【新型コロナ】ダイバーにできること、ダイバーにしかできないこと
2020年は、新型コロナウイルス感染症の流行により、人々の記憶と歴史に残る年になりそうです。
人類は未知のウイルスに対する免疫を獲得しておらず、現状では特効薬やワクチンも存在しません。
このため世界中の経済活動がストップするという、未曽有の状況となっています。
残念ながら、今私たちはこの流行がなるべく大きくならず、速やかに収束してくれるよう行動するしかありません。
人類は、過去にもパンデミックの発生と終息を経験してきました。
しかし、決してこの状況が未来永劫に続くわけではありません。
感染拡大防止も大きな課題ですが、嵐が過ぎ去った後にどうやって通常の生活に戻るか、というのも大きな問題です。
現状、多くの地域で様々な行動自粛の要請などにより、ダイビング業界もすでに大きな打撃を受けています。
今、私たちダイバーができること、そして、ダイバーにしかできないことについてまとめてみます。
「恐ろしい」と言い続けてただ家にひきこもるのも、反対に現状を無視し、新型コロナウイルスをなかったことにするのも簡単です。
でも、こんな時こそ気持ちを前向きにし、世界が再び平常な状態に戻った時、またダイビングを楽しめる環境を主体的に作ってゆくのが、ダイバーのできることだと私は考えます。
・・・・・せっかく時間のできた今だからこそ、普段忙しくてできないことにチャレンジしてみませんか?
1、感染拡大を防ごう!
このパニックによる様々なインパクトを小さくするには、まずは感染規模を小さくすることです。
各ダイバーが少しずつ注意や我慢をすれば、必ず大きな力になります!
ぐっとこらえて、おうちにいよう!
現在、ダイビングショップやサービスが大変な窮地に追い込まれています。
いつもお世話になっているお店が大事だから、いまこそお店やツアーに行こう!……という考え方もありますが、特に首都圏においては、その行動によって感染が拡大し、ショップやサービスが営業停止になるリスクが大きくなってきました。
複雑な気持ちになりますが、ここはぐっとこらえ、その2で提案する方法でお店をサポートすることを考えてみてください。
お店にいかなくても、今は潜らなくても、ショップやサービスをバックアップすることは可能です。
特に体調が悪いと感じる時や、熱っぽい時、味覚や嗅覚に異常を感じる場合には無理をせず、外出は控えるようにしましょう。
また、せきやくしゃみをする際には、マスクがなくてもティッシュやハンカチなどを使用し、しぶきを飛ばさないようにしましょう。
とっさの際には上着の内側や袖で覆うのも効果があるといわれています。
ウイルスを体内に入れないようにしよう!
感染拡大を防ぐためには、自身が感染しないよう注意することが大切です。
基本中の基本ですが、ウイルスは口や鼻の粘膜に付着し、感染します。
このため、全ての人が以下に気をつけましょう。
①こまめに手を洗う:関節部分、ツメの間なども20~30秒ほどかけて丁寧に洗いましょう。さらに、アルコール消毒をすれば、洗い流しきれなかったウイルスを除去することができます。
②目・鼻・口を触らない:無意識に触らないよう、注意しましょう。
③ウイルスが付着しないように注意する:そもそも、ウイルスが体に付着しないよう、気をつけましょう。不必要にあちこちを触らないようにします。また、ドアノブなど、どうしても触らなくてはならない場合には、利き手ではないほうの手を使用することにより、目・鼻・口の粘膜に感染するリスクを下げることができます。
体力をつけよう!
よく食べ、よく寝て、運動をして体力をつけ、抵抗力を強めましょう。
体力をつけることで、感染や重症化するリスクを下げることができます。
現在、新型コロナウイルス感染者が重症化する条件は解明されておらず、当初は高齢者や既往症(糖尿病、心不全、呼吸器疾患など)のある方が高リスクと言われてきました。
しかし、若年層でも重篤化する症例も報告されています。
2、ダイビング産業を支えよう!
ダイビング産業は、多くの人が関与して成り立っています。
ダイビングショップやサービスはもちろんのこと、器材メーカーやガス充填所、旅行業界、メディア、水中写真家などが専門性をもってサービスを提供しているからこそ、ダイバーが安心して楽しくダイビングできるのです。
他の産業同様、今ダイビング産業も大変な苦境に立っています。
収入があってもなくても、人件費や賃料などの経費は同様ですが、行動自粛が求められる状況下ではダイバーに対面サービスを提供することができないからです。
しかし、再びダイビングしようと思ったときに、これらの業種がなくなってしまったら、ダイバーも困ってしまいます。
今できることは、ダイバーが支えあうことです。
ダイバーにもお得になる方法をいくつか提案しますが、他にも様々な方法があると思います。
再びダイビングに行ける環境になったときのために、今、動きませんか?
ダイビング知識を高めよう!
