながら、お互いを高め合う、理想的な状況にあるのだと思います。
また、今回の大会、惜しくも予選敗退した選手達も、自分たちの試合終了後はサポートとして、コーチとして仲間たちを支えました。海洋競技でもそうですが、このプール種目も、決して一人の選手だけでなし得た結果ではなく、チームワークの賜物ですね。
マイナー競技でありながら、世界でこれだけ活躍している選手が沢山いるフリーダイビングを、もっと多くの人に是非知って頂きたいと思います。
さて、この秋9月には、ギリシアでフリーダイビング団体戦が開催されます。
団体戦は海洋競技とプール競技の総合でのチーム戦。日本選手団の活躍が待ち遠しいです!
(photo by Tomoyuki Ishida 他)