“ミジンベニハゼの瓶を振る男”から考えるダイビングマナー
先日、とある女性ダイバーに仰天エピソードを聞きました。
大瀬崎で潜るツアーでたまたま一緒になった男性ダイバー。
おもむろにミジンベニハゼがいる瓶へ近づいたと思ったら、ひょいと持ち上げ、中をのぞきこみ……。
あまりの出来事に固まってしまう女性ダイバーをよそに、さらに、その男性は瓶をブンブン振って、また覗き込み、さらには、手の平でポンポン叩いて、ミジンベニハゼを出そうとしたそうな……。
さすがにイントラが水中で頭をコツンと叩き、エグジット後に叱ったそうですが、本人はポカーン。
これは明らかなマナー違反ですが、このエピソードを他の人に話したときに思ったのです。
「マナーって、あいまいなものだなぁ」
いや、この男性ダイバーの行動は明らかなマナー違反です。
ただ、このエピソードを聞いたとき僕は思わず笑ってしまったのですが、とある人に話したら「許せん」と怒ったのです。
最悪のマナー違反とはいえ、自分の中では、最初の講習で教えられることがなく、さらにダイバー社会の中での積み上げがなければ、まあ、あり得るだろうとも思いましたが、その人は「常識的にありえない」と。
自分の何気ない態度が知らぬ間に不興を買っていたり、反対に、相手の態度に失望したり……。
マナーは人それぞれで、それは海の中でも同じです。
そもそも”マナー”とは何でしょうか?
wikiってみると、「マナー(manner)とは、(その)場で、あるいは社会全体で、居合わせた者あるいは構成員がそれに従って行動すれば、不必要な競争や、無駄な不快感を引き起こさない所作・振る舞い。その精神と形式。作法、礼儀、態度(略)」とあります。
明文化され、破れば罰則のある”ルール”と違って、マナーや常識とは曖昧で、その立ち振る舞いが難しい反面、その曖昧さの中でのスタンスがその人となりを教えてくれます。
また、それは受け手にとっても同じことです。
電車内での電話はわかりやすいマナー違反ですが、就職の面接にスーツを着ていくのか私服を着ていくのかはなかなか難しい判断です。
私服を着ていくにしても、それが天然なのか意図してのことなのか。
そして、面接官がどう受け止めるか。
いろんな要素が絡むからこそ正解はありません。
では、ダイビングのマナーはどうでしょうか?
判断の難しいマナーとして真っ先に思い浮かぶのが生物への接し方。
“生物に触わらない”は厳格なルールではなく、マナーといえるでしょう。
以前行なったアンケート「生物を触るのはあり? なし?」では、環境と生物保護の観点から65%が”なし”と答えましたが、ルールだったら結果は違っていたかもしれません。
“あり”は35%で、その最も多かった理由は「興味や好奇心を伸ばすため」と一理あるもので、触るにしても「常識の範囲内で(程度問題)」と、決して乱暴なものでもありません。
多数決でルール化しないで、こうした意見が残る余地、考えるきっかけを残してくれるのもマナーのよいところかもしれません。
反面、だからこそグレーゾーンも存在します。
例えば、正面顔を撮りたいので、タツノオトシゴを支持棒でつんつん。
ウミウシって柔らかいのかな?とフニフニ。
その是非は、意見が分かれのではないでしょうか。
マナーは正解がない以上、お互いのマイルールを持ち寄り話し合って、そのコミュニティでのマナーを形成していくしかありません。
ある程度、出来上がったコミュニティに飛び込むのであれば、他人が感じる「無駄な不快感を引き起こさない所作・振る舞い(反対に不快感を引き起こす振る舞い)」のケーススタディーを知り、体験し、積み重ねていくことがまず大事なのでしょう。
ということで、皆さんのマナーに関する体験談・疑問を教えてください。
※生物にかかわらず何でも。
■マナー違反・不愉快体験談
■素敵なマナー、グッときた態度体験談
■「これはありかなしか?」教えて!グレーゾーン
※体験談や疑問・質問を掲載してもよいという方はメッセージをいただければ幸いです。
「エピソード、性別、本数、ペンネーム(本名でもOK)」を記入のうえ、お問い合わせフォームもしくは、info[at]oceana.ne.jp まで。
(メールの場合、[at]をアットマークに変えてお送りください)