ダイビングは、本当に複雑で興味深い遊びです。
いつでも何かしら学ぶことがあります。
私は以前インストラクターとして活動していましたが、ダイビングのたびにいつも知らない新しい扉に気づかされます。
減圧理論や応急手当法、水中撮影などについて理論的に学ぶのは、まとまった時間を取れる今だと感じています。
いつも行っているショップで、これらのコースの受講を申し込み、講習料金を前払いしましょう。
家にいる時間が長い今、Eラーニングや教材を取り寄せ、知識部分をみっちり学習するチャンスです。
海に行けるようになったら、知識をフルに詰め込んだ状態で最も効果的にスキル練習ができると思います。
また、知識を得ることによってダイビングの安全性が高まることも期待できます。
器材メンテナンスをしよう!
家のクローゼットに保管している器材、いつオーバーホールしましたか?
今こそ、オーバーホールに出す時期です。
毎年、旅行前に納期を気にしながら出していた器材、今なら余裕をもって待つことができますね。
いつも、海に行ってから気付く「あったらいいな」グッズのあれこれや、ちょっとした調整、修理など。
一度、器材を見直してみませんか?
また、器材は常に進歩しています。
旅行を考慮してより小型軽量化されていたり、ダイブコンピューターの画面が大きくカラーになって、見やすくなっていたり。
じっくりカタログを比較して、気になる器材があればぜひ購入してください。
夏になると忙しくなるインストラクターたちも、じっくり時間をかけて説明してくれることでしょう!
次はどこ行く?計画をみっちり練ろう!
新型コロナウイルスの嵐が過ぎ去ったら、どこにダイビングに行きたいですか?
この機会に、海のシーズナリティや見ることができる生物、ダイビングサイトなどの情報をしっかりとリサーチして、新しい海を発見しましょう!
今は自宅で手軽にリサーチをすることが可能ですし、時間があるので様々な問い合わせもできることでしょう。
現状、先を見通すことは難しいですが、再びダイビングできる状況になったら真っ先にツアー申込をしましょう!
また、ショップツアーなどであれば、相談のうえ「キャンセル」ではなく、「延期」を検討してみては?
今回は残念ながら諦めないといけないけど、いつか同じ場所にダイビングに行ける!と思ったら、気持ち的に前向きになりませんか?
一部のショップやサービスでは、名称は異なりますが「ダイビング券」のような形でツアーを先行販売している場合もあるようです。
例えば、1年間有効な数回分のツアー料金で、ツアー時の特典などを付けるような形です。
ダイバーの皆さん、「いや、先のことは判らないし・・・」と言わずに、この数か月を乗り切るために、こういったサービスがある場合には、ぜひ協力してください。
ショップやサービスの皆さんは、非常事態を乗り切るために、例えば今年に限って導入を検討してみるのはいかがでしょうか?
3、セルフメンテナンスしよう!
基礎体力をつけよう!
安全にダイビングするために、家でできる筋トレや散歩、ジョギングなどをして基礎体力を高めましょう。
重い器材を身に着けてスムーズにエントリー・エキジット・水中移動などするには筋力が必要です。
また、ダイビングでは一定の心肺機能も求められます。
狭い室内でもできる筋トレ動画も多くリリースされていますので、参考にしながらチャレンジしてみましょう。
新型コロナウイルスに対する抵抗力も高まりますし、次のダイビングに向けて、体をシェイプできるチャンスかもしれませんよ?
禁煙してみよう!
以前より、潜水専門医は喫煙がダイビングにとって「百害あって一利なし」と指摘しています。
新型コロナウイルスは重症化すると深刻な肺炎を起こしますが、タバコに含まれるニコチンが免疫系のバランスを変化することにより、感染や炎症がおこりやすくなり、肺炎などの状態になりやすいという可能性が考えられています。
▶︎参考:厚生労働省/e-ヘルスネット「喫煙と呼吸器疾患」
世界中で新型コロナウイルスによる肺炎が発生している今、思い切って禁煙してみませんか?
いろいろ整理しよう
過去に撮影した、膨大な水中写真や動画。
一度腰を落ち着けて整理したいと思っていたのだけど・・・という方は、今こそ、その時です!
テレビや動画を見たり、ゲームをしたり、という時間の使い方をするのであれば、ぜひ大きなストレージを導入し、アルバムを作ってみたり、動画編集してみたり、クリエイティブに過ごしませんか?
私自身の最近の目標は、この機会に器材を収納しているクローゼットの整理です。
すでに処分した器材の箱やパーツのみ残っていたり、専用グリースなのにどのOリングに使用するのかわからなかったり・・・。
新しい器材を導入するのは簡単ですが、整理はついつい後回しという状況を打破したいと考えています!
*
最近、新型コロナウイルスによるストレスを指す「コロナうつ」という言葉もあるようですが、私は心まで冒されてたまるか、と日々考えています。
今ある状況を、少しでも改善すること。
みんなとつながって、よりよい状況を作り出すこと。
これは、新型コロナウイルスとの長い戦いに挑まなくてはならない私たちに必要な心の持ち方だと思います。
SNSやインターネットが発達した今だからこそ、おうちにいても、できることは沢山あります。
みんなで協力し、再び平静を取り戻した海でダイビングする日を目標に、前を向いて歩いていきましょう